撮影教室


フィルムの種類を知ろう  Part 2

格調高い発色カラーリバーサルフィルム

 フィルムはカラーと白黒フィルムがあって、さらにそれぞれにネガティブとポジティブがあります。一般にリバーサル、スライドフィルムと呼ばれているのがポジフィルム(以下、文章中カラーを対象としてリバーサルと呼称)で、プリントしなくてもフィルムの段階で、何が撮影されているかが判断でき、陽画といわれています。ちなみにネガフィルムは陰画と称されています。リバーサルフィルムは現像が済むとそのままの状態が完成品となります。もちろん、プリントにすることも可能で、リバーサルからのプリントはダイレクトプリントといわれています。

*ネガとリバーサルの違い
 大きな違いは陰画と陽画にありますが、ネガではフィルム現像後にペーパーへの焼き付け行程が入り、プリントして始めて完成したことになり、これに対してポジはフィルム現像後、それで完成品となります。

 ネガの場合、焼き付けの段階で色や濃度の補正ができ、完成品の前に撮影時のアンダーやオーバーなど少々の失敗をカバーできます。ところがリバーサルはダイレクトに善し悪しが出てきますから、撮影時には適切な露出が求められます。

 また、光の量に対する寛容度・範囲(ラチチュード)も異なります。つまり明るさや暗さを感じて再現できる範囲が違うのです。ネガはその範囲が広く、リバーサルは狭くなります。このために、ネガは明るい部分から暗い部分まで幅広く写すことができます。それがリバーサルでは暗い部分が適正な露光であった場合、明るい部分は許容範囲から飛び出してしまうことがしばしば起こります。こうした狭い露光領域範囲のなかでいかにうまく撮影するか、これがリバーサルを使うひとつの醍醐味になっています。

 リバーサルはスライドで大きな画面にして多くの人が楽しむことができ、透過光で見られますから、奥行きの深い立体感のある鮮明さが得られます。このように画像が鮮明なことから印刷に多く利用されます。

*リバーサルはなぜ難しいといわれるのか
 前述したようにネガカラーと比較して、ラチチュードが狭いために適正な露光をフィルムに与えないと、カラーバランスが崩れることになります。この適正露光もカメラによって差があるために、カメラの露出計だけに頼ることができません。しかし、一眼レフはレンズを通した反射光ですから、コンパクトカメラほど大きな差はありませんし、最近は内蔵されている露出計の精度も高まっていますので、以前と比較しますと大幅に適正に近い露光量が得られるようになっています。

 しかし、プロともなりますと、被写体に反射率の異なり(例えば顔の肌と衣服の反射率が異なるなど)があることから反射光を信じられないとして被写体に当たる光の量(入射光)を測定して適正露光を確保しようとしています。目的とする被写体のメインにスポット計測するのは少しでも正確な反射光を得て撮影したいためです。

 このようにまず、露出をシビアにしなければ、良好な色が得られないために「リバーサルは難しい」といわれる所以でしょう。

*リバーサルフィルムの種類
 リバーサルが開発された当初は、フィルム乳剤に発色する生成物(カプラー)が入っておらず、現像段階で発色させていました。これを外式といって、現像が非常に面倒です。これを改良してフィルムの乳剤の中にカプラーが取り込まれるようにしたのが内式です。

 内式が発売された当初は乳剤部分が厚く、いわば「抜け」が良くなかったために外式の評価が高まったこともありましたが、その後、改良が重ねられ、現段階では素人目には区別がつかないほど抜けも改良されており、各人の好みで内式の方が発色がよいとする人が多くなりました。外式の現像の品質管理が難しいだけに現像できるラボも限られているのに対して、内式は、ある程度の品質管理ができればどこでも現像できるようになっています。

 それでもなおかつ、外式が使用されているのはフィルム層が薄いことと、色素が細かいためにシャープ性に優れているためです。現在、この外式を採用しているのはコダクロームだけです。ほかはすべて内式になっています。
 また、種類としては太陽光用のデイライトタイプ(色温度 5500K前後)とタングステンタイプ(色温度 3200K前後)とがあります。これはネガも同様のタイプがあります。光に合わせたフィルムを選びます。

