写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.04.08
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
普及型のデジタル一眼レフカメラや、コンパクトデジタルカメラには、必ず付いている内蔵フラッシュ。外付けタイプの本格的なフラッシュに比べれば、光り具合はたしかに小粒ですが、その特徴を知って上手く使いこなすと、この小さなフラッシュだけでも、格段に美しい写真を撮ることができます。アクセサリーの追加購入なしで誰でも簡単に楽しめるので、ぜひ皆さんも内蔵フラッシュを120%活用してみてください。
カメラの取扱説明書を読むと、フラッシュ撮影についての記述が、必ずどこかに書いてあります。そこで、フラッシュを発光したときに、光が届く範囲が何メートルまであるか、実際に撮影する前に確認しておいてください。内蔵フラッシュの場合、フラッシュの光量そのものはあまり大きくありませんが、撮影感度(ISO)を高めに設定すれば、5~10メートル程度は、いずれの機種でも光が届くのではないかと思います。
撮影するときは、カメラの仕様で定められたフラッシュ光の到達距離の範囲に被写体をとらえて、あとはカメラの自動露出にまかせればOK。フラッシュ撮影の際は、ズーム機能だけに頼らず、最も撮りたい被写体までほどほどに近寄って、フラッシュ光が確実に当たるようにするのが、キレイに撮るコツとなります。
フラッシュの到達距離は、撮影感度によって増減します。遠くまで光が届くようにしたいときは、ISO感度の設定をアップするわけです。ただし、感度を上げすぎると、至近距離にある被写体が露出オーバーになることもあるので、調整は臨機応変に。また、レンズの絞り値は開いたほうが(F値を小さくする)、光が遠くまで届くようになります。
内蔵フラッシュを使用すると、光が直接当たったところは明るく写りますが、光が当たらなかった部分には大きな影が写ります。この影の写り方を調節するのが、フラッシュを上手に使いこなすための、決め手の一つです。カメラは、通常は横位置(横長の構図)で使うことが多いので、フラッシュも基本的には横位置撮影に適するように設計されています。よって、横位置で撮る限りは、フラッシュの発光部が必ずレンズより上に配置される位置関係となるので、影の写り込みも、あまり気にならない状態となります。
しかし、カメラを90度回転し、縦位置にして撮影しようとすると、レンズの真横、あるいは下側からフラッシュが発光するような形にもなるので、予期しない形で大きな影が出てしまうことがあります。そこで、カメラを縦位置にして撮る場合は、フラッシュの位置をレンズより上に保つには、カメラを左右どちら側に90度回転すれば良いのか、考えて撮る必要があります。シャッターボタンを押しやすく手ブレが防げる縦位置の構え方と、フラッシュで影が出にくい縦位置の構え方が異なる機種もあり得るので、その都度、カメラの左右どちらを上にするか判断してください。
特に、コンパクトタイプのデジタルカメラの場合、レンズとフラッシュのレイアウトが機種ごとに異なるので、正面のデザインを覚えておいて、フラッシュのほうが、必ずレンズより上にくるようにカメラを構えましょう。薄型スタイリッシュなデジタルカメラでは、レンズがボディ中央ではなく正面から見て右上に付いている例もあり、フィルム用コンパクトカメラとは、かなり勝手が違うので、フィルムカメラに慣れた方は、お間違えのないようご注意ください。
普及型一眼レフの内蔵フラッシュは、ファインダーの上部に付いていることが多く、その配置はレンズに対してちょうど真上に当たります。よって、横位置で撮影している場合には、影が被写体の下側に出るので、あまり影が目立つことはありません。ただし、縦位置にすると、フラッシュ光は必ず真横から当たるので、影が目立ちやすくなることがあります。
コンパクトタイプの場合、フラッシュの発光部はレンズに近い位置に固定されていますが、一眼レフタイプでは、フラッシュ発光部をポップアップして使用します。すると、フラッシュをレンズから少しでも遠ざけることができるので、これが赤目現象の軽減にも効果を発揮します。
「赤目現象」とは、レンズの光軸に近い位置でフラッシュを発光すると、人物を撮影したときに写った人の目の奥で光が反射して(ネコの目が暗闇でライトを反射して光るのと同じこと)、瞳だけ赤く写ってしまう状態のこと。SF映画みたいで面白いと思う方もいるかもしれませんが、一般的には、あまり見栄えのよいものではありません。こうした現象を防ぐために、フラッシュが撮影本番の前に弱く連続発光して、人の目の瞳孔を閉じさせる機能が付いたカメラもあります。
コンパクトタイプの場合は、カメラを持った指でフラッシュを隠してしまわないようにご注意を。指がかかっていると、せっかくフラッシュを使っても光が遮断され、光量を弱められてしまいます。
一眼レフタイプの場合は、大型のレンズを装着すると、フラッシュの光がレンズ鏡筒の円周部分で遮られてしまうことがあります。特に、広角系の大口径レンズに、直径の大きい花形レンズフードを付けている場合は、レンズでできた影が、撮った写真の画面下側に大きく現れることがあるので要注意。35ミリフィルム用のレンズを、APS-Cサイズのデジタル一眼レフに付けて使っている場合、レンズが相対的に大きくなるので、こうしたレンズの影も写り込みやすくなります。
なお、各社デジタル一眼レフ専用の純正レンズでは、フラッシュ撮影を想定した設計になっているので、レンズそのものが内蔵フラッシュの光を遮るような失敗は発生しません。一眼レフに大きなレンズを付けてフラッシュ撮影する場合は、内蔵フラッシュではなく、外付けの専用フラッシュを使用したほうが、やはり便利で安心でしょう。
フラッシュの光が当たっている部分の露出を調整するには、レンズの絞り値の操作が有効ですが、シャッター速度を変えても、メインの被写体に対してはあまり大きな露出の変化がありません。これは、シャッターの同調速度よりも、フラッシュが光っている瞬間の方がはるかに短いからです。
ただし、シャッター速度を変えることで、フラッシュ光が届かない背景部分の露出を調節することは可能です。夜景をバックに記念写真を撮りたい場合などでは、フラッシュを併用しながら、シャッター速度を遅くしていくと、それに対応した分だけバックの夜景が、はっきりと写るようになります。
つまり、フラッシュ光が届くメインの被写体は絞りで、背景はシャッター速度でというように、露出の調節を使い分ければ、思い通りのフラッシュ撮影が実現できるというわけです。コンパクトデジタルカメラのシーンモード(夜景ポートレートモード、スローシンクロモードなど)でも、これと同じように露出がコントロールされています。
なお、一眼レフタイプのカメラの多くでは、シャッター機構の構造上、フラッシュ撮影ができるシャッター速度に上限があります。機種により、1/125秒、1/250秒、1/500秒など上限値に違いがありますが、フラッシュ使用時は、これ以下の(遅い)シャッター速度を選ぶことになるわけです。この上限のシャッター速度を、「フラッシュ同調速度」といいます。
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