【デジタルカメラの3類型・その3－前編】
デジタル一眼レフカメラ

デジタル一眼レフカメラの特徴

初心者もベテランも、本格志向の人にピッタリ

デジタル一眼レフは、現在発売されているデジタルカメラにおいて、最も多機能かつ高性能なタイプ。レンズ交換が可能なほか、露出制御も自動露出のほか、絞り優先モード、シャッター速度優先モード、そしてマニュアル露出モードを選んで、多様な撮影シーンに対応することができます。撮影技術を一通り理解して使用すれば、自分の意思の通りに動いてくれるので、一眼レフは慣れれば最も使いやすいカメラと言えます。よって、プロカメラマンは、ほとんどすべての仕事で一眼レフを使用します。カメラ雑誌に出てくる写真の撮り方の解説も、すべて一眼レフの使用を想定したものなので、撮影テクニックをいろいろと研究したい方は、一眼レフは必需品です。

最近では、10万円でお釣りがくる低価格で買える、普及型デジタル一眼レフが大人気。このような普及タイプは、主に一眼レフを初めて手に入れるユーザーを想定したもので、コンパクト機と同じように、数値ではなく撮影シーン別のモード選択によって露出制御を設定できる機能も付いています。もちろん、数値で設定する各優先露出やマニュアル露出にも対応しているので、操作に習熟した後でも、そのまま同じ機材を使い続けることができます。カメラ初心者の方でも、本格志向であれば、最初から一眼レフを選んだ方が、写真の勉強としてはプラスになります。

なお、多機能ゆえに、取り扱い説明書を見て覚えることは必然的に多くなり、やや努力が必要なこともあります。ホワイトバランスや、パソコンとの接続、プリントの設定など、フィルムカメラには存在しなかった概念も含まれていますので、フィルムカメラではベテランの方も、デジタルに移行するときには、必ずクリアしなくてはならない関門がいくつかあります。

外形寸法はフィルム一眼を踏襲

現行のデジタル一眼レフは、各社とも、35ミリフィルム一眼レフのきょう体をベースとして、アレンジしたモデルが主流となっています。これは、多くのメーカーがフィルム一眼レフと同じレンズマウントをデジタルにも流用しているからで、レンズの内径寸法に合わせてカメラボディを作る関係から、コンパクトタイプと比較して小型・軽量化には限界があるようです。ただし、ボディの内側に、フィルムを装填するスペースはいらないので、横幅はデジタルの方がやや小さくなっています。普及型デジタル一眼では、比較的小型・軽量の製品が増えていますが、頑丈なプロ用高級機では、大きくて重い製品もあります。

画像センサーのサイズが大きい

コンパクト機やズームレンズ一体型タイプと比較して、デジタル一眼レフタイプでは、画像センサー（ＣＣＤなど）のサイズが大きくなっています。そのため、単にスペックとして画素数が多いというだけでなく、ピントが合っているところはシャープな輪郭に、背景のピントが合っていないところは滑らかなボケ味に写すことができます。

一眼レフタイプでは、画像センサーのサイズは大別して2種類あり、フィルムとまったく同じサイズで、レンズが持つ本来の性能をすべて活用した撮影ができる35ミリフルサイズタイプと、フィルムより一回り小さな面積のAPS-Cタイプが、並行して発売されています。普及モデルは、すべてAPS-Cサイズですが、それでもコンパクト機に比べれば画像センサーのサイズは上回っています。ほかにもメーカーによっては、このどちらでもない独自のサイズの画像センサーを採用している例もあります。

なお、画像センサーの種類は、コンパクト機の場合、ほぼすべてがＣＣＤですが、デジタル一眼レフでは、ＣＣＤのほかにＣＭＯＳなどを採用した機種もあります。画像センサーの種類は、メーカーのカタログや製品紹介ホームページなどで、「仕様」の項目を見ると必ず書いてあります。

ファインダーはフィルム時代から技術が確立されているクリアーな光学式

デジタル一眼レフのファインダーは光学式で、レンズを通った光を、ボディ内部のミラーによって潜望鏡のように導く仕組みになっています。よって、電源を入れない状態でも被写体を確認することが可能で（ＡＦ駆動には電源投入が必要）、液晶モニターを常時通電しないため、電池の節約にもなります。背面の液晶モニターは、撮影後の画像を再生して確認するためのもので、コンパクトデジタルカメラなどのように液晶モニターのリアルタイム表示はできません。したがって、デジタルズーム機能もなく、画角の調整は、すべて光学ズームとレンズ交換のみで行います。

一部のコンパクト機に付いている光学ファインダーとの最大の違いは、一眼レフでは、撮影する画像とファインダーで見る画像が共有されていること。光線を内部のミラーで瞬間的に切り替えることで、ファインダー像とまったく同じ写真が撮影できるのです。このタイプの光学ファインダーは、フィルム一眼レフから継承されたもので、動きの激しい被写体であっても、液晶モニターのように表示が遅れることがありません。

また、液晶画面のようにレンズ像の表示にキメの粗さがないため、ピントのズレがわかりやすく、暗い場所やシマシマ模様などオートフォーカスが苦手とするシーンで、手動でレンズのピントリングを回してピント合わせが必要なときに便利です。ファインダー像の明るさやピントの“山”のわかりやすさは、やはり高級機と普及機では差の出やすいところ。高級機の方が細部まで品質の高いパーツを使っているので、ファインダーも見やすくなります。

なお、実際に撮影するときには、シャッターボタンを押した瞬間に、ミラーが動いてレンズ像を画像センサー側に切り替え、設定したシャッター速度で撮影を完了します。よって、ファインダーの中は、露光中にはシャッター速度の時間だけ、真っ暗になります。なお、ミラーは自動的に元の位置に復元するので、撮影後は直ちにファインダーの確認を再開することができます。