写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.04.01
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
一眼レフカメラでは、レンズ用アクセサリー(撮影用補助器具)として、「テレコンバーター」(略称テレコン)という製品を使うことができます。これは、普通の撮影用レンズと併用した場合に、望遠効果を高める補助レンズで、カメラボディと撮影用レンズの間に組み入れると、装着したレンズ(マスターレンズ)の焦点距離を、本来の1.4~3倍程度に増やすことができます。出番が少ない超望遠レンズ1本をバッグに入れておくよりも持ち運びの負担が軽く、旅行中の撮影などに便利。また、レンズの購入予算を節約することにもつながります。今回は、所有している交換レンズをフル活用できる、テレコンにスポットを当てます。
一眼レフ用テレコンバーターは、カメラメーカーおよびカメラ用アクセサリーメーカーなどから発売されており、装着するカメラのレンズマウントと互換性のある製品を選んで使用します。テレコンを装着する場所は、交換レンズとカメラボディの間で、レンズ先端に付けるタイプの簡易コンバージョンレンズとは異なります。製品は、使用レンズの焦点距離にかかる倍率によって数タイプから選ぶことができ、1.4倍、2倍、3倍などのテレコンが用意されています。50mmの標準レンズに、2倍テレコンを組み合わせた場合、100mmの中望遠レンズ相当になります。
また、一般レンズ用のほかに、望遠レンズ専用のテレコンもあり、望遠用は仕様設計が異なっています。交換レンズは、製品によって後玉の部分(カメラのマウントに装着する側)の構造に差があり、テレコン各種もそれに応じた設計がなされているので、仕様の異なるテレコンを無理に交換レンズに装着すると、交換レンズ・テレコンともに破損・故障の原因になります。また、普及型デジタル一眼レフ用で使われる小型のAPS-Cサイズ専用レンズでは、テレコンを装着できない場合があるので、事前にお確かめの上でご利用ください。
倍率の数字が中途半端に思えるのは、レンズの絞り値(明るさ)への影響が設計に反映されているからで、1.4倍テレコンの場合、装着レンズの絞り値への影響は、ぴったり絞り1段分増になります(暗くなる)。これは、絞り値がルート2(2の平方根=1.4)刻みで増えていく数列になっているからです。
テレコンは、高性能レンズ数枚を内蔵した光学製品であり、中空の筒だけでできている接写用中間リングとは、まったく異なるものです。中間リングは、レンズの繰り出しを延ばす近接撮影用のアクセサリーですが、テレコンではレンズの光学系と組み合わせて、擬似的にもう1本の交換レンズを作り出した状態になります。テレコン装着時の近接性能は、併用する交換レンズの基本性能通りです。
ケンコー
一般レンズ用:1.5倍テレプラスMC4 DG
一眼レフカメラから交換レンズを取り外し、まずカメラボディにテレコンを装着してから、テレコンの前に交換レンズを装着します。テレコンにもレンズと同じ電気接点や、AF駆動用のピンなどが付いているので、基本的には、交換レンズだけを直接カメラに装着する場合と同じく、自動焦点・自動露出での撮影が可能です。
装着する交換レンズは、単焦点レンズ、ズームレンズのいずれでも使用可。テレコンを使用すると、焦点距離が伸びる代わりに、絞り値は増えてしまうので(レンズが暗くなる)、交換レンズはなるべく明るいもの(開放F値が小さい数字であるもの)を選んだほうが、実際の撮影では好都合です。
なお、テレコンはあくまでアクセサリーなので、交換レンズを必ず併用しなければ写真は撮れません。ピント合わせと絞りの制御はテレコン側ではなく、最前部に装着した交換レンズ側で行います。
普及型デジタル一眼レフでは、もともとの構造として、交換レンズを装着した時点で焦点距離が約1.5倍(絞り値は変わらず)になるので、テレコンを使う必要性は、ほとんどないかもしれません。したがって、テレコンは、主にフィルム用一眼レフカメラ、または35ミリフルサイズのデジタル一眼レフカメラで使用することが多くなるでしょう。
テレコンを使用した場合、マスターレンズの開放F値が、焦点距離と同じ倍率分だけ一緒に増えます。つまり、50mm/F1.4の標準レンズであれば、2倍テレコン使用時には、100mm/F2.8相当となるわけです。現在のオートフォーカス型カメラでは、絞り値をボディ側から設定するものがほとんどなので、テレコンを装着すると、その絞り値への影響分が、カメラ側のディスプレー表示にも反映され、そのまま自動露出で撮影することができます。
ケンコー
望遠レンズ用:テレプラスPRO300・2倍
ほとんどのAF一眼レフカメラでは、オートフォーカスが正常に機能し得るレンズの明るさに上限が設定されています。メーカーや機種により異なりますが、だいたいF6.7~F8程度がカメラ側でAFが動作する限界値となり、それより暗い(開放F値が大きい)レンズでは、AFのセンサーが作動しなくなるため、ファインダーを見て手動でピントを合わせることになります。ただし、絞りがどうであれシャッターは切れるので、AFが作動しなくても撮影には支障はありません。
交換レンズをカメラに直接装着した場合と同様のAF動作を、テレコン使用時にも確保したい場合は、カメラ側のAF機能に、このような明るさの制約があることを考慮しておく必要があります。この条件から逆算すると、テレコンと組み合わせて使える交換レンズは、レンズのみで開放F4~4.5程度が限界ということになるでしょう。この開放F値は、価格が比較的安い標準ズームレンズの多くに該当します。併用する交換レンズが、なるべく明るいほうが好都合というのは、この理由からです。
倍率の高いテレコンを快適に使用するには、装着レンズの開放F値が2.8より小さい数字になる単焦点レンズや、大口径ズームレンズが実用的。普及型ズームレンズと組み合わせるなら、テレコンの倍率は欲張らずに1.4倍程度に抑えておくほうが、動作が軽快になり何かと便利です。
なお、低価格のズームレンズでは、開放F値が焦点距離によって変化するものが多いので(望遠側になるとF値が大きな数字になる)、ズームの望遠側で撮影する場合、テレコンを含めた合成開放F値が暗くなってしまうことがあります。この場合、望遠域では、部分的にAFが作動しない場合があります。
一眼レフ用の交換レンズを複数持っている方でも、所有レンズでカバーしている焦点距離は、28~300mm程度(デジタル機では35ミリ判換算として)である場合が多いのではないでしょうか? それを超える長い焦点距離の望遠レンズとなると、値段は高いし、その割に、あまり出番もなさそうだしと、購入に二の足を踏むことも多いのではないかと思います。
そんなとき、テレコンを1つ持っていれば、交換レンズを増やさなくても、表現の幅だけは広げることができるでしょう。テレコンそのものは、交換レンズ1本より小型・軽量なので、カメラバッグに入れておいても邪魔になりません。
野生動物やスポーツなどを撮影していて、あと一歩、写真に迫力がほしい! と思ったら、そのときがテレコンの出番です。
☆テレコンバーターの商品情報は、お使いのカメラのメーカーサイトで、レンズのコーナーをご覧ください。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。