写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.01.28
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
シリーズでお届けしている、デジタルカメラの3類型。前回からデジタル一眼レフカメラ編の解説を進めていますが、今回は中編です。ほかのタイプの解説も合わせて、新しいデジカメを購入の際は、ぜひご参考にどうぞ。なお、前回までの解説および「一眼レフ」という用語の意味については、WEBのバックナンバーをご参照ください。
デジタル一眼レフは、ボディからレンズだけを取り外すことができます。よって、ボディとレンズは、それぞれ別々の商品として売り出されていて、初めて買うときにはボディのほかに、使いたいレンズを合わせて選ぶ必要があります。購入時には、ボディとレンズは別の箱に入っています。当然ですが、ボディだけ買っても、写真は撮れません。また、レンズはボディと同じメーカーの製品、あるいはボディと互換性のあるレンズメーカーの専用製品から選ぶ必要があり、メーカーが異なる場合は装着ができません。
一眼レフならではの利点として、2本目以降のレンズを買い足していけば、いろいろな焦点距離のレンズを交換しながら、変化に富んだ写真撮影を楽しむことも可能。最近ではズームレンズを選ぶ方が増えていますが、単焦点レンズも利用可能で、さまざまな特殊撮影にも対応できます。最初の1本として選ぶレンズは、35ミリ判換算したときに、広角側28mm~望遠側105mm程度をカバーできる程度の「標準ズーム」がポピュラーです。
なお、レンズ交換時にボディ内に小さなゴミが入るリスクがあるので、レンズの装着、交換は慎重に手早く行わなければなりません。メーカーによっては、画像センサーに付着したホコリをふるい落とす機能が付いた製品もありますが、レンズの後ろ側(マウント部)に「毛」が付いていたりすると、さすがに自動除去はできないので、撮影を準備する段階で十分に注意しましょう。
普及機の例/コニカミノルタαsweetデジタル
ボディ内に手ブレ補正機構を搭載。
旧社名のミノルタ時代を含めて過去に発売されたαマウント用の全レンズ(特殊レンズを除く)で手ブレ補正が効きます。
コニカミノルタとして発売した、史上最後の1台。
報道されているように、現メーカーのカメラ事業は終了しますが、アフターケアはソニーが引き継ぐので、今後も安心してご購入いただけます。
APS-Cサイズの普及型デジタル一眼レフの場合、本来、レンズマウントの仕様ではフィルム用35ミリ判サイズの画像を得られるので、それよりも小さな画像センサーで撮影しているということになります。つまり、レンズ像の大きさに対しては、その中央部分しか使わないということになるわけです。この画像をプリントすると、もとのレンズ像をトリミング(部分拡大)した状態となるので、同じ焦点距離のレンズでも、フィルムで撮影したときより実際に写る範囲は小さくなります。
この部分拡大効果を焦点距離で表すと、機種によって微妙に変わりますが、だいたいレンズに書いてある焦点距離の1.5倍程度の望遠効果になります。この約1.5倍という倍率が、焦点距離の「35ミリ判換算」を意味します。結果として、広角用レンズであっても、普及型デジタル一眼レフに装着した場合には、レンズ本来の画角を得られません。このため、フィルムで撮ったときと同じ画角を得るには、使い慣れた35ミリ判で考えて必要な焦点距離÷1.5のレンズを選んでおく必要があります。
このような画角の変化に対応するため、メーカー各社は、普及型デジタル一眼レフに適した新製品のレンズをラインアップしています。これらの新レンズは、小さな画像センサーでは写らない範囲のレンズ像を省略して、レンズ全体をコンパクトに設計してあるので、ボディ同様に小型・軽量化も実現されています。そのほかに、フィルム兼用のレンズも装着可能ですが、これを選ぶ際は、カタログに書かれている「35ミリ判換算焦点距離」を忘れずに確認してください。
なお、フィルム用一眼レフで使っていたレンズをデジタルに流用することは可能ですが、普及型モデルを使う場合、フィルムと同じ画角までカバーしたい場合には、広角系レンズを買い足す必要も出てきます。逆に、望遠側では1.5倍お得になるので、レンズの明るさが変わらない“代用テレコンバーター”として、普及型デジタル一眼レフを活用することもできます。つまり、200mmのレンズがデジタル一眼レフに装着したとたんに、300mmの超望遠にレンズになってしまうわけで、高価な望遠レンズへの出費が抑えられてお買い得! この画角の違いを上手に活用して、デジタル一眼レフならではの撮影も、ぜひ楽しんでください。
ズームレンズ一体型タイプでも、一眼レフ用の交換レンズに匹敵する焦点距離のレンズが付いている機種が多くあり、レンズの明るさ(開放F値)も十分なレベルを実現していますが、一眼レフ用レンズの方が明らかに勝っている点が1つあります。それは、レンズの絞りを絞り込んだときに上限のF値がどこまであるか。ズームレンズ一体型タイプでは、F8またはF11までしか絞れない機種があるのに対して、一眼レフ用レンズでは、どの焦点距離でもF22程度、望遠ではF32程度という、直径の小さな絞りまで自由自在に選択することができます。これは、被写界深度を広く確保して近景から無限大までくっきりとピントが合った写真を撮りたいときなどに有利です。
