※当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。
 


審査員 吉野 信氏
よしの しん/1943年生まれ。桑沢デザイン研究所リヴィングデザイン科卒業。1972年フリーの動物・自然写真家として独立。それ以後、日本国内にとどまらず、アフリカ、アラスカ、インド、ロッキーの野生と自然を求めて、その成果を多くの写真集や個展で発表。各種コンテストの審査員を務める。日本写真家協会会員。

 



“春の風景”といっても解釈は様々です。人間がいる風景、動物がいる風景などいろいろな形が考えられますが、ある程度広い範囲を撮影されたものが風景と呼べるのではないでしょうか。応募作品の中には鳥・動物などの被写体に思いきり寄って撮ったクローズアップ的なものがありました。中には動物写真ではないかと思われる作品もありました。それはそれですばらしいのですが、少し“風景”というテーマからはかけ離れてしまったように感じました。“風景”には、ある程度周りの環境を入れることが必要です。次回からはその辺を少し考えていただければと思いました。

カメラ:マミヤRB67
レンズ:セコール50mm

グランプリ寸評
見事に満開になった桜と、それを見上げている人々を対照的にとらえています。視点的にはオーソドックスかも知れませんが、桜の花の広がりと見物人の広がりのバランスがとてもいい感じでフレームに納まっています。特に桜にはライトアップの光が当たっているため、手前に浮き出てくる力強さがあります。色彩的にも構図的にもすべてが力強く、見応えのある作品です。



自由なテーマの中で、いきものを写した作品が多く見られました。“いきもの部門”であれば、かなり上位になるだろうと審査をしながら思う作品もありました。他にもいろいろなジャンルの傑作があり、落とす方が難しくなるほどいい作品が集まりました。その中でも上位に残ったものは、数多い作品の中でも特に優れていたものです。また、春の風景・自由両テーマともですが、ホームプリント作品の仕上がりがあまりよくありませんでした。やはり写真専門店のプリントの方がきれいに仕上がります。コンテストではプリントの質も重要ですので、次回の応募ではプリントに気をつけてもらいたいと思います。

カメラ:キヤノンEOS 5D 
レンズ:28-135mm

グランプリ寸評
この作品のすばらしいところは理屈ではなく、人形の大きな顔の面白さに対して、泣き出した赤ちゃんとの対比がものすごくよく表現されている点です。無駄のないフレーミングで、自分の狙い通りに的を絞りクローズアップした強さがあります。ユーモラスさに構図のうまさがマッチした、まさにグランプリにふさわしい作品です。

春は鳥を撮った作品が多く見られるものですが、その作品のレベルは高く、よく観察して何度も足を運んだことがわかる生態的な作品が多く集まりました。鳥以外の犬や猫の写真も同じく、ただ単に写っているだけではなく、生態的な特徴がよく表現されています。また、今回はウサギを撮った写真が上位に入るなど、今までになかった種類のいきものの作品も多く寄せられました。上位の作品はレベルが高く、ほとんど差がありませんでした。
審査員 増田勝正氏
ますだ かつまさ/1945年東京都出身。
愛犬雑誌のカメラマンを経て現在フリーの動物カメラマン。アイメイト(盲導犬)のボランティア活動にも参加し、自ら犬、猫の繁殖・育成にかかわっている。
カメラ:キヤノンEOS 5D
レンズ:EF24-105mm
グランプリ寸評
何気ない写真ですがアイディアがあり、ヨークシャテリアの持っている可愛さを見事に表現しています。安心しきった表情は飼い主でないと撮れない瞬間です。飾りをつけていますが、かわいらしさを損ねていません。このような演出はマイナスになることもありますが、その効果を無理なく表現できたすばらしい作品です。
この春はのびのびとした雰囲気の作品が目立ちました。デジタルカメラが増えてきたこともあり、日常の中でこどもたちがのびのびとしているところを、気軽にうまく撮っています。それによりこどもたちのイキイキとした表情が強調されています。タイトルも工夫されていて、それぞれのメッセージが伝わってきます。部屋の中の作品も自然光で撮影されており、やわらかな雰囲気のものが多く見られました。レンズの使い方も特性をよく理解して使われています。こどもの写真は「光」+「表情」を意識すると、いい作品が生まれると思います。
審査員 沼田早苗氏
ぬまたさなえ/1968年大竹省二氏に師事。1978年フリーの写真家となり商業写真、取材写真を手がけ、ライフワークとして著名な男性のポートレイトを撮影。写真展には「私の写交録」「みんな・みんな・蒼き狼」「もう一人の日本人」などがある。
カメラ:キヤノンEOS 1Ds
レンズ:EF24-70mm
グランプリ寸評
締め切り間際までアジサイが咲くのを待って撮影した作品のようです。男の子と女の子のちょっと照れくさいような感情がとても良く表現されています。手に持ったアジサイの葉の中のカタツムリや、赤い傘などが画面にアクセントをつけています。こどもの持つ純粋さが素直に出た、とても良い作品だと思います。
春ということで花を被写体にした作品が多く集まりましたが、花は基本的にきれいなので、その美しさに惑わされてしまいがちです。花をメインのテーマに選ぶのは難しいかも知れません。デジタルカメラが普及してからの傾向ですが、わざわざ遠くまで写真を撮りに行ったものではなく、身近なペットや散歩の途中で撮った作品などが増えています。どのような条件でも結構よく写せるのがデジタルカメラのメリット。以前では写せなかったものが写せるようになってきています。身近なものをもっとよく見つめて撮った作品に期待します。
審査員 サンダー平山氏
サンダーひらやま/1956年千葉県出身。日本大学文理学部物理学科自主卒業後、日本写真芸術専門学院発展的除籍。CMカメラマン、ファッションカメラマンなどの助手を経験した後にテレビ屋もかじる。つまり助手経験めちゃくちゃ豊富。そしていつのまにかサンダー平山となる。著書とっても多数。

カメラ:キヤノン パワーショットA20
グランプリ寸評
“ネコパンチ”の瞬間だと思いますが、やはり一緒に暮らしている家族との信頼感があるからこのような仕草をしているのでしょう。愛情が詰まった写真だと思います。このような瞬間は狙っていてもなかなか撮れるものではありません。猫がカメラを意識していない瞬間にシャッターを押せたということが大事。決定的瞬間は自分が意図していない時に写せるものです。


※敬称は略させていただきました。
※当サイトに掲載されている写真・テキスト等を無断で複製・転載することを禁じます。


各種グランプリ



※腕自慢部門
テーマ1 春の風景:特選/準特選/入選/キタムラグループ賞
テーマ2 自由:特選/準特選/入選/キタムラグループ賞
 
※腕だめし部門
テーマ1 いきもの:特選/準特選/入選
テーマ2 こども&赤ちゃん:特選/準特選/入選
テーマ3 自由:特選/準特選/入選
テーマ1 いきもの:佳作/キタムラグループ賞
テーマ2 こども&赤ちゃん:佳作/キタムラグループ賞
テーマ3 自由:佳作/キタムラグループ賞