写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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1999.01.30
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
昔から熊野の修行は厳しいことで知られていますが、この熊野は三山からなっており、熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社を「熊野」と総称しているといえます。毎年2月6日に熊野速玉大社で勇壮そのものの「お灯祭り(おとうまつり)」が行われます。伝統と格式、そして荒々しさは他に類を見ないほどの行事です。新宮市の名称はこの大社のいわれから付けられています。
熊野神社は日本全国に3000社が散在していることからみても、信仰の広がりは大きな存在にあるといえるでしょう。それだけに「お灯祭り」も伝統を守った祭になっており、今もって女性はこの祭に参加しません。ちなみに、女性は参加できないのではなく、役割が違うといった方が正しいかもしれません。男性が真っ暗な荒々しい場所から「火」を持ち帰り、女性がその火を家で迎えるのがシキタリになっているからです。女性を蔑視したりしているのではありませんので、念のため。
こうした火を扱う事情から、祭のメインは夜間になります。午後8時に信者や地元民、飛び入りの祈願人達が白装束、白足袋の白装束に、荒縄、わらじはいて、約2000人が松明を持って暗闇の神倉山階段を我先に競って駆け降りるのですから、勇壮この上ありません。新宮節に「お燈祭りは男のまつり山は火の滝 下り竜」と歌われていますが、遠方から眺めていると、確かに竜が暗い山道を下ってくるような錯覚に陥るほどです。近くで見ていると「ワァー」の声が地鳴りのような響きで、思わず武者ぶるいするような感動を覚えます。
この祭に本格的に参加する人達は、当日の午後に太平洋の荒波が洗う熊野灘で体を清め、食事も白一色(豆腐、白かまぼこ、ハンペンなど)のものしか口にせず、神倉山にある神社を参拝しての祭にのぞみます。参拝の途中ですれ違う参加者達は「頼むでー」と大声を掛け合い、持った松明を打ち合いますが、こんなところから、写真として絵になる雰囲気が一段と高まってきます。
境内に集まった2000本の松明に神火がともされると、クライマックスの始まりです。火炎と煙が夜空に流れ、8時になるとそれらの火が一気に流れに変わり、階段を駆け下ります。
ところで、ここで撮影した写真が祭のコンテストなどで、上位に入賞することは珍しくありません。それだけ迫力のある、祭らしい雰囲気が撮れるということでしょう。この撮影については、祈願人がフラッシュで目が眩んだりして危険であることから規制されています。前もって神社に許可を得た場所でなければ撮影できません。近くで撮影を希望する人は、当日の午前中に腕章をもらってください。この時、翌日の掃除などの人達のために 1,000円を納めます。近くで撮影できる人数はスペースの関係で 500人程度ですから、当日も早い時間でなければ腕章をもらえないこともあります。もっとも、ごくそばで撮らなくても祭の雰囲気は十分に撮影できます。
注意点としては夜間撮影になりますから、昼間にロケハンをしてどこで「撮る」か場所決めをしておくことが大切です。また、懐中電灯などそれなりの準備も必要となるでしょう。規則を守って撮影にのぞんでください。
[交通アクセス]
JR紀勢本線 新大阪(天王寺)駅から特急で約4時間 新宮駅下車。徒歩15分。
[問合せ]
新宮市役所 経済観光課 0735-22-5231
熊野速玉大社 0735-22-2533
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