*色補正
 リバーサルフィルムの特長として、様々なフィルターが多用されています。これはフィルムを補正する意味合いと、様々な効果を出すために使用するケースがあります。色補正用フィルターとして何段階ものLBやCCフィルターが用意されています。

 ネガでも同様のことがいえるのですが、製造ロットごとに、いうなれば製造番号(エマルジョンナンバー)がついています。この製造ロットの違いで、色合いが違っているのです。これを補正するために、ロットごとにフィルターが使われるのです。特にプロラボでは「このエマルジョンにはこのフィルターを使用してください」と、指示しているところもあります。しかし、ロットごとの格差も製造段階での品質管理が向上して、昔のようなことはほとんどなくなりつつあります。

 効果を出すのは、現像で色の操作ができないために撮影段階で色のコントロールをする必要があるからです。また、例えば同じ昼光色(デイライト)であっても、朝と昼間では色温度が違います。フィルムの 5500Kに合わせた色補正や色を作ることからフィルターがよく使われるわけです。

*現像段階での感度補正
 リバーサルは現像段階で色の補正ができませんが、指定をすれば感度の補正はできます。感度を上げることを増感、下げることを減感といいます。IS0感度400フィルムを800で撮影して、現像依頼の時に「800に増感」と指定します。「1絞り増感」といった表現もありますが、感度で依頼したほうが間違いないようです。とはいえ、1/2絞り、1/3絞り増感といった場合もありますので、依頼時には明確に指定しなければなりません。

 傾向として感度の高いフィルムの方が増感特性が良いようです。つまり、色調を崩さずに感度を上げたり、下げたりすることを「平行移動ができる」といいますが、例えば100を200にするより、400を800にする方が良好な平行移動ができるということです。最近はフィルムの質の向上と感度をアップすることを計算して製造されていることから、この平行移動も以前と比較してかなり進歩しています。但し、これもフィルムに寄ったり、好みの差もあります。撮影時に高感度が必要な時には活用しますが、増感すると固くなる傾向にあります。

 増感があるのですから当然、減感もありますが、フィルムとカメラのDX対応(感度の異なったフィルムを入れると自動的にカメラが感度を関知)が出てからは減感の依頼は極端に減少しています。つまり、この減感は感度400のフィルムを100で、あるいは絞りf11で撮るところを8で撮影してしまった時などに活用しますが、35mmではDX対応で、こうした失敗はなくなりました。現実的には4×5などのシートフィルムやカメラがDXになっていない場合に限られます。

 減感は現像時間を短縮するために軟調な画像になります。アマチュアではほとんど使われません。

*ラボの違い
 一般の撮影ではアマチュアラボで、まったく問題ありませんが、特に印刷を要する写真などのプロカメラマンはプロラボに依頼するケースがほとんどのようです。プロラボではフィルムのエマルジョンによってフィルター指定をしていたりしています。しかし、前述した昼光色といっても時間帯によって色温度が変化しますので、指定した通りにフィルターを使用したからといって、常に良好な発色が約束されるわけではありません。プロカメラマンは指定されたフィルターで、そのフィルムの傾向を見分ける手段にしているといった方が適切でしょう。

*リバーサルからのプリント
 ネガからのプリントを「ネガプリント」と、リバーサルからのプリントを「ダイレクトプリント」と呼んでいます。ここで「リバーサルもプリントするのだから、ネガのように色補正できるのではないか」の疑問もあるでしょう。理論的には可能ですが、色補正しないのが大原則です。これまで述べてきたように、リバーサルはフィルムの段階で「色」を作りますので、ほかの人やラボは手を加えてはいけないのです。仮に「プリントで色補正してもらいたい」と注文されても受け付けられません。

 どうしても補正が必要な場合は、リバーサルから一度、ネガフィルムを作ってプリントにします。この場合はリバーサルで撮影した意味がなくなります。
 ちなみに、ネガと同様にリバーサルからポストカードや大伸しプリントなどさまざまな写真にすることができます。

*素晴らしい色調を味わってください
 以上のように、リバーサルフィルムは様々な条件が絡んだり、あまり耳慣れない言葉が出たりするために、難しいとか、よく分かっていなければ撮れない、といった話もありますが、基本の適正露光さえマスターすれば、素晴らしい色調が得られます。誰でもが撮影できるフィルムです。チャレンジ精神を持って、リバーサルの良さを味わってください。


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