写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
2000.06.17
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
大阪の夏の暑さは格別ですが、その夏を告げる祭の最初が愛染祭です。6月30日から7月2日まで催されますが、メインは初日、浴衣姿の愛染娘が宝恵籠(ほいかご)に乗ったり、そばを歩いたりする行列ができます。
こうしたことから、ゆかた祭の別名があります。大阪ではこの日から、浴衣を出したり、着たりする風習があります。祭のある天王寺区近辺では、この風習が意外と根強く残っているようです。浴衣姿の愛染娘を中心に、だんじり囃子が響き、宝恵籠行列が賑やかに通る様は、大阪ならではの、雰囲気にあふれます。
この宝恵籠行列は6月30日、午後2時に近鉄あべの駅から、宝恵籠に愛染娘を乗せて、ワッショイワッショイと賑やかにスタートして、勝鬘院(しょうまんいん)まで約2時間ほどかけて大阪の町を練り歩きます。この勝鬘院は本尊が愛染明王であることから、一般の人は愛染さんと呼んでいます。ちなみに京都、大阪では寺院を「さん」付けで呼ぶことがしばしばあって、祭などがあると「○○さんへ行こか」と、まるで人の名前の呼ぶように誘い合います。
ところで、戦前に「愛染桂」という恋愛映画が一斉を風靡してことがありますが、勝鬘院の「鬘」は頭に乗せる「かつら」の意ですから、ここから原作の川口松太郎さんはアイディアを出したのではないかともいわれています。この「愛染」とは仏教の言葉で「愛の執着心」の意味があり、「愛染法」は愛染明王を本尊として、無事・幸福を祈る秘法ですから、最近では愛染明王を「恋愛の神様」としての評判があります。
この勝鬘院の多宝塔は秀吉によって建立され、桃山様式を伝え、大阪市内では最古の建造物です。また、祭の期間中に愛染明王と多宝塔の大勝金剛尊の秘仏が開帳され、参拝することはできますが、残念ながら撮影は禁止です。
さらに勝鬘院のある地域は夕陽丘といわれ、以前は夕景のきれいな場所でしたが、最近は高層ビルに囲まれて、見るのは難しくなりました。とはいえ、勝鬘院の前にある愛染坂を登った大江神社や、清水坂の高台にある清水寺の境内から見る、勝鬘院の多宝塔と高層ビルを対比したシルエットの夕陽は撮影の価値があります。この周辺には史跡が集中していますので、歴史探訪にも楽しい所です。
なお、宝恵籠行列は6月30日のみです。愛染祭と、響きは柔らかいのですが、そのイメージに惑わされないようにお出かけください。
[交通アクセス]
大阪市営地下鉄 谷町線 四天王寺前駅下車 徒歩3~5分
JR天王寺駅から徒歩15分程度
[問合せ]
勝鬘院 06-6779-5800
大阪市観光課 06-6208-8965
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。