デジタル一眼レフカメラでシャッターボタンを押したときに聞こえるシャッター音は、「本物のシャッター音」です。フィルムカメラだったら、これはありふれた当然の話ですが、一眼レフではないデジタルカメラ、および携帯電話の内蔵カメラのシャッター音は、電子的に合成された音。これらの機種では、すべて露光のタイミングに合わせて、シャッターっぽい音をアフレコしているに過ぎないのです。一方でデジタル一眼レフは、基本的な構造がフィルムの場合と同じで、画像センサーの前に本物のシャッター幕が設置されていて、これとファインダー像を映しているミラーが一緒に作動したときに、カメラらしいメカニカルなシャッター音が聞こえます。
写真撮影でカメラ操作そのものも楽しみたい方には、本物のシャッター音が聞こえる一眼レフタイプなら、ほかのどんなタイプのデジタルカメラよりも、感覚的に「撮った気がする」はず。カメラを構えた手の指先にも、シャッターレリーズやミラー動作の振動が伝わってくるので、カメラに深い関心を持つファンの心理をしっかりと満足させてくれます。
単に気分的な問題にとどまらず、そのほかにも、シャッター音が本物だと、被写体の動きが速い場合でもシャッターチャンスのタイミングをつかみやすいというメリットもあります。カメラは、どんな高級機であっても、シャッターボタンを指で押し込む操作から、実際にシャッターがレリーズされるまでに、一瞬のタイムラグが発生します。このためプロカメラマンが、動物や鉄道、レーシングカーなど高速で動く被写体を撮影するときには、一瞬先の動きを予測し、ほんのわずかなタイムラグの分だけ、早めにシャッターボタンを押しています。こうしないと、被写体が画面から外にハミ出してしまい、撮影失敗となるわけです。
シャッターのタイムラグは機種によって違うので、機材を使い込んで直感的な操作を体得する必要がありますが、この感覚をつかむには、シャッター音はアフレコではなく本物の作動音であることが不可欠。さらに、一眼レフではファインダーが光学式のため、画像センサー経由の液晶画面のように表示遅れの心配もまったくないので、シャッターチャンスを確実に捕捉できるのです。ちなみに、価格の高い高級機の方が、シャッターのタイムラグも短くなる傾向があるようです。
普及機の例/オリンパスE-500
デジタル専用設計のデジタル一眼レフ。
画像センサーに付着した小さなホコリを、超音波でふるい落とす機能でも人気を集めています。
画面のアスペクト比は、コンパクト機と同じ感覚で撮れる4:3を採用。
パソコンやテレビに画像を映し出すなら、この機種が最適です。デジカメ専用サイズの印画紙で、写真プリントもOK。コンパクト機からの乗り換えにもおすすめします。
前述のように、デジタル一眼レフでは、撮影に使用するシャッターの構造が、フィルムと同じくシャッター幕を使う方式であり、撮影時以外はシャッター幕が画像センサーを常に隠しているので、液晶モニターをファインダー代わりにしてリアルタイムでレンズ像を表示することができません。よって、動画を撮影することもできません。モニターによる画面の確認や、簡単な動画撮影をお好みの方は、デジタル一眼レフと似た使用感がある、ズームレンズ一体型タイプのデジタルカメラを選んでみてください。
ちなみに、多くのデジタル一眼レフでは、画面の縦横比もテレビやパソコンのモニターサイズとは一致しないので、もともとの仕様的にも動画表示には適していません。デジタル一眼レフに匹敵する使いやすさで動画も撮影したい場合は、デジタル一眼レフとは別に、動画専用のデジタルビデオカメラを組み合わせて、目的に応じて使い分けてください。
一眼レフは、以前は一定の専門知識がないと操作が難しかったので、「プロ用」という商品イメージが定着しており、雑誌などでの商品広告でも特別な高級感を打ち出したものが多くなっています。それゆえに、人物撮影などの場合は、一眼レフ特有の存在感で、「しっかり撮ってくれそう」「やっぱり素人とは違う」という印象を演出している面も実際にあるでしょう。そんな一眼レフのイメージを生かして(?)、取材の仕事などでは、現場で撮られる方の人を安心させるという効果も期待できます。
現行のデジタル一眼レフには、すべての機種に全自動モードが付いているので、現実には、本当にプロしか使えないほど難しい機材というものはなく、シャッターボタンを押すだけで撮影は可能。マスコミやデザイン関係者ではない、一般企業の営業・広報職などの方でも、社内報や企画書に載せる写真を社内・社外で撮るときには、コンパクト機よりもデジタル一眼レフを使っておくと、たとえ写真の写り具合が同じでも、「仕事してます!」というイメージをアピールしやすくなるかもしれません。
一眼レフの場合、全自動モードであっても、カメラが設定した数値がモニターに表示されるので、撮影経験を積むごとに、だんだん操作に慣れて撮り方がわかってくることもあります。そうなれば、カメラを買った時点ではハッタリでも、やがて撮影テクニックが本当に上達する場合だってあるでしょう。コンパクト機では、撮影は簡単ですが、動作状況が把握しにくいので、機材に使い慣れてもあまり撮影者本人のテクニックは上達しません。しかし、一眼レフなら、適当に撮っているうちに上手くなることがあるのも、本当の話なのです。
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