写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.01.07
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
現在発売されているデジタルカメラは、コンパクトタイプ、液晶ビューファインダー方式ズームレンズ一体型タイプ、レンズ交換式一眼レフタイプの3つに大別されます。これらの各タイプには、それぞれに長所と短所があるので、撮影目的やカメラに対する興味の度合いに応じて適切に使い分けるのが、成功するカメラ選びのコツです。3つのカメラには、どんな特徴があるのか? 3回のシリーズで、じっくりと解説していきますので、デジカメ購入の参考としてご活用ください。第1弾は、コンパクトタイプのデジタルカメラです。
コンパクトタイプのデジタルカメラは、その多くが、いわゆる「初心者層」が、難しい勉強をしなくても無理なく使えることを想定して作られたものです。よって、メインスイッチを入れてシャッターボタンを押すだけで、すぐに撮影できる自動制御モードを必ず備えています。機種によっては、マニュアル露出モードなど、上級者が使いたいと思う機能も搭載している例や、ベテラン向けの高級機として位置づけられる特別仕様のコンパクトデジタルカメラもあります。初心者ではない方も、撮影に“手抜き”をしたいときには、1台持っていると便利です。
デジタルカメラの中で、一番、サイズが小さくて持ち運びで邪魔にならないのがコンパクトタイプです。昔の、フィルムコンパクトカメラと比較すると、フィルムのパトローネ(筒)を装填するスペースと、巻き上げた撮影済みフィルムをストックするスペースが不要になっているので、機械としては撮影に使う部分だけがあれば良いことになり、驚異的な小型・軽量化が実現されました。
外観デザインとしては、ボックス型のシルエットのものが多いです。レンズはボディと一体化していて、収納時には出っ張りがなくなる沈胴式が一般的。さらに、最近では撮影中でも、レンズがまったく前に出てこないフラットタイプも登場し、ワイシャツのポケットにも入るほどまでに薄くなっています。
サイズ的には携帯電話とほとんど差がありませんが、現状では、まだデジカメ専用機の方が、画素数・レンズ性能・ズーム倍率ともに上回っています。
お手軽タイプの例/ニコン COOLPIX L1
有効画素数6.2メガピクセルで、ズームレンズはなんと光学5倍という、低価格で高機能なエントリーモデルとして注目の1台。
インターネット店の売り上げランキングで10位。
搭載されているレンズは、ほとんどすべてが内蔵型ズームレンズで、現行機種では、最低でも光学3倍程度の倍率を持っています。焦点距離の数値は、機種によって微妙に異なりますが、35ミリフィルム判に換算した場合に、広角側28mmあるいは35mmから、望遠側100mm前後までの焦点距離になる機種が多いようです。
フィルムのコンパクトカメラでも、同じ程度の焦点距離となるズームレンズが付いていますが、フィルムの場合はレンズの明るさ(開放F値)が望遠側になると極端に暗くなるものもあり、一眼レフのレンズと比べるとかなり見劣りしていました。
しかし、デジタルのコンパクトカメラでは、ズーム倍率が高い割には、望遠側でも広角側とあまりレンズの明るさが変わらなくなっているので、コンパクト機でも満足のいく写真を撮ることが可能。ズームレンズの開放F値だけを見れば、デジタルコンパクト機のレンズは、一眼レフ用レンズと同等またはそれ以上の性能があります。
このほか、光学ズームと併用して、デジタルズームが使用可。デジタルズームは、画像センサーのトリミング(部分拡大)なので、画面の明るさを犠牲にすることなく、遠くの被写体でも大写しにすることができます。ただし、画素数モードと使えるデジタルズームの倍率は、反比例の関係にあります。
コンパクトタイプのデジタルカメラでは、一部の機種を除いて光学ファインダーがなく、液晶モニターを使って撮影画面を確認します。これは、デジタルカメラに慣れていない方には、少し抵抗があるかもしれません。
しかし、液晶画面の表示は、画像センサーを1回通った映像であり、撮影する写真と同じフレーミングをリアルタイムで映しているので、実質的には一眼レフと同様の、構図とピントの正確さを実現しているとも言えます。この点は、フィルム用コンパクトカメラ特有の弱点であった、ファインダー像と実際の撮影像のズレという問題を解決することにもつながり、コンパクトカメラはデジタル時代を迎えて、より実用性の高いものになりました。コンパクトカメラに限れば、デジタルの方がフィルムより構造的・技術的に優位であることは明白です。
ただし、動きのある被写体の場合は、モニター画面の表示がわずかに遅れて、実際の被写体の動きとズレる場合もあります。風景や記念写真など、あまり動きのない被写体であれば、撮影にはまったく問題ありません。
デジタルカメラでコンパクト機が、一眼レフタイプに勝る機能は、動画が撮影できるということ。機種によっては、音声付きで録画できるものもあります。録画時間やズームレンズの使いやすさなどで、専用のビデオカメラには及びませんが、昔の8ミリ映画のように、ごく短時間の動画像を記録するなら、コンパクトタイプのデジタルカメラに搭載されている動画モードも、なにかと便利です。
撮影した画像を記録するメモリーカードとしては、コンパクト機の場合、SDメモリーカードを採用する機種が多くなっています。富士フイルムとオリンパスの場合はxDピクチャーカードが、ソニーの場合は独自のメモリースティックが採用されています。
各メモリーカードの相互に互換性はないので、使うカードのことまで、最初に良く考えて機種を選びましょう。カードは一種の消耗品で、タイプや容量によって価格も異なります。
機種によっては内蔵メモリーを持っており、カードがなくても少ない枚数なら撮影可能です。ちなみに、カードは別売の場合が多いようです。なお、同一メーカー間でも、コンパクト機と一眼レフタイプでは、メモリーカードの種類が異なる場合があります。
高級タイプの例/ライカ D-LUX 2
ハイビジョンテレビと同じ横長サイズ(アスペクト比16:9)でも撮影可能な、ライカブランドの有効840万画素デジタルカメラ。
コンパクト機としてはかなり高めのお値段ながら、インターネット店の売り上げランキングで7位と健闘。
コンパクトタイプのデジタルカメラは、安いものでは実勢価格2万円台から選ぶことができます。発売開始から日が浅いニューモデルや、画素数が多い上位機種、ズームレンズの倍率が高いモデル、手ブレ補正などの付加機能があるモデルなど、機能が追加されるごとに値段が上がっていきます。
デジタルカメラ全体の中では、コンパクト機が最も長い歴史を持っており、1990年代の登場当初はパソコンの画像入力用周辺機器として発展しました。このため、写真を紙にプリントせずに、パソコンで画像を表示する場合の相性としては、コンパクト機の方が一眼レフタイプより優れています。コンパクト機のアスペクト比(画面の横:縦の長さの割合)は4:3で、これはパソコンの画面の比率と同じです。また、コンパクト機は低画質モードでの撮影も可能で、パソコンでのスライドショーやWEBへのアップロードなどに使う、特に小さいサイズの写真にも適しています。
コンパクトデジタルカメラは、一通りの撮影に内蔵機能だけで対応できますが、逆に、どのような状況でも、内蔵している機能以外は使用できないとも言えます。交換レンズや、特殊効果フィルター、外部フラッシュなどの汎用アクセサリーも、装着する部品・接点がカメラ側にないので使えません。したがって、コンパクト機では、あまり凝った撮影はできないので、お気軽撮影専用カメラとして、目的を割り切って使うと良いでしょう。
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