写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2005.10.29
デジタル一眼レフカメラが、レンズとセットで販売されるときには、広角~中望遠程度をカバーするズームレンズが選ばれている例が多いようです。それゆえに、「デジタル一眼レフとは、ズームレンズを付けて使うものだ」という先入感を持ってしまいそうにもなります。でも、レンズ交換ができることが一眼レフの強みであるわけなので、必ずしもズームレンズを付けなくてはいけないということはなくて、より高性能な単焦点レンズを数本組み合わせて使うのもOK。ズームレンズと比較すれば、撮影の準備にラクはできないものの、単焦点レンズで撮った写真には、歴然とした描写力の違いが現れます。ここに、ズームレンズ一体型ではなく、一眼レフタイプを選ぶ最大の楽しみがあるわけです。
レンズ交換を面倒に感じなければ、単焦点レンズは、ズームレンズと比較して、以下のような優位性があります。
ズームレンズでも広角側・望遠側の両端に当たる焦点距離は正確にセットできますが、中間の焦点距離を正確に調整することは至難の技です。実際、ズームレンズを持っていても、両端の焦点距離でしか使わない方も、多いのではないでしょうか? もし、そうであれば、単焦点レンズの使用を検討する余地はあります。
普及型一眼レフでセットされるお手ごろ価格のズームレンズの場合、レンズの明るさを表す開放F値(最大に絞りを開いたときの数値)が、広角側と望遠側で変化するものが大半。通例、望遠側の方が暗くなります。これは、なるべく速いシャッターを切りたい望遠撮影で、絞り値の制約を受けてシャッタースピードが遅くなるという結果にもつながり、手ブレの原因にもなります。開放F値が全焦点距離で一定に保たれる高性能のズームレンズでも、開放F値2.8の明るさが、実質的な限界であるようです。これに対して、単焦点レンズでは、開放F値2.0以下の非常に明るいレンズが多く、しかも普及型ズームレンズのように、使用条件によって明るさが変わることもありません。
単焦点レンズは近接撮影に優れた性能を発揮し、被写体にピントが合う最も近い距離(最短撮影距離)が、ズームレンズより相当に短くできます。
広角と望遠という相反する機能を兼ね備える必要がある標準ズームレンズの場合、設計上、広角・望遠のどちらかをより優先する必要があります。もちろん、最新型のズームレンズは、日常的な撮影であれば、画質的に何ら問題がないレベルには仕上がっていますが、露出などが厳しい条件での撮影では、やはり単焦点レンズを望遠と広角で使い分けた方が、より快適に撮影できます。
高倍率ズームレンズの場合、広角側で撮影するときも、望遠域まで含めたレンズ全体の重さを、手持ちで支えていなくてはなりません。つまり、画角は広角でも、サイズは望遠レンズ並みということになります。これは、長時間の撮影になると、実際のところ、かなり疲れます。単焦点の広角レンズは、全長が短く、軽いものが多いので、広角のみ使用する状況であれば、広角単焦点レンズを選んだほうが、軽快に撮影できます。
単焦点レンズは、撮影時に設定した絞りに対応して、距離目盛りから、ピントが合う範囲(被写界深度)を読み取ることができます。また、赤外線フィルムを使う場合のピント位置も、距離目盛りに示されています。ズームレンズでも、焦点距離の調節が直進式のレンズには、被写界深度が示されているものがありますが、大半を占める回転式ズームレンズには、被写界深度が示されていないものが多くなっています。表示できない理由は、被写界深度が、焦点距離によって変化するものだからです。
ズームレンズの場合、レンズフードの長さは、広角側に合わせています。これは、仮に望遠側に合わせると、広角側では、画面にフードそのものが写り込んで画面がケラレてしまうから。望遠域までカバーするズームレンズに、円周部分に切り欠きのある花形のフードが付いているのも、広角側でのケラレを防止するためです。これに対して、単焦点レンズでは、各レンズの焦点距離に適した最大サイズのフードを使用できます。適切なサイズのフードを使用すれば、逆光時のゴーストや色かぶりを低減することができます。
単焦点レンズは、設計がシンプルな分だけ故障しにくいというほか、単焦点レンズを複数組み合わせて持っていれば、カメラに装着したレンズに、急な動作トラブルが生じても、ほかのレンズで撮影を続行できるというメリットがあります。ズームレンズ1本だけを使っていて、撮影中にレンズが故障したら、そこで撮影はストップしますが、単焦点レンズなら、たとえ焦点距離が違っても、他のレンズをバックアップとして使うことで、画角の違いをフットワークでカバーしながら、何とか撮影することはできるのです。
ズーム全域で開放F値2.8クラスの明るい高級ズームレンズで、広角~望遠を幅広くカバーしようとすると、レンズ1本当たり20万円程度の購入予算が必要になる例もあります。これに対して、使用頻度の高い焦点距離を選んで、複数の単焦点レンズを組み合わせた場合には、意外かもしれませんが、ズームレンズより予算が安くなることもあるのです。単焦点レンズであれば、開放F値2.8程度の明るさの製品は、特に高級な部類には入らないので、価格はたいへんお手ごろです。明るいレンズを安く手に入れたいのであれば、単焦点レンズを上手に組み合わせるのが得策。でも、ズームレンズが便利な場合もあるので、普及版のコンパクトなズームレンズだけは一応持っておいて、これにピンポイントで焦点距離を選んだ単焦点レンズをプラスするのも、また有効な作戦となるでしょう。
広角・標準・望遠から1本ずつ、基本的な構成として合計3本の単焦点レンズを選ぶ場合の例です。望遠レンズは、よく撮影する被写体に応じて、85ミリの代わりに、135ミリや、200ミリ、もしくはマクロレンズを選んでも良いでしょう。単焦点レンズも、同じ焦点距離の製品では、開放F値が明るくなるほど価格が高くなります。
この例は、キヤノンEOSシリーズ用レンズの場合。他メーカーの場合も、各社のマウントに適合する同様のレンズを選べます。標準50mmレンズについては、F1.4クラスの最も明るいレンズのほか、わずかに開放F値が異なる、F1.8クラスの安価なレンズをラインアップしているメーカーもあります。
【広角】EF28mm F2.8, 【標準】EF50mm F1.4 USM, 【望遠】EF85mm F1.8 USM
35ミリサイズで選んだレンズの焦点距離を、普及型デジタル一眼レフの画面サイズに適合するように「約1.5」で割ったミリ数をもとに、近い焦点距離のレンズを選択。ペンタックス用レンズを例に挙げています。
FA20mmF2.8 35ミリ判換算, 30.5mm FA35mmF2AL 35ミリ判換算53.5mm), FA77mmF1.8 Limited (35ミリ判換算118mm)
標準相当のレンズには、全長が極めて短い「パンケーキ型レンズ」のDA40mmF2.8 Limited(デジタル専用/35ミリ判換算61mm)もあります。
望遠FA77mmF1.8 Limitedには、シルバーとブラックの2色があります。
単焦点レンズは、必然的にレンズ交換の頻度が高くなるので、デジタル一眼レフに装着する場合は、撮像素子にゴミが付着しないように十分ご注意ください。屋外でも、ほこりや砂が風で舞う可能性のない場所を選んで、素早くレンズ交換作業を行うのがコツです。なお、単焦点レンズも、メーカー純正レンズと、各社マウントとの互換性があるレンズメーカー製レンズの両方から選ぶことができます。
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