写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.04.15
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
最近のデジタルカメラでは、「手ブレ補正機能」がトレンドで、定番化の動きも進んでいます。この手ブレ補正、確かに便利なのですが、光学式でも、自動感度調整式でも、あくまで補正は“補正”。決していつも万能というわけではないので、補正が効く限度を知って、なるべく手ブレそのものが発生しにくい撮影の実践を心がける必要があります。そこで、より安定したカメラの構え方、シャッターボタンの押し方などについて、まとめて解説したいと思います。
カメラを手に持って構えるときは、カメラを両手でしっかり支えて脇を締め、顔の正面で光学ファインダーや液晶モニターを確認できるようにするのが基本。脇が開くと(両肘が体の側面から離れた状態)、カメラが上下に揺れやすくなります。光学ファインダーが付いているカメラでは、ファインダーを覗けば、自然と正しい構え方になりますが、液晶モニターのみの機種では、学校の体育で「前へならえ」をしたように、カメラを持った両腕を前に突き出した構え方になりやすく、意識しないと脇が開き気味なので、心配な方は、鏡の前で構え方の練習をしてみてください。
コンパクトデジタルカメラの場合、ボディサイズが小さすぎて両手で持ちにくいかもしれませんが、右手でグリップ部をしっかり握り、左手はカメラの底部を支えるように持てば、どんなカメラでも両手で構えることができます。
一眼レフタイプの場合は、カメラボディの両サイドを持つのではなく、左手は軽く開いた状態として必ずレンズを下側から支えるように構えるのが基本。そして指先はズームリングにかけておけば、スムーズなフレーミングも可能で、AFが作動しにくい場合、マニュアルでのピント合わせも確実にできます。
35ミリ判カメラの場合(デジタルカメラの場合は換算値)では、撮影するレンズの焦点距離を、そのまま分母とした分数で、「1/焦点距離」秒を目安として、それより速いシャッター速度を選べば、手ブレは防げるとされています。例えば、レンズの焦点距離が100mmであれば1/125秒、300mmであれば1/500秒より速いシャッター速度になるように露出を調整して撮影すれば、被写体ブレはともかく、手ブレは発生しないというわけです。一眼レフタイプのカメラであれば、自動露出モードであってもシャッター速度が表示されるので、ファインダー表示やモニターを確認して、シャッタースピードを使用するレンズに適するように調節してみてください。
ただし、こうした高速シャッターを使用するには、画像には十分な明るさが必要なので、適正露出となるように絞りを開いて調節することになります。したがって、開くことができる絞りに余裕があるほうが、高速シャッターの選択でも自由度が高まることになり、開放F値が小さな数字になる大口径レンズ、とりわけ一眼レフ+単焦点レンズが有利。ズームレンズでは、明るさF2.8が実質的な限界ですが、単焦点ならF1.4やF1.2といったレンズも使用でき、ズームレンズと比べて2段程度速いシャッターを選ぶことも可能です。
三脚の一例(スリック製)
一脚の一例(スリック製)
適正露出に対応したシャッター速度が、「1/焦点距離」秒より遅くなる場合、光学系を物理的に動かす手ブレ補正機構がないカメラでは、そのまま手持ち撮影するとブレる可能性が高いので、三脚または一脚などを併用して、カメラを固定するのが基本。コンパクトタイプのデジタルカメラでも、三脚に固定するためのネジ穴が底部に付いているので、暗い場所などで撮影する際には、ぜひ三脚を併用してください。なお、三脚のほかに、脚が1本だけの「一脚」というアクセサリーもあり、これは三脚を広げられるスペースがない場合や、歩いて動き回りながら撮影したいときに便利です。なお、手ブレ補正機構が付いているカメラでも、その効果はシャッター速度2~4段分程度が限界となり、いつでも万能というわけではないので、だいたい1/30秒より遅いスローシャッターでは、面倒でも三脚・一脚を使いたいところです。
被写体の明るさが同じであるとした場合、デジタルカメラであれば、絞り値を変えなくても、ISO感度の設定値を上げれば、それに対応した高速シャッターを使用できます。
フィルムの場合、一度カメラに装填したら24枚あるいは36枚の1本分すべてを、同じ感度設定で撮り切らなくてはいけなかったのですが、デジタルカメラの場合では1コマごとに撮影感度を変えることも可能。このおかげで、絞り値の選択に余地がなくても、ISO感度の設定を高めに調整することで、高速シャッターを使用できます。
物理的にレンズや画像センサーを動かすタイプではない「手ブレ軽減機能」を採用しているデジタルカメラでは、こうした撮影感度の調節を自動で行っているわけです。また、手ブレ補正/軽減機能そのものが付いていないタイプのデジタルカメラでも、手動で感度を設定できる例は多いので、シャッタースピードの表示を確認して、ブレる可能性があると判断したときには、ISO感度を手動操作で上げておけば手ブレ対策は可能です。ただし、自動補正と違って、一度上げた感度を元に戻すのも手動なので、やや操作が面倒ではあります。
なお、ISO感度の調整をいつでも気軽にできるのはデジタルカメラだけで、フィルムの場合は、フィルムに書いてある数字と違う感度で撮影したら、現像段階で増感または減感処理を行う必要があります。違う感度で撮影して増感・減感現像を忘れると、単なる露出アンダー、露出オーバーになってしまいます。ISO100のフィルムしか持っていないときに、カメラの設定をISO400で撮影し、現像で2段増感すれば、ISO400のフィルムで撮影したのと同じ結果になりますが、増感を忘れると2段分の露出アンダーとなってしまうわけです。ポジフィルムの場合、一度現像してしまうと、後から失敗を修正するのは難しいので、くれぐれも間違えないよう確認を徹底してください。
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