写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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1999.06.05
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
九十九里浜。千葉県の太平洋側にある海岸です。北は飯岡漁港(銚子市の南東にある港)から、南は岬町の太東漁港まで、延々と続く砂浜です。この九十九里浜は貴重な海浜植物が群生しています。高山植物と違って海浜植物は、どちらかというと地味な存在です。実際に花は最盛期にあっても色があせている感じのするものが多いようです。また群生といっても何千本がじゅうたんのように……の表現は当てはまりません。20~30本があちらこちらに散見できるといった状態です。このためにカメラマンからすると、いまひとつ魅力に欠けているかもしれません。しかし、よく見ると、潮風と一緒に飛んでくる砂粒に耐えながら、一生懸命咲いている姿が愛らしく思えてくるから不思議です。
今は薄いピンクと白を交互にあしらったハマヒルガオ(写真)が潮風に吹かれながら咲いていますが、このほか黄色のハマニガナ、コウボウムギ、ハマエンドウも散見されます。さらに驚いたことに九十九里町ではハマナシ(ハマナス)が群生しています(開花時期6月上旬)。北の海岸に咲くものとばかり思っていたのですが、学説では南限が茨城県といわれていたものが九十九里浜のほぼ中央に位置する場所にあったのです。紫紅色をした五弁のバラに似た花で、初夏に咲きます。また、この浜ではアオウミガメが産卵に来ます。広大な砂浜のためにそれを目撃できるのは稀有なことですが、自然に恵まれた浜辺であることには間違いありません。
九十九里海岸は昨年の春まで、自動車やバイクの乗り入れが自由でした。このために海浜植物が踏み荒らされ、ウミガメが産卵した上をバギーカーが何度も走り抜けていました。それが規制されて1年ちょっとを経過しただけに過ぎませんが、海浜植物が急に増え始めています。
ところで、昭和30年代まで浜で働く男達はすっ裸、オッペシと呼ばれる船を陸揚げする女性達も上半身は裸でした。そうした姿は現在はまったく見られませんが、地引き網が行われている時に、フンドシ姿の高齢者に出会い、ドキッとさせられることがあります。その地引き網も観光で行われる程度ですが、網を積んで沖合いに出かける漁船、仕掛けられた網を引く明るい子供達、童心に帰った大人達の歓声が聞こえます。海岸では波乗りが盛んに行われ、冬でも若者が波に乗っています。
6月の海はサーフィンをする若者が波間に浮き沈みしている程度で、喧騒もなく静かです。雨さえ降らなければ、絶好の行楽日和になりますから、梅雨の晴れ間にブラッと訪れる海は魅力があります。
九十九里町の見どころとしては、国立博物館にある池田屋敷の黒門、東京大学の赤門と並ぶ日本三門のひとつに国の重要文化財[武家屋敷]が山脇学園臨海校舎内にありますが、見学に予約(連絡先:山脇学園事務局 03-3585-3911 FAX03-3224-1416へ必要事項記入)が必要です。
また、どういったわけか、九十九里町には「碑」が多くあります。伊能忠敬の碑(ここで生まれた)を始めとして、目黒自琢墓碑(妙覚寺)、竹久夢二「宵待草」詩碑(片貝漁港)、真忠組志士の碑、徳富蘆花「新春」文学碑、高村光太郎「千鳥と遊ぶ千恵子」詩碑などがあります。
この広大な砂浜の撮影は変化を求めないとつまらない写真になってしまいます。広さを撮ろうと広角でねらっても、波打つ海岸線しか撮れません。海浜植物のほか、波紋、サーフィンの若者達、背丈の低い防風林などを入れて変化をつけます。こうしてみますと、望遠レンズが有効に役立ちそうです。なお、海での撮影後はカメラの手入れを怠りなく行ってください。
[交通アクセス]
九十九里町へはJR東金線(外房線大網乗換)で東金下車 バス20分
自家用車が断然有利です。
[問合せ]
九十九里町役場広報係 0475-70-3122
九十九里町観光協会 0475-76-9449
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