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2009.10.23

拡張子の知識
デジカメで使う画像ファイルの分類

デジカメで撮った写真は、紙にプリントしない限りは、モノとして存在できない、単なる電子データです。フィルムの写真は、撮影した瞬間から、モノとして物理的に存在していますが(ただし現像が必要)、デジカメの画像はデータファイルなので、撮影した後は、パソコンなどの装置を使用して管理することになります。このときパソコンでは、画像以外のデータ(文書や音声など)も一緒に保存・管理しているので、デジカメの画像は画像ファイルとして、ほかのファイルと識別しなくてはなりません。そこで、画像を見分けるための目印になるのが「拡張子」。今回は、デジタルカメラを使う場合に、最低限、覚えておきたい拡張子の知識を取り上げます。

「拡張子」とは何か?

「拡張子」の読みは、「かくちょうこ」ではなくて、「かくちょうし」。もともとは、パソコンで作ったファイルを保存するときに、自分で考えて付けたファイル名の後ろに、ピリオドを1つ打って、半角英字3文字程度で表記する略号のことです。拡張子は、ファイルの種類や、使用するパソコンソフトの製品によって、あらかじめ決められています。簡単な例としては、ホームページを見るとき、ブラウザ(WEB閲覧ソフト)の画面本体の上にある「アドレス」の項目を見ると、表示されたURLの末尾に「********.html」と書かれていることがわかりますが(「index.html」の場合だけは省略して表示されないことがあります)、その「.html」の部分が拡張子。ちなみに、「.html」は、テキスト(文字情報)に表示制御用のタグが付いて、別ファイルへのリンク設定が可能となっている、WEBページ用ファイルであることを示しています。なお、拡張子は、そもそもがパソコンの中で、ファイルタイプを識別する役割を果たすものなので、デジカメの場合でも、拡張子が何かを“拡張”しているわけではありません。この呼び名は、慣例的なパソコン用語です。

デジタルカメラで使う拡張子

デジタルカメラで写真を撮ったとき、カメラがメモリーカードに書き込むデータに付く拡張子は、機種によって、主に以下に挙げる1種類~4種類程度です。ただし、デジタルカメラの背面液晶モニターでは、拡張子を直接見ることはほとんどなくて、普通は、パソコンにカメラを接続し、データ転送した段階で、はじめて拡張子を見ることになります。

.jpg

デジタルカメラの画像では最も一般的な、JPEG(ジェイペグ)ファイルで使われる拡張子。ほとんどすべてのデジタルカメラにおいて、初期設定はJPEGモードなので、何も変更しないで普通に撮影すれば、必ずこの拡張子が付きます。記録画素数や画質モードなどの設定が変わっても、JPEG形式であれば拡張子は同じです。コンパクトデジカメの場合、原則として、記録される画像はJPEG形式だけなので、ほかの拡張子を見ることは、ほとんどありません(一部の高級機を除く)。ファイルの構造は、ホームページで見かけるJPEG画像と同じです。キタムラのお店プリントや、一般的な家庭用フォトプリンターは、JPEG形式のみに対応しています。

.tif

非圧縮保存が可能な汎用画像形式である、TIFF(ティフ)ファイルに付く拡張子。一部のデジタル一眼レフで、選択可能となっている例があります、カメラ付属ソフト以外の、一般的な画像処理ソフトを使って、いずれのパソコンでも読み込むことができる、比較的、融通の効くファイル形式で、主に画像を加工する用途に適しています。なお、JPEGとは違って、データを圧縮しない分だけ、撮影時点の記録データ量は大きくなりますが、圧縮処理による画像劣化がないので、画像加工した後でも撮影時と同等レベルの画質を維持できます。

RAWファイル専用の拡張子

デジタル一眼レフと、コンパクト機の一部機種では、標準のJPEGモードのほかに、もう1つ「RAWモード」があります。RAWモードを選んで撮影した場合は、その設定に合わせたファイル形式の拡張子が、各画像のファイル名に付きます。ただし、RAW専用の拡張子は、各メーカーによって異なることがあります。RAWとは、画像センサー上にある受光素子でとらえた個々のデータを、画像全体として1つにまとめ上げることなく、素子1個ずつの出力データのままで、直接メモリーカードに記録するモードです。したがって、そのままでは、画像を見ることができません。

動画ファイル用の拡張子

動画モードがあるデジタルカメラで動画を撮った場合、それ専用の拡張子が付きます。詳しくは、お使いの機種に付いている、取扱い説明書をご参照ください。

「RAW」の3文字は拡張子ではない

JPEG画像の場合は、「JPEG」という画像記録方式(技術)の名称と、「.jpg」という拡張子の名前が一致していますが、「RAW」の場合は、実は、そうではありません。

