写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2005.09.24
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタル一眼レフで、気合を入れて撮ったお気に入りの写真。その写真をプリントするときは、どうしていますか? キタムラがおすすめする、最も適したプリントは、店頭かインターネットでオーダーして、お店で印画紙に焼いてもらう方法です。では、なぜデジタル一眼には、「お店プリント」が良いのか? それは決して、お店を利用していただければ売り上げが増えるという、店側の都合というわけではありません。デジタル一眼で撮ったら「お店プリント」を選ぶことには、それなりの理由があるのです。今回は、その秘密についてお話しします。なお、お店でプリントするためには、撮影時に画像をJPEGモードで記録しておく必要があります。
デジタル一眼レフは、多くのカメラメーカーにおいて、基本的な設計がフィルム一眼レフに準拠していて、共通のレンズで撮影できるようになっています。このため、撮影した画像のサイズは、フィルム一眼レフの画面サイズと相似形(同じ形の拡大縮小関係)になっています。35ミリフィルムの実効画面サイズは24×36mmで、縦横の比率は2:3.デジタル一眼レフでも、これと同じく画面の縦横の関係(アスペクト比)は、2:3の比率を踏襲しています。この縦横比に最も適するように、印画紙の規格も作られているので、お店で写真をプリントした方が合理的だというわけです。
それでは、デジタル一眼レフではないタイプの、コンパクトデジタルカメラやレンズ一体型デジタルカメラの場合はどうでしょうか? 多くの機種では、縦横比は3:4で、デジタル一眼レフとは異なる比率となっています。この比率は、パソコンの標準的な画面の縦横比と同じで、フィルムの縦横比には準じていません。デジタルカメラの普及が、まずコンパクト機から始まって、デジタル一眼レフの方が後から出てきたので、このように画面のフォーマットにも違いが現れているのです。
1990年代後半に登場したコンパクトタイプのデジタルカメラは、まだ画質性能がそれほど高くなかったので、写真をプリントする目的より、パソコンに画像を入力する周辺機器として利用される機会が多く、画面の縦横比もパソコンで見やすいサイズが採用されたようです。この縦横比は、コンパクトデジタルカメラの画質が大幅に向上した今日においても継承されています。
デジタル一眼レフについては、フィルムに代わる撮影手段として、CCDなどの撮像素子が、写真プリントを前提に設計されているので、画面の縦横比もフィルムに準じたものと考えられます。
※オリンパスのデジタル一眼レフカメラは、デジタル専用設計のため、縦横比はコンパクトデジタルカメラと同じ3:4となっています。
デジタル一眼レフは、フィルムと同じ縦横比で撮影できるように設計されているので、サービスサイズから全紙サイズまで、どのような大きさの印画紙に引き伸ばしても、印画紙にプリントした段階で、画面にあまりムダが出ません。つまり、実際には印画紙にプリントされずに、カットされてしまう画像の部分が少なくて済みます。
一方で、コンパクトデジタルカメラやレンズ一体型デジタルカメラの多くは、撮影した画像全体では縦方向(短辺)がやや長めになるので、そのまま印画紙にプリントすると、写真の画面に収まりきらないでカットされてしまう部分が多くなります。
これに対して、シグマ製では、「Foveon X3(R)ダイレクトイメージセンサー」という新設計の画像センサーを搭載し、ピクセル単体で光の3原色すべてを同時記録する方式を実現。画面全体に並べられたセンサーが隙間なく光学像をとらえるので、演算による補完処理が不要となり、従来のデジタルカメラの弱点であった偽色の発生を抑えて、鮮明かつ忠実な色再現での撮影が可能となりました。
横を1とすると、縦は0.67(画面サイズはグリーンの枠)
横を1とすると、縦は0.75(画面サイズはオレンジの枠)
したがって、コンパクトデジタルカメラでは、普通に印画紙でプリントすると、撮影した画像の約1割が、写真からはカットされてしまうことになります。キタムラでは、この問題への解決策として、「DSCサイズ」や「DSCWサイズ」というコンパクトデジタルカメラ専用のプリントサイズも用意しています。しかし、それ以上の大伸ばしプリントを必要とする場合では、撮影段階から、デジタル一眼レフまたはフィルムカメラをご利用いただくのが適当でしょう。なお、レンズ一体型デジタルカメラなどの一部には、デジタル一眼レフと同じ縦横比で撮影できるモードを備えた機種もあります。
画面の縦横比の違いを、撮像素子の有効画素数と合わせて考えてみると、同じサイズの印画紙プリントを得るためには、デジタル一眼レフよりも、コンパクトデジタルカメラの方が、プリント画面がカットされる分を見越して、より多くの有効画素数を必要とすることがわかります。
両方のカメラで撮影される画面サイズを、面積比で比較すると、コンパクト機の画面はデジタル一眼レフの約1.1倍。よって、コンパクト機がプリント段階でデジタル一眼レフと同じ画素数を得るには、カタログスペックとしては、有効画素数1割を“かさ上げ”して調整するということになります。
この違いから推定して、デジタル一眼レフカメラとコンパクトデジタルカメラの有効画素数を、具体例を挙げて同じ縦横比のもとに換算すると、次のようになります。 (倍率を1.1として計算、実際の小数点以下の倍率はこの数値より高い。)
横方向の画素数を一定にしたまま縦横比を3:4の画面に置き換えたとしたら
(同じ画質を3:4の画面で実現するために必要な有効画素数は?)
(精度を保ったまま3:4の画面にすればカタログスペックの有効画素数は増える)
横方向の画素数を一定にしたまま縦横比を2:3の画面に置き換えたとしたら
(同じ画質を2:3の画面で実現するために必要な有効画素数は?)
(精度を保ったまま2:3の画面にすればカタログスペックの有効画素数は減る)
したがって、カタログに載っている有効画素数を単純に比較して、数字の上で、デジタル一眼レフの方が、コンパクト機に負けているように思えたとしても、プリントしたときの印画紙上の実効画素数では、それほど大差がないという場合もあるわけです。「有効画素数」という基準では、デジタル一眼レフの方が、コンパクトデジタルカメラより厳しい条件のもとに、勝負させられているとも言えます。
なお、コンパクトデジタルカメラでは、最高画質より実際に使用する画素数が少ないエコノミーモードを選べば、デジタルズーム機能が利用できるので、撮像素子に多少の余裕を持たせて、有効画素数の数値を高めに設計している例も見られます。また、撮像素子のサイズそのものが、デジタル一眼レフとコンパクトデジタルカメラでは異なっているので、デジタルカメラの画質は、有効画素数の最高値の比較だけでは一概に語ることはできません。
ちなみに、600万画素の解像度があれば、「W4つ切りサイズ」までは、満足できるプリント画質が得られます。したがって、現在発売されているデジタル一眼レフカメラでは、すべての機種で、実用上、十分なレベルの高画質が実現されているものと考えられるでしょう。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。