写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2005.10.01
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
コンパクトデジタルカメラでは、シーンモードやプログラムモードなど、被写体の種類によって撮影モードを選び、絞りやシャッター速度などを数値で設定しないタイプの機種も、たくさんあります。このようなコンパクト機からステップアップして、デジタル一眼レフカメラを使いこなすためには、「絞り(しぼり)」とシャッター速度の関係を知っておくと、カメラの搭載機能を有効に活用し、写真を撮影することができます。
デジタル一眼レフでもプログラムモードでのフルオート撮影は可能で、その精度もコンパクト機以上に高くなっています。でも、撮影に慣れてくると、カメラが自動でセットしてくれる露出が気に入らない場合も出てくるでしょう。こんなときに、絞りとシャッターを自在に操ることができれば、そのときどきの気分や好みの表現・描写に合わせた写真を撮ることができるというわけです。
絞りとシャッタースピードは、昔、カメラに自動露出機能が付いていなかったころには、最初に覚えなければならない基本中の基本でした。現在のカメラでは、これらの知識がなくても自動露出のみで撮影は可能ですが、露出設定の基本を知っていれば、普通の写真に、ひと工夫した撮影が手軽に楽しめます。
絞り(しぼり)とは、レンズを通る光の量、つまり像の明るさを、光を通す「穴」の大きさで調整するための機構で、「F」という単位によって表示されます。Fの数字が小さいほど、レンズを通る光の量が増えて像は明るくなり、Fの数字が大きくなるにつれて、レンズを通る光の量が絞り込まれて像は暗くなります。レンズを通る光の量が最大になる数値が、「絞り開放」の状態で、これがレンズ固有の明るさの性能です。
なお、レンズを前から覗き込んでシャッターを切ってみると、Fの数字が小さいとき(開放)のほうが絞り機構の物理的直径は大きく、Fの数字が大きいとき(絞り込んだ状態)のほうが、絞り機構の直径は小さくなり、F値と絞りの直径は逆数の関係にあります。一眼レフの絞りは、絞り込んだ数値にセットしても、通常はシャッターを切った瞬間しか動作しません。これは、ファインダー像を明るくして、被写体を見やすくするためです。
レンズのカタログで、「○○mm/F△」と表示されているとき、「F△」にあたる数字が、そのレンズの絞りを開放にした明るさの性能になります。ちなみに、Fの数字が小さい=明るいほどレンズは高級で、サイズは大きく、価格も高くなる傾向があります。標準ズームレンズの場合、F4程度が普通で、F2.8以下なら明るい、F5.6以上ならやや暗いといった印象があります。
レンズの絞りは、天候や照明などによって変化する、被写体像の明るさを調整するために、通常は開放値よりも絞り込んで使うことが多くなります。絞りには決まった数字が付けられており、カメラの絞りボタンやレンズの絞りリングを操作して、数字を選ぶことで露出をコントロールできます。
これは、順に1.4倍に数値が増えていく数列です。この数列に合わせて、絞り値を1つずらす量を、通例「1段」と呼んでいます。1.4=ルート2(2の平方根)なので、各数値を二乗すると2倍に増えていく数列となり、シャッタースピードの増減に対応します。
絞りの設定を変えると、レンズ内では絞りの直径が変わりますが、露出そのものは、光が当たる面積比で変化することになるのが、少々ややこしい数列になっている理由です。基本的には、これ以外の数字が絞りで出てくることはないので、数字の並びは、そのまま丸暗記してください。なお、多くのカメラでは、より細かな露出設定ができるように、絞りの数値を1段刻みではなく、1/2段あるいは1/3段刻みで操作できるようになっています。その場合、一見すると中途半端な小数が出てきますが、いずれの場合も上記の絞り値が基本となります。
なお、絞りは被写界深度(ピントの合う距離の範囲)に大きな影響を与えており、Fの数字が開放値に近づくとピントの合っていない部分のボケが大きくなり、大きい数字まで絞り込むほど、近距離~無限大(∞)までピントの合う範囲は広くなります。撮りたい写真のイメージによって、絞り値をあらかじめ決めておけば、背景のボケ具合を自在に表現することができます。
(次回へ続く)
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