「RAW」は、画像記録形式(技術)の総称で、発音は「アール・エー・ダブル」ではなくて、「ロー」です。要するに、これは拡張子のような略号ではなくて、1つの単語なのです。綴りがピッタリ3文字なので、拡張子だと思い込みやすいのですが、それは違うので覚えておいてください。そして、各カメラメーカーごと別々に、RAWに分類される独自の画像ファイル形式が存在していて、それらに付く拡張子が異なります。つまり、RAWとして記録されたデータには、メーカー間の互換性が、まったくないのです。

それはなぜかというと、RAWとは、あくまでJPEGなど汎用性の高い画像に変換処理する前の“生データ”という、大ざっぱな意味の用語だから。画像センサーが持つ仕様の数だけ違いがある、未処理画像データのことを、カメラ業界では、全部ひっくるめて「RAW」と呼んでいるというだけなのです。別のものに例えると、お酒なら出荷する前の原酒、コーヒーならブレンドにする前の生豆といった感じ。ちなみに、RAWモードで撮影した画像は、基本的には最高設定の記録画素数になるほか、圧縮せずにデータをメモリーカードに書き込むので、JPEGモードよりもデータ量が増えます。

デジタル一眼レフなどを使用して、RAWモードで撮影した画像データでは、普通のJPEGモードならば、カメラ内蔵の画像処理エンジンが担うプロセスを、そのまま何もしないで保留。基本的には、データをパソコンに転送した後で、保留した仕上げ処理を、自動ではなく、再生画面を見ながらソフトを使ってユーザーが1工程ずつ確認しながら行うので、本当にRAWのままで撮影済みデータを放置しておくと、プリントなどの用途に使うこともできません。

パソコンで画像設定を仕上げた(RAW現像処理した)画像を、新たな画像ファイルとして保存するとき、ファイル名に付ける拡張子は、RAWファイル用の拡張子ではなくて、「.jpg」や「.tif」などを使用。この段階より後は、汎用性がある普通の画像形式に変換して保存します。なお、画像加工を目的とする場合、RAWモードで記録した画像は、カメラに対応する画像設定を仕上げた上で、汎用のファイル形式に変換し、さらに画像処理ソフトでデータを開いて、画像を最終加工することになります。

つまり、デジタル一眼レフを使ってRAWモードで撮ったとしても、結局は、後でパソコンを使って汎用ファイルに変換する作業が、必ず待っているということ。実際のところ、RAWで撮りさえすれば、何でもかんでも一律に高画質になるというわけではないのです。

これは、つまり撮影後に、自分なりのアイデアと、(パソコン操作の)テクニック、そしてノウハウを生かして、手間を惜しまず、上手に画像仕上げを完成できるという前提条件付きで、JPEGよりもクオリティの高い写真が得られる可能性があるという、オプション扱いのモード。どちらかというと、アート志向での写真作品の創作に向きます。ただし、あくまで「可能性がある」というだけなので、場合によっては、RAW現像に時間がかかった割に、はじめからJPEGで撮った場合と大して成果が変わらないこともありますし、被写体に忠実な色再現を行おうとした場合に、目の前に比較対照するべき実物がないため、試行錯誤に行き詰って逆効果になってしまうことだって、あるかもしれません。だから、RAWで撮る場合は、目的を選ぶ必要があります。

ついでに覚えておきたい拡張子

RAWモードで撮影した写真画像を、パソコンで変換・保存するときには、「.jpg」や「.tif」のほかに、次のような種類の画像ファイルを使う場合があります。

.bmp

非圧縮方式の汎用画像ファイルで、ビットマップ形式といいます。画質劣化がないので、写真にも使用できます。ウィンドウズ用の最も標準的な画像ファイル形式です。保存時のデータ量は、記録画素数に応じて大きくなります。

.pct

もともとは、マッキントッシュ用の画像ファイルであった、PICT形式です。ウィンドウズ用ソフトでも使えます。ウィンドウズでいう、ビットマップ(BMP)に相当する、標準的な画像ファイル形式です。

.png

PNG形式の画像ファイル。圧縮工程を伴いますが、圧縮保存された画像を開いたときに、データの欠落がなく、完全に元の画質に戻すことができます。主に、WEB用として使われます。

.gif

ホームページで、バナーやイラストなど、輪郭線がはっきりした部分の表示に使われるGIF形式の画像。一度に表示できる色の数が少ないので、基本的には写真用ではありません。

 
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