写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2002.01.05
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
その昔、朝鮮半島の古代国家、百済が崩壊し、百済の王族が日本に亡命したものの、その家族はバラバラになっいしまったそうで、百済王が最終的に辿り着いた場所が、この宮崎県南郷村だったといわれています。
この「師走祭り」は、異国の地で離ればなれに祀られている王族の御霊をなぐさめる形で催されているといわれ、木城町(宮崎県)の比木神社に祀られた王子が父王を祀っている南郷村の神門(みかど)神社を訪れ再会するという、全国的にも極めて古い形態を残しており、百済の風習も数多く残っています。90kmもの巡行など、他に頬例のない不思議な祭りです。
いにしえより連綿と続くは百済伝訳の証とされ、1,300年近くも村人にかたくなに守り継がれてきた祭で、1月に「師走」というのは旧暦の関係で、今年は1月25~27日に行われます。
物静かな行列は古代の雰囲気を残し、この期間、村里は祭り一色に染まります。初日は、比木神社から一行が南郷村に向かう「上りまし」が行われ、中でも、水田に20数基のやぐらに火を付け、夕闇せまる神門神社付近で天をも焦がさんばかりの「迎える火」は荘厳でそのスケールには誰もが圧倒されます。師走まつりのクライマックスのひとつです。
2日目は「お衣洗い」の儀、3日目は比木神社に帰るお別れの「下りまし」の儀が行われますが、この時、人々が互いに墨を塗り合う「ヘグロ塗り」があって、大賑わいになります。
(概略)
初日 08:30 木城町比木神社出発
08:30 日向市金ケ浜でみそぎ、09:30 東郷町祭典・神楽、13:00 南郷村小丸川でみそぎなどがあって、17:10 迎え火(約1時間)
2日目 14:00 ドンタロ祭(弓の将軍神楽)、14:30 小丸川で洗濯、川原で野焼きなどの後、夜間に神楽
3日目 10:00 ヘグロ塗り(別れの悲しみを隠すために塗ったといわれる)、11:00 お別れ行事(婦人達が炊事道具を手に手に送る)
ところで1980年代末に、師走まつりが極めて古い形態を残した珍しい祭であることが分かり、1991年には国の無形民俗文化財に指定されています。
さらにこの南郷村には、奈良正倉院と建築様式はもとより、瓦の数まで同じにした、西の正倉院があります。これは、村に伝わる数々の宝物を調べた結果、正倉院の収蔵品に匹敵するものであることが判明、百済王伝説のひもときに重要な役割を果たすとして、西の正倉院を建設されたわけです。
こうした事情から、韓国との交流が盛んになって「百済の里づくり」が行われ、百済の館、恋人の丘(写真右)などが設けられています。
今や南郷村では、子供達は普段でも「アンニョンハセヨ(こんにちは)」と挨拶したり、若者達は韓国の伝統芸能「サムルノリ」を演奏しているのに加え、主婦達が作るキムチは南郷村の特産品となっています。
このように師走まつりは、神秘的で、ミステリアスな雰囲気のある祭りですから、一般的な派手な祭とは若干、趣が異なります。この辺をいかに表現するかが、撮影のポイントになるでしょう。また、百済の里では、韓国特有の原色を使用した建物があって、異国情緒も漂ってますので、フィルムに納めておきたいところです。
写真・資料提供:南郷村役場企画観光課
[交通アクセス]
JR日向駅より徒歩5分の日向バスセンターより1時間
[問合せ]
南郷村役場企画観光課 0982-59-1501
神門神社社務所 0982-59-1134
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