写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
1999.05.08
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
春の喧騒を思わせるをゴールデンウィークもいつしか過ぎ去って、いつもの生活パターンが戻ってきた今日この頃です。木の芽も新緑から濃緑色へと夏に衣替えを始めてきました。豊作祈願の祭もそろそろ終わりを告げますが、岡山県倉敷市に愉快なおじいさん、おばあさんの面をかぶった“すいんきょ(素隠居)”と呼ばれる神事が残っています。花が咲き乱れる5月15~16日にかけて行われます。
倉敷市といえば、白壁の蔵屋敷が連なり、倉敷川周辺に美術館、博物館が立ち並んで伝統的な芸術のにおいがする町として有名ですが、一昨年の夏にJR倉敷駅のすぐそばに“ちぼり公園”ができて、花の町のイメージも加わっています。こうした文化の町の守り神的な存在として阿智神社があります。美観地区近くにある結構大きな神社です。毎年、春には豊年を祈願して、秋には豊作を祝う祭の神事“すいんきょ”があります。地元で「じじ、ばばの面」と呼ばれる面を被った素隠居が、昔なつかしい渋うちわを持ち、町中の子供たちを追いかけて、頭を叩いてまわります。子供たちは「クソじじ、クソばば」と呼ばわりながら、逃げ回りますが、叩いてもらうと健やかに育つともいわれています。
もっとも、追われるのは子供たちだけでなく、観光客も一緒に追われます。最近は特に若い女性が狙われる確率が高くなったとか……。ともあれ、追いかけるものと追われるものとの歓声があちらこちらに響き、誰でもがいつの間にか輪に入ってしまっているたのしく、そして珍しいお祭です。春と秋の比較では、子供の日が近いためか、春は子供、秋は大人のイメージがあります。
この阿智神社は小高い鶴形山にあって、美観地区を見渡すには絶好の場所です。祭などの特別の行事がないときは、見かける人もまばらで静かな落ちついたたたずまいを見せてくれます。高所から倉敷の町を撮りたい人には、是非、この境内はおすすめです。本瓦葺きの屋根が続く倉敷の町並みがみられます。無論、観光に来て、雑踏から離れたい気分になった時にも、この鶴形山公園一帯での散策は格別です。また、ちょっと時期的に遅いかも知れませんが、倉敷市の花ともなっている藤、樹齢500年の「阿智の藤」も撮影ポイントです。地元では「あち花さん」とも……。
ところで、一昨年できた“ちぼり公園”は12ヘクタールの広さ、といっても想像がつきにくいかも知れませんが、あちこちを見て回って少なくみても半日はかかるスペースです。数々の花のなかに北欧の中世・ルネッサンスの時代を思わせる建造物が立ち並んでいます。夜間8時まで開園しており、建物がライトアップされますので、これも是非、被写体にしたいところです。
倉敷の町並みを撮るには夕景がおすすめです。観光客も少なくなり、ほかでは味わえない独特のムードが漂います。ただし、肉眼での景色とレンズを通した景色のギャップを特に大きく感じさせるのがこの夕景です。夕日の順光はカメラまかせでも、ほぼ間違いでしょうが、逆光ではレンズに光が入らないようにしなければ、おかしなハレーションを起こしますので、まずこれに気を付けます。もっとも、このハレーションに露出が合ってきれいに撮れることがありますから、皮肉といえば皮肉な光ですが、暗い部分に露出を合わせて撮る、明るい部分に露出を合わせて、それぞれ3段階露出は抑えたいですネ。無論、ビシッと撮るためには三脚が必要です。
[交通アクセス]
JR山陽新幹線岡山か新倉敷駅から山陽本線で倉敷駅まで10~15分
[問合せ]
倉敷市観光課 086-426-3030
阿智神社 086-425-4898
倉敷ちぼり公園 086-434-1005
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。