写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.03.25
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
カメラにフィルムを入れた後、すぐに1本を撮り切って巻き戻すのなら、まったく問題のないことですが、フィルムカメラでは、撮影中のフィルムが長い間カメラの中に入りっぱなしになる場合が、実際にはかなり多くあります。それゆえに万一、カメラに巻き戻していないフィルムが入っていた場合、気付かずに裏ブタを開ければフィルムが感光して、せっかく撮った写真までムダにすることに。また、フィルムが入っていることがわかっていても、感度や種類が不明で、露出の決定に迷うこともあります。そんなときでも、裏ブタを開けないまま、カメラに入っているフィルムの在否と種類を特定することは可能なので、そのための小ワザをフィルム撮影の番外編としてご紹介します。なお、この確認方法は、一眼レフタイプのカメラを想定しています。
カメラにはフィルムの撮影コマ数を示すカウンターが、必ず付いています。しかも、そのカウンターは、液晶でコマ番号をデジタル表示するものがほとんどです。そして、フィルムが入っていない場合や、正しく装填されていない場合は、シャッターを切っても、コマ番号が「0」表示のままストップしています。よって、液晶カウンターのカメラなら、フィルムのコマ番号表示を見れば、フィルムの在否が確実にわかります。なお、指針がコマ数のダイヤルを示す機械式カウンターを搭載している古いカメラの場合、空シャッターを切ってもカウンターは動くので、フィルムの在否確認手段としてはあまり信用できません。
AF一眼レフカメラのほとんどの機種では、裏ブタの左側部分に、フィルムの在否を確認するための小窓が付いています。ここを覗けば、カメラ内のフィルムの有無のほか、フィルムの種類に関する情報も、すべて把握できます。なお、フィルムが撮影中か、巻き戻し済みかは、確認窓を見ただけではわからないので、電子式カウンターと合わせて判断したほうが安全です。
一眼レフがAF化するより以前に登場した古い年式のカメラでは、フィルム確認窓が付いていない機種があります。ただし、このくらい古いカメラの場合、巻き戻しが手動であることが多いため、その機構を使って、フィルムの在否を確認する方法があります。
手動巻き戻しのカメラは、フィルムを巻き戻す際に、巻き上げ機構を解放するための「Rボタン」を押し込んでから、巻き戻しクランクを回す構造になっていて、巻き戻し操作は通例2ステップで行います。そこで、「Rボタン」を解放しないで、巻き戻しクランクだけを回すと、フィルムのたるみの分だけしばらく回転したところで、クランクの感触にテンションがかかります(たるみが取れるだけで巻き戻らない)。5回転程度までにテンションがかかれば、フィルムが入っていると判断できるわけです。36回分回っても、何のテンションもない場合は、フィルムが既に巻き戻っているか、最初からカメラに入っていないことになります。
注意点として、古いカメラでは巻き戻しクランクが裏ブタを開けるためのレバーを兼用している場合があるので、巻き戻しクランクの操作は慎重に行う必要があります。クランクを回すときに、力が余ってクランク全体を引き上げてしまうと裏ブタが全開になります。
富士フイルムのリバーサルフィルムの例
青と緑の帯があるところの左側(立てて見た場合)に、縦方向に小さい文字でフィルムの名称と撮影枚数、ISO感度が明記されています。この部分は、カメラに装填した場合、フィルム確認窓から見える仕組みになっています。(他社製品でも同じ)
自動巻き上げ機能の付いているカメラでは、フィルムを入れたときに、その感度も自動設定される機種がほとんどです。したがって、カメラのISO感度表示・設定ボタンを押せば、直前に装填したフィルムの感度が表示されます。ただし、DXコード自動設定を解除している場合や、DXコードに対応していない特殊なフィルムについては例外です。また、DXコード自動設定がない古いカメラの場合では、この方法は使えないので、カメラに入れたフィルムの箱を、撮り終わるまでは捨てないで保存しておくなどの自衛策が必要です。
カメラのフィルム確認窓を覗くと、フィルムの情報をかなり詳しいところまで把握することができます。フィルムには、固有の名称、または英字2~3個で表記される固有の略号が、1種類に1つずつ必ず付いているので、これを知っていれば、ネガ・ポジの違いはもちろん、フィルムの製品名まで細かく特定できます。また、富士フイルムなら緑色、コダックなら黄色といったように、フィルムのパッケージ・デザインにはコーポレートカラーがあるので、色を見るだけでメーカーもわかります。そのほか、感度や撮影枚数などの情報も読み取り可能。なお、クラシックカメラにはフィルム確認窓がないので、撮影中はフィルムの箱を保存してください。
フィルムの在否と種類がどうしてもわからない場合、一眼レフなら1コマだけ犠牲にして、直接フィルムを目で確認する奥の手があります。まず、カメラからレンズを取り外し、シャッター速度をB(バルブ)にセット。それからシャッターボタンを押し込み、ミラーとシャッターを開放して前側からフィルムを直接確認します。
ここで、フィルムが見えれば撮影の途中ということ。同時に乳剤面(感光材料が塗ってある面)の色までよく見れば、フィルムの種類も、ある程度は推定できます。フィルムは、装填時に見える外側の色は、ほとんど同じ黒色か茶色ですが、露光される内側の乳剤面は、それぞれ色が微妙に異なっています。同時に購入するフィルムは、せいぜい2~3種類であることが多いので、乳剤の色からもフィルムを見分けることはできるわけです。
なお、バルブシャッターでフィルムを見るときは、ほどほどに暗い場所で行ったほうが安心です。まれに、犠牲にしたコマの前後まで光が回り込んで、色カブリすることもありますが、前後も1コマずつ空シャッターを切っておけば(合計3コマを犠牲にする)、裏ブタを開放するより感光によるロスを少なくすることができます。バルブシャッターは、シャッターボタンを押している間はシャッター幕が開放され、ボタンから手を離すと同時に閉じる機能。本来は、夜景や天体写真などの長時間露光に使用します。
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