修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2012.10.19
梅島の和製ローライ35ことPETORI color 35。凛々しい面構えですね!
昨今は金属製の民具も急速に姿を消しており、当該機種は絶滅危惧種になりつつあります。でも、現役時代に手がけた事もありませんで、どの様に腑分けをして行くのでしょうね?脳を疲れさせる事になろうかと思います。
結果、本体からシャター部を分離でき、シャター羽根油分の湿潤清掃が行えたのです。
それでは、記録する間もなく腑分けをしてきましたのでフィルムを巻き戻して整列していく事にします。
裏蓋を開けて捲き戻しフォークを固定し、捲き戻しクランクを反時計方向に回すと外れました。捲き戻しクランクを外した事で現れた上カバーを押さえているナットを外します。
ヘリコイド繰り出しダイアルを押さえながら止めネジを外します。
上カバー右側面(赤○部)のネジを外します。
上カバーを外し終えたらヘリコイド繰り出しダイアルを元に戻しておきます。
秒時ダイアルと絞り値ダイアルを外す必要はありませんが、組み込み時に動いて作業性が悪いのでセロテープで固定しておきます。
固定しておく事でBチェック7釦の紛失も防げます。
覆い紙の周辺部に溶剤(ケトン)を塗布して接着剤を緩めます。溶剤を塗布する事で綺麗に剥がれます。
ファインダーの対物レンズ間の清掃は、薄く削いだ竹に脱脂綿を巻き付けて行います。
他のレンズ&ミラーの清掃に注意はありませんが、ビームスプリッターの接眼面は蒸着面となりますので注意が必要です。とりわけ汚れが無ければ割愛をした方が良いでしょう。
締付環を外すと、ASA値盤が外れます。組み込む場合は、ASA設定環を400にしてASA値盤の穴を最大径にすれば、合わせやすいです。
秒時カム環は押さえCリングを外せば分離できます。
組み込む場合は、本体側の秒時をBか1/250にします。画像はB(赤○(1))位置になっていますから「赤○(2)」で、本体側からの歯車へ素直に咬合させれば良いわけです。
擬皮を剥がし、(1)~(4)のネジを外すと前板が分離できます。前板のシンクロターミナルにリード線が繋がっています。
次は如何にシャター部と本体を分離させるか?と一考しました。
あれこれと弄っている内にASA設定環が赤矢印側に動き、抜けたのです。
ASA設定環とシャター部側面にクリック用の鋼球が入っています。
見えてきましたのが受光素子接続部です。受光素子接続部が本体側にあるのか?シャター部側に取り付けられているのか?は、この段階では不明?ですが、ハンダを外しました。
後にこの接続部はシャター部側にありました。
本体とシャター部を分離する最大の問題は、(1)~(3)の本体とシャター部を連絡しているピンなのです。本体側の歯車に取り付いており、シャターダイアル・絞りダイアルに連動しています。もし、シャター側のピンが歯車と一体なら、組み込みが面倒です。
裏蓋を開けて締付環を少しづつ緩め、本体とシャター部とに隙間が出来るか?ピンと歯車の関係は?を注意深く観察したのです。
所が、なかなか本体とシャター部に隙間が出来ないのです。原因は、絶縁布の変質で張り付いていました。チョイト溶剤を垂らすと少しづつ隙間が開き始めました。
ピンと歯車の関係は?でしたね!歯車は本体側に取り付けてあり、シャター側からのピンが抜けていく仕様になっており、半円状型のピンが歯車と噛み合うのです。
ここで、締付環を完全に緩めました。
残り(1)~(3)のネジとピン(1)&(3)の根本にあるEワッシャー外せば、シャター部が前後に別れ、油分の湿潤の清掃が出来ますが、何本かのスプリングがシャター後室の側面に位置しますので良く観察しておくことが大事です。
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