写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
2005.12.24
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
気にいったものにカメラを向けたら逆光だった。こんなとき、あなたならどうしますか? 「逆光だ、どうせ写らないから撮らないでおこう!」では、せっかくのシャッターチャンスを逃してしまいます。最新型のカメラなら、デジタルでもフィルムでも、逆光の光線状態でキレイな写真を撮ることは、それほど難しくはないので、対処のためのちょっとしたテクニックを覚えておいてください。今回も、逆光撮影法の続きです。
測光モードが選べるカメラで、多分割測光ではなく、中央部重点平均測光を選んでいる場合で、なおかつ自動露出モードを選んでいる場合の撮影方法。中央部重点平均測光とは、画面の中央部にある被写体の露出値を優先しながら、画面全体の平均から露出を演算する内蔵露出計の機能で、逆光時には、明るい背景の影響を受けて、被写体が露出不足になりやすい傾向があります。そこで、露出に影響された分を補うため、「露出補正機能」を利用して、プラス側に1.5段ほど設定をずらして撮影する必要があります(背景の占める割合や明るさによって補正量は変化する)。逆光撮影の終了後は、手動で露出補正をゼロ位置に戻さないと、以後、必要のないシーンにも露出補正がかかってしまうので要注意。なお、10年以上前の古い一眼レフカメラでは、多くが中央部重点平均測光を採用していて、測光モードに選択の余地はないので、自動露出ではこの方法で撮ることになります。
撮りたい被写体に対して人工的に補助光を当てて、背景との露出差を解消してしまう対処法。逆光で日陰になっている部分に、レフ板と呼ばれる反射板を使って光を当てることで、撮りたい被写体を物理的に明るくして撮影できます。レフ板は、プロカメラマンがモデルや商品の撮影で使う場合が多く、助手がいないと調整に手間取り、一人では思うように撮影できないこともあります。レフ板には、反射の強い銀レフや、柔らかな光が得られる白レフなどがあり、大きな白い紙で代用するだけでも、一定の効果は期待できます。
フラッシュ(ストロボ)は、暗いところで撮影するときだけでなく、屋外での逆光撮影時に、日陰で暗くなる部分の明るさを補う目的でも利用できます。このフラッシュ使用法を、日中シンクロといいます。日中シンクロでは、まず背景に露出値を合わせておき、その結果、自然光だけなら暗く写ってしまう陰の部分を、フラッシュ光で照らすことによって、背景も撮りたい被写体も、同様の明るさを保って撮影することができます。最新型のカメラでは、自動露出での日中シンクロが可能です。日中シンクロの利用しやすさは、使用するカメラ本体によって異なり、フラッシュが同調可能な最高シャッター速度によって変化しますが(上限は高級機で1/250秒レベル)、コニカミノルタ、およびペンタックスの一部機種では、一眼レフに専用外付けフラッシュを取り付けて使用する場合に限り、シャッター全速同調が可能となっており、大口径レンズと高速シャッターを使用した屋外での日中シンクロに強みがあります。
これまでにご紹介した逆光への対処法は、最新式の一眼レフであれば、いずれの方法でも自由自在に選ぶことができます。コンパクトタイプのカメラでは、搭載機能に制約があるので、お手持ちの機材に適した方法を選んでください。一眼レフの優位性は、こうした状況対応力の選択の幅にもあるわけです。
ところで、人物撮影の場合は、逆光の方が撮られる人はまぶしくないので、目を細めずに自然な表情を写せます。プロの一流モデルなら、真夏の順光で瞳を全開して微笑むこともできますが、一般の人には、このワザは到底マネできないので、うまく逆光を利用して撮影してください。また、料理の写真も、やや逆光気味の方が、おいしそうに写ります。
逆光補正は、プリント時の画像処理だけに頼って明るさを修正するよりも、撮影時から被写体に合わせた適正露出で撮るようにした方が、はるかに良い仕上がりとなります。逆光での撮影の失敗は、ちょっとした工夫だけで防げますので、実戦でも、これらのテクニックを活用してみてください。
(このシリーズは今回で終わりです)
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。