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審査員 田沼武能氏
たぬまたけよし/1929年、東京・浅草生まれ。1949年、東京写真工業専門学校卒業。サンニュース・フォトス入社。同時に木村伊兵衛氏に師事。1951年、『芸術新潮』嘱託となる。1965年、アメリカのタイム・ライフ社と契約。1972年、フリーランスとなる。1979年、モービル児童文化賞、1985年、菊池寛賞を受賞。1990年、紫綬褒章を受章。2003年、文化功労者顕彰。

 



“夏の風景テーマ”は、ネイチャーと言われる風景そのものを撮った写真が少なくなっていますが、もっと純粋風景も応募してもらいたいと思います。また、季節の花を被写体にした作品も数多くありましたが、花を花らしく撮ることは意外に難しいものです。花だけのコンテストに応募する場合は問題ありませんが、このようにさまざまな夏の風景を対象とするコンテストで上位に入賞するにはかなりの実力が必要になります。また、夏の花を代表する蓮の花が多いのは当然ですが、そこにアオガエルを載せた作品がよくあります。しかし、この演出は効果的ではありません。やはり、作為的なものよりも被写体自身から美しさを引き出したものの方が見る人の心を引きつけます。その点に注意して次回作にチャレンジしてください。

グランプリ寸評
一次審査の段階から目についていた作品でした。シルエットで撮っていますが、写し出されている家族の会話が聞こえてくるようなドラマを感じました。太陽が沈むタイミングと人物の配置がしっかりと計算されている作品です。このような傑作は、普段からいろいろな設定を自分の頭の中で考えているからできることです。撮影者は自分のイメージをしっかり持って撮ることが大切です。



“夏の自由テーマ”には水、花火、お祭りを被写体にした作品が多く集まりましたが、夏の風景と自由の境がなくなってきています。風景の中でも人物が写っていたり、自由の中でも風景だけのものもあります。毎回のことですが、去年の上位作品を模したものがありました。写真は撮影者の感性も表現するものです。新しい発見をしながら、その感動を画面化してこそ良い写真が生まれます。自分の受けた感動を見る人に伝えられた時に、初めてすばらしい作品と言えます。撮影には好奇心と行動力が必要です。新しい発見をしながら感動して、その感動を写すことが良い写真を撮るポイントだと思ってください。

グランプリ寸評
少女たちの元気さが良く表現されています。4人それぞれの表情がすばらしく、若さがあふれており青春そのものです。単純にジャンプしてもらっただけではこのような素敵な表情は出ないと思います。撮影者の気持ちが少女たちに伝わっているからできる自然な表情です。躍動感にあふれた青春の1ページをとらえた作品です。

今回も何枚かの組写真と思えるような応募作品がありましたが、最終的には1枚だけしか選考対象としません。ですから1枚1枚を誰が見ても1つの作品として成立する内容の濃いものを応募して欲しいと思います。また、ホームプリントで応募された方もいますが、やはり色の仕上りに問題のあるものが目立ちました。過度の演出を試みた作品もありましたが、適度にアレンジすることは問題ないと思いますが、やり過ぎはマイナス評価につながりますので注意して欲しいと思います。
審査員 増田勝正氏
 ますだ かつまさ/1945年東京都出身。
愛犬雑誌のカメラマンを経て現在フリーの動物カメラマン。アイメイト(盲導犬)のボランティア活動にも参加し、自ら犬、猫の繁殖・育成にかかわっている。
グランプリ寸評
今回は犬と猫を写した作品のレベルの高さが目に付きました。その中でもこの作品からは飼い主の愛情が強く感じられます。猫がこのような表情をするのは本当に気を許した時なので、飼い主でないと撮れない写真です。他にも似たような作品はありましたが、これだけリラックスした表情のものはありませんでした。猫に対する飼い主の気持ちがよく伝わってくる作品です。
今年の夏は猛暑でしたので、水に関する作品が多く集まりました。また、屋外ではなく部屋の中でお昼寝をしているところを撮影したものも目立ちました。技術的には一定以上のレベルには達していても、何を撮っているのかがハッキリしないものは、入賞することができません。やはり、こどもの表情がイキイキとしている作品が入賞しています。そして、こどもの表情を生かす背景を選ぶことが重要です。その背景をいかに簡略化できるかがポイントになりますので、次回の応募にはその点に注意して欲しいと思います。
審査員 沼田早苗氏
ぬまたさなえ/1968年大竹省二氏に師事。1978年フリーの写真家となり商業写真、取材写真を手がけ、ライフワークとして著名な男性のポートレイトを撮影。写真展には「私の写交録」「みんな・みんな・蒼き狼」「もう一人の日本人」などがある。
グランプリ寸評
この作品は沖縄ならではの白い砂と抜けるような青空が印象的にとらえられています。その中で赤い見張り台がアクセントになっています。そして何よりも水着の女の子の表情とポーズが大胆で、のびのびとした感じが可愛らしく写されています。画面を斜めにした構図と青、赤、白3色のコントラストが効果的で、沖縄の夏の空気感もよく表現された開放感のある作品です。
デジタルカメラが主流になってから、作者が感じた素直な感情が伝わる作品が増えてきています。自分の気持ちが写真に出ないと、写真を見た他人は感動しません。自分が感動したものを素直に表現するのが写真では大事なこと。テクニックに優れているものが、いい写真の基準ではないので、こうした傾向はいい方向に進んでいると思います。但し注意して欲しいのは、自分でプリントする際に過剰に色をいじり過ぎて逆に悪くなっているのも多くありました。少しずつ経験を重ねて、最終的には大型のプリントデータも自分で作ることを目標にして欲しいとおもいます。
審査員 サンダー平山氏
サンダーひらやま/1956年千葉県出身。日本大学文理学部物理学科自主卒業後、日本写真芸術専門学院発展的除籍。CMカメラマン、ファッションカメラマンなどの助手を経験した後にテレビ屋もかじる。つまり助手経験めちゃくちゃ豊富。そしていつのまにかサンダー平山となる。著書とっても多数。

グランプリ寸評
これは妖怪のオブジェだと思います。写っている男性が作者とどのような関係なのかわかりませんが、単純に見て楽しめる作品だと思い選びました。もしかしたらセルフポートレートで撮ったのかも知れません。いろいろと想像できるところもこの作品の面白さのひとつだと思います。


※敬称は略させていただきました。
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各種グランプリ



※腕自慢部門
テーマ1 夏の風景:特選/準特選/入選/キタムラグループ賞 テーマ2 自由:特選/準特選/入選/キタムラグループ賞
 
※腕だめし部門
テーマ1 いきもの:特選/準特選/入選
テーマ2 こども&赤ちゃん:特選/準特選/入選
テーマ3 自由:特選/準特選/入選
テーマ1 いきもの:佳作/キタムラグループ賞
テーマ2 こども&赤ちゃん:佳作/キタムラグループ賞
テーマ3 自由:佳作/キタムラグループ賞