写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2005.07.09
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
初心者、ファミリー向けのデジタル一眼レフカメラがブームになっています。でも、カメラに詳しくない人にとっては、コンパクトも一眼レフも、同じ「カメラ」にしか見えないこともありますよね!? 今回は、そんな方のために、一眼レフと、そうでないカメラの違いについて、解説したいと思います。
カメラの種類は、フィルム用でもデジタルカメラでも、実際に撮影に使う画像を映すためのレンズと、撮影者が目で見て、被写体や構図を確認したり、ピント合わせをするファインダー用のレンズという、2つのレンズの関係によって、大まかに分類することができます。
この中で、「一眼レフ」とは、撮影画像用レンズが、ファインダーでのピント合わせ用レンズを兼ねている仕組みのカメラのことです。外観的には、前から見たときに、大半の機種で中央部分が「山」になっているのが特徴です。
一眼レフは、ファインダー用に別のレンズを用意する必要がないので、レンズ交換が容易に実現できます。一眼レフも、広告や店頭での展示品ではレンズを付けた状態になっていることがほとんどですが、このレンズは外すことができ、購入するときも、ボディ(カメラ本体)に合わせて、好きなレンズを選ぶことができます。ちなみに、レンズを買うのを忘れると、一眼レフでは写真が撮れません。
一方、コンパクトカメラの場合では、撮影画像用レンズのほかに、ファインダー部分にも小さなレンズが付いており、これが一眼レフとの最大の違いになります。コンパクトカメラでは、構造上、2系統のレンズを持つことになるので、レンズ交換ができない機種がほとんどです。
「一眼レフ」という名前にある、“一眼”とは、ピント合わせをするファインダー用に第2のレンズがない、「一つ眼」のレンズという意味。プロが使うような、“一番、お眼が高いカメラ”などという意味では、決してありません。そして、“レフ”とは「レフレックス」の略で、これは反射ミラー(鏡)のことです。
一眼レフのレンズを外して中をよく見ると、ボディ内に、斜めに配置されたミラー(鏡)が入っています。これは、ファインダーを覗いて被写体を確認するとき、潜水艦の潜望鏡のようにレンズの光を導いて像を映すために付いているもの。ミラーの真上にあるスクリーンと、ボディ上部の「山」になっている部分の中に入っているプリズムを通して、どんなレンズを装着した場合でも、実際に撮影する写真と同じイメージ(プロ用高級機種では100%一致)を、ファインダーで見ることができます。
撮影時、シャッターボタンを押すと、瞬間的にボディ内のミラーが跳ね上がって、レンズの光がまっすぐにフィルムまたは撮像素子に当たる状態になり、シャッター幕が動いて露光を完了。それと同時に、ミラーはもとの状態に戻ります。したがって、実際にシャッターを切っている間は、ファインダーにはレンズの光が届かないことになるので、ファインダー内をよく見ていると、露光中は像が一瞬だけ消えます。
このように、一眼レフでは、レンズ交換を可能とする代わりに、ボディ内部は相当に複雑な構造になっています。コンパクトカメラと比べて、一眼レフの値段が高く、重量も重いのは、この複雑なメカのためです。一眼レフでは、ナマの光学画像をファインダーで確認して、一瞬の遅れもなくシャッターチャンスをとらえることができます。
複雑な構造を持つ一眼レフが、その昔、まだ普及していなかったころには、二つの眼がある「二眼レフ」というカメラが使われていました。この二眼レフでは、撮影画像用のレンズと、まったく同じレンズがもう一つ、ファインダーのピント合わせ用として、縦に並んで付いています。このレンズを通して、フィルムと同じサイズのファインダースクリーンに映った画像を見ながら、ピントリングを手で回して、焦点を調節する仕組みになっています。
下のレンズが撮影画像用で、上のレンズがファインダー用。ファインダーは真上から覗くようになっており、レンズ像を上に導くための“レフ”、つまりミラーがボディ内に内蔵されています。撮影画像用とピント合わせ用のレンズが独立しているので、一眼レフのようにミラーを瞬間的に跳ね上げて撮影する必要がなく、露光中も被写体を確認できます。機械の構造としてはシンプルですが、交換レンズは常に2つがペアになり、2つのレンズを同時に動かしてピントを合わせる仕組みになるので、ボディは大きく、操作もかなり面倒でした。
二眼レフは、主に中判フィルム用のカメラに見られたタイプで、画面サイズは6×6センチサイズの正方形という、一般の方にとっては珍しい形です。また、レンズが2つなので、近距離では、やはり双方のレンズの視野にズレが出てしまいます。
一眼レフではないタイプのコンパクトカメラは、レンジファインダーカメラというカテゴリーに入ります。このタイプでは、撮影画像用レンズの上に、被写体を確認するための覗き穴となる、ファインダー用のレンズが別に用意されているのが特徴。前から見ても、ファインダーがあるのがわかります。
ピント合わせは、撮影画像用のレンズを通った光ではなく、ファインダー側のレンズにより独立して行い、これに連動して撮影画像用のレンズを動かす仕組みになります。ピント合わせは、三角測量の原理を応用した方法で行うものが多いですが、コンパクトカメラの場合は、現在では、ほとんどがオートフォーカスなので、撮影者が自分でレンズを動かす機種は少なくなっています。ちなみに、ライカなどの伝統的な高級カメラにもレンジファインダー機があり、こちらはマニュアルフォーカスで、ファインダー像のズレを見ながらピントを合わせる機構が搭載されています。
レンジファインダーカメラでは、一眼レフのように反射ミラー(レフ)やプリズムを組み込む必要がないので、構造をシンプルにでき、ボディサイズも小型化できます。また、撮影時にミラーを動かさない分、シャッターの作動をスピーディにすることもできます。ただし、ライカなど一部の高級機以外では、レンズを交換することができないので、ほとんどのレンジファインダーカメラは、レンズも最初からボディと一体化されています。
レンジファインダーのデメリットとして、近距離では、撮影画像用レンズとファインダー像の両者間で視野のズレが生じ、フレーミングの正確さを保てない点が挙げられます。このため、厳密なフレーミングとピント合わせが求められる近距離での撮影では、一眼レフが圧倒的に有利となります。
デジタルカメラでは、CCDなどの撮像素子に映った画像を、リアルタイムで液晶モニターに表示することができるので、コンパクトタイプでは、光学式のファインダーを省略した機種もあります。これは、フィルム時代には存在しなかった、カメラの新しいスタイルです。
なお、デジタル一眼レフでは、撮像素子の前にシャッター幕を配置して露光時以外は光を遮り、レンズ像はミラーを通してファインダーに届くので、リアルタイムの液晶表示はできません。
コンパクトタイプの液晶モニターでも、一応は一眼レフと同じように、撮影画像と同じイメージを確認することができますが、電子的に処理された画像なので、一眼レフのナマの光学ファインダー像に比べると、わずかながら動作に遅れが出たり、色が変化する場合もあります。
いわゆるコンパクトタイプのデジタルカメラと、デジタル一眼レフカメラは、似て非なるものなので、用途や撮影目的に応じ、それぞれの特性を考えて使い分けるのが活用のコツと言えそうです。
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