「選者の見る眼」によって評価は大きく分かれる
裏を返せば、撮り続ければ必ずチャンスは訪れるということ
毎回盛り上がりを見せ、今回は約15%も応募総数が増えた。審査も大変楽しく、審査員として「ありがとう」と言いたい。純風景や人物の入った作品の中でも、さらに幅が広がった感じがする。
デジタル時代になり自家製プリントによる応募が増えた。仕上げも優れたものが多く、それらが上位入賞に至った点は喜ばしいことだ。加工をせずにストレートで良い作品もたくさんあり、これはデジタルを使うようになっても写真の方向性を見誤らないレベルに到達できている応募者が増えた証拠だ。ただし、色彩や明るさを過度に加工して本来の良さを台無しにしている作品も見受けられた。デジタルで方向性を誤ると写真文化そのものの危機につながるので注意が必要。撮影手段がどのように変化しても真摯にストレートな作品を心がけてほしい。
また、デジタルカメラの普及で暗い所の作品表現がより多彩になった。ポジフィルムであれば暗部の粒子が荒れて作品にならなかった場面でもデジタルはきっちり写し込むことができる。その長所を活用して現代に合うような作品が出てくることに期待する。
他の審査委員が絶賛しても私はあまり良いとは思わない作品があった。そういう「選者の見る眼」によって評価が大きく分かれることが実に面白いと思った。裏返せば今回残念ながら落選した人も、撮り続ければ必ずチャンスは訪れるということだ。 |