写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.07.01
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラの普及が進んでいますが、その一方で、写真愛好家や“昭和アイテム”ファンの間では、フィルムカメラへの支持も確実に広がっています。しかし、カメラメーカー各社では、すでにフィルムカメラの新製品発表を行わない方針をとりつつあるので、現行製品の新品では選択肢が、かなり狭くなってきました。こうした事情から、相対的にフィルムカメラの占める割合が多い中古カメラにも、ファンの関心が集まっているようです。ただ、フィルムカメラでは、焦点調節の方法としてオートフォーカスとマニュアルフォーカスの2タイプがあり、一眼レフでは1985年を境にして使い方が大きく変わったという歴史的経緯もあります。往年のMF機では、ファインダーの使い方も現在とは異なるのですが、いまとなっては、なかなかその使い方を知る機会も少ないでしょう。今回は、旧式のマニュアル一眼レフでの、ピント合わせの方法についての話。このピント合わせのやり方と、マニュアル露出の設定方法さえ覚えておけば、どんな旧式のカメラでも臆することなく使えるようになれると思います。
現在のAF一眼レフでは、ファインダーを覗くと、AFで焦点を合わせるポイントを選ぶためのマークがいくつか並んでいて、ピントが合っていない場合は、マット面(レンズを通して見た被写体の像を投射するスクリーン全体)が、ボケて見えます。AFの測距ポイントは、現行機種では複数の位置に設けられていて、主にカメラボディ背面に付いているボタンもしくはダイヤルを操作することで、ピントを合わせる位置を変えることができます。この方式のファインダーは、カメラのAFまかせだけで焦点調節が可能な撮影状況であれば何ら問題はないのですが、夜景や金網越しの風景など、マニュアル操作に切り替えてピントを合わせなくてはならない状況では、マット面のボケ具合を頼りにするしかないので、適切なピントの位置を肉眼で見て判断するのに、少々手間取ることもあります。そのため、AF一眼レフのファインダーだけを見ている限りでは、MF一眼レフは、もっと面倒くさいのではないかと思われる方もいるかもしれません。
対して、かつてのMF専用一眼レフでは、マット面でピント合わせができるのはもちろん、ほかにも、ピント合わせを支援するための装備(距離計)が搭載されています。カメラを買ったときに付いている最も標準的なファインダースクリーンでは、マット面の中央にある円形の部分が、ピントの状態に応じて特徴的な光学像を示すようにできており、これを利用すれば正確なピント合わせが可能です。よって、MF専用の一眼レフでは、AF一眼レフをMFモードに切り替えるより、はるかに快適かつ素早い操作で、手動によるピント合わせを行うことができます。なお、旧式の一眼レフの場合は、ファインダースクリーンを好きなタイプに交換できる機種が多く、オプションでは現在のAF一眼レフのような全面マット式もありました。
MF専用一眼レフのファインダーは、多くの場合、全体が3つの部分で構成されています。撮影する画面全体を隅々まで映す「マット面」、中心部にあり上下2つの半円がセットになっている「スプリットイメージ」、そして、これを取り囲むドーナツ型の「マイクロプリズム」です。ピント合わせは、これら3つの表示状況を総合的に判断し、手動でレンズのピントリングを回転して行います。
AF一眼レフをMFモードで使う場合と同じように、ファインダー像全体のボケ具合を見てピントを判断します。ピントを合わせたい被写体が画面の中央部になくても、マット面を利用すれば自在に素早いピント合わせができます。AFでは、被写体にファインダー内のマークを合わせる必要があるので、まずピントが先で構図決定が後という操作手順になりますが、MFなら構図が先でピントが後でも撮影できるわけです。これは、三脚にカメラを固定している場合には便利です。
光学的な効果により、ピントが合っていない場合には、被写体の輪郭線が半円の上下で横にズレて見えます。ほとんどの機種では、上下2つの半円がセットになっているので、縦の輪郭線を狙ってピントを合わせるのが基本です。横の輪郭線にピントを合わせたいときは、カメラを傾けます。近距離の被写体に対して、レンズのピント位置が無限大にある場合など、ピントが大きくズレているときには、まずマット面でだいたいのピント合わせを行ってから、スプリットイメージで微調整したほうが効率的。これは、開放F値が明るいレンズに向くピント調節法で、暗いレンズを装着した場合では、上下にある半円の一方だけが暗くなって見えにくい場合もあります。その場合には、マイクロプリズムもしくはマット面を使って、ピントを確認します。
スプリットイメージの周囲に位置するので、標準仕様のファインダーではドーナツ型になります。こちらも光学的な効果により、ピントが合っていない場合には、ギラギラした感じで像が見えにくくなります。この部分が違和感なくクリアーに見えていれば、ピントが合った状態。これだけでは慣れないと判断が難しいかもしれませんが、実際にレンズを被写体に向けてみると、ピントが合っていなければマット面全体の像がボケて、さらにスプリットイメージの像も上下でズレているので、マイクロプリズムでピントの良し悪しを見分けるコツも、しばらく使っているうちには習得できます。これら3つの部分から総合的に判断すれば、人力に頼るフルマニュアル式であっても、より精密で迅速なピント合わせが可能となるわけです。
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