写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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1999.08.28
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
この長門周辺は観光資源に恵まれて、多くの撮影ポイントがありますが、あまれ知られていないために俗化されていないところが逆に大きな魅力といえる町です。古い町並みもまだ残っており、海の町でありながら荒々しさがなく、どちらかといいますと、静かな雰囲気が漂う町といえるでしょう。このようなムードのためか、古くから近松門左衛門の出生の伝承があります。門左衛門の出世地については謎につつまれていますが、松尾芭蕉、井原西鶴とともに三大文豪と讃えられた彼にとって、ここがふさわしい感じがします。
秋の収穫を前にしての9月10日、地元では「赤崎様の楽踊り」といわれる赤崎神社へ奉納する祭事、赤崎神社楽踊(あかさきじんじゃがくおどり)があります。この踊りはもともと家畜の疫病退散の祈願として奉納されており、その名残があって、華麗に踊る舞も、鶏を連想させますが、花冠を頭上においての乱舞は非常に躍動的です。
この踊る場所がまた撮影対象としては魅力的です。赤崎神社楽桟敷がそれです。国指定重要有形民俗文化財に指定されていながらも、一昨年までは棚田のような雰囲気の桟敷(さじき)でしたが、昨年からはここで、赤崎神社楽踊が見られるようになったのです。
桟敷といっても、すり鉢状の地形をした所に半円形ちの階段状(左の写真)になっており、古代ギリシャにみられるような野外円形の劇場のようなもので、相撲の桟敷席とはイメージがまったく違います。元来、赤崎神社楽踊や湯本南条踊などは、この桟敷で見物していたもので、いうなれば元の姿に戻したことになります。この桟敷は、建築史、演劇史、宗教民俗上、貴重なものとされていますので、興味のある方はこの奉納踊りを見ながら、研究してみてはいかがでしょう。踊りは午後1時20分からスタートです。
撮影は高い桟敷の上からも可能ですが、桟敷の反対側がグランドになっており、見物者を含め、桟敷全体を撮ることもできます。
以前、長門市を歩いていた時「みすゞ通り」の表示があって、東京・銀座のスズラン通り、みゆき通りと同じような名称だろう程度に思っていたところ、童謡作詩家の金子みすゞに因んでつけれていたことが後で分かり、同じ歩くなら彼女を偲びながら歩きたかった、と悔やんだことがあります。彼女の詩の内容は魚などの動植物をいたわる内容が多いのですが、その背景にはこの長門市のやさしさが出ているように思えます。
というのも、この地方には鯨に関していろいろな逸話が残っていますが、昔、鯨を素手で捕っていた頃、鯨が捕れた時、鯨唄を手をこすりながら歌い、決して叩かないそうです。その理由は「捕れて嬉しいが、鯨のかわいそうである」の回向の気持ちの現れだといわれています。彼女の動植物をいたわる内容が多いのもこの町のやさしい雰囲気が育んだからではないでしょうか。みすゞ通りには、みすゞが暮らした遠い明治の面影を宿す雰囲気が今も残っています。
ところで長門市いえば、青海島、その周辺の奇岩を頭に浮かべる人も多いことでしょう。海岸の撮影には持って来いの場所です。岬もあれば、松原、白砂の浜、そして数々の奇岩、絶壁、さらに夕陽が海に沈む光景も大きな魅力です。一般的に海は変化が乏しいといわれていますが、ここだけは格別です。海のシーズンを終えた秋の海岸は、空気も澄んで撮影にはふさわしい場所です。周遊船の海上からこれらの景色を撮るには、船の揺れがあってなかなか難しく、三脚を構えてゆっくり撮りたいと考えても、思うに任せてくれないのが残念です。しかし、海岸沿いに青海島自然研究路がありますので、ここからは通行の邪魔にならないようにすれば、ジックリ撮影できるポイントがあります。
なお、蛇足ながら、名物の焼き蒲鉾(一般は練って蒸している)は歯ごたえがあって、おいしいことを付け加えておきます。
[交通アクセス]
JR新幹線小郡駅→(高速バスで約60分)→長門
JR山陰本線長門市駅下車
赤崎神社楽桟敷 長門市駅からバス10分。赤崎神社前下車徒歩3分
青海島自然研究路 長門市駅からバス20分静ヶ浦バス停下車徒歩3分
[問合せ]
長門市役所観光課 0837-22-2111
長門市観光協会 0837-22-8404
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