写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
2006.04.22
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラの手ブレ補正機能が持つ実力の限界を知り、その機能を上手に活用するために、なるべく手ブレしにくい撮影方法を解説するシリーズ。前回の続きとして、より安定したシャッターボタンの押し方など、覚えておくと役に立つテクニックをご覧ください。手ブレ補正がないカメラやフィルムカメラでも、この応用でワンランク上の写真が撮れると思います。
フラッシュを発光した例
カメラのキタムラグループのこども写真館「スタジオマリオ」のホームページに掲出されている写真の一枚です。人物の動きに合わせた、スローシャッターによる流し撮りとなっていますが、背景に大きなブレがあるのに対して、フラッシュの光が当たっている手前の部分では、はっきりと被写体の輪郭が強調され、動きが止まって見えます。
手ブレするほどの暗い場所であっても、なお手持ちで撮影したい場合には、フラッシュを使用して被写体の明るさを補う撮り方も選べます。フラッシュを発光すれば、シャッタースピードをフラッシュ同調速度まで上げることが可能。同調速度は、機種によって異なり、一眼レフの場合は1/125秒、1/250秒などとなりますが、これがフラッシュ使用時に選べるシャッター速度の上限となります。上限値に設定してフラッシュ撮影すると、フラッシュの光が当たっている被写体は、手ブレも露出不足もなく撮影することができます。
フラッシュの使い方として、フラッシュの光で被写体の輪郭を強調するという技法もあります。フラッシュなしで単純に手持ち撮影しただけでは、確実に手ブレするようなスローシャッターとなる場合であっても、同じシャッター速度のままでフラッシュも併用すると、主要被写体のブレが目立たなくなり、なんとか見られる写真にすることができるのです。これは、“第2の高速シャッター”としてフラッシュを使用するテクニックで、写真全体にはスローシャッターによるブレがあったとしても、フラッシュの瞬間発光で光が当たった部分では、被写体の輪郭にしっかりと芯ができ、動きが止まって見えます。これは、手ブレにも被写体ブレにも有効ですが、フラッシュの到達距離以内でしか効果がありません。
手ブレは構えたカメラそのものの大きな揺れにも影響を受けますが、その多くはシャッターボタンを指で押し込んだ瞬間に発生します。したがって、ブレを完全に防止するには、カメラをしっかりと構えるだけでなく、カメラに衝撃を与えないように、シャッターボタンにかけた指先をソフトなタッチで押し込むよう、心がける必要があります。
指先の爪があるところをボタンに対して垂直に立てるのではなく、指の腹の皮膚が柔らかいところ全体でボタンを覆い、関節の動きをクッションとして利用するように、シャッターが切れるまで、ゆるやかに押し込んでいくようにすると、ブレを抑えることができます。力の加減は機種によって違いますが、撮影を続けているうちに最適な押し具合がわかってくるので、何度か試してみてください。一気にシャッターボタンを押し込むのではなく、AFが動き出す半押し状態で一瞬指の動きを止めると、力を加減しやすくなるでしょう。乱暴にシャッターボタンを押すと、その瞬間にカメラが下に下がったり、右側だけ傾いたりする場合もあるので、これがブレの原因になります。
デジタルカメラの手ブレ補正機構が効いていても、撮影した瞬間にカメラが傾いてしまうと、ブレはなくても安定感のない写真になってしまうので、やはり補正機構があっても、ソフトなシャッター操作で撮影したほうが安心なのです。スローシャッターの場合は、セルフタイマー機能の短いほう(2秒タイマーなど)を使い、実際のシャッター動作をわずかに遅らせて、シャッターボタンを押し込むタイミングとずらすテクニックも有効。これなら、シャッターが切れる瞬間は、カメラをしっかり構えることに専念できます。
三脚や一脚があればカメラ全体の揺れは防げますが、シャッターボタンを指で押している限り、スローシャッターで撮影する場合に、シャッター操作の振動がブレとして写る可能性があります。このわずかなブレを抑えるためには、前述の短いセルフタイマーを使うほかに、リモートコードやケーブルレリーズを使う方法があります。
これらは、カメラ本体と同様にシャッターボタンの機能を担う、有線タイプのリモコンのことで、一眼レフの場合は各メーカーとも必ず用意しています。現行製品ではAF機能(フォーカスロック)に対応する必要があるため、各社のカメラも専用リモートコードしか使えませんが、かつてAF一眼レフカメラの登場以前には、ケーブルレリーズの仕様は全カメラに共通で、好みのケーブルレリーズを、所有しているカメラに取り付けることができました。シャッターボタンの上に小さなネジ穴があるタイプの一眼レフカメラでは、この汎用ケーブルレリーズを取り付けて撮影することができます。
リモートコードやケーブルレリーズには、シャッターボタンを押し込んだ状態で固定する機能があるので、シャッタースピードをバルブにして長時間露光する場合でも、自分の指でシャッターボタンを押さえ続けている必要はありません。
ちなみに、振動ブレは1秒前後の中途半端に遅いシャッター速度で最も発生しやすく、逆に長時間露光になると、むしろ目立たなくなります。これは、全体の露光時間のうち、振動で揺れている時間が占める割合が、長時間露光では相対的に少なくなるから。静止している時間の方が長ければ、被写体の輪郭がはっきり写し取られるので、シャッターを切った瞬間の振動ブレは、気にならない程度まで抑えられるわけです。
ニコン製一眼レフカメラのみで使用可能な、専用リモートコード。
他社製品には装着できません。
ほかのメーカーからも、同様に専用製品が発売されています。
キヤノン製一眼レフカメラのみで使用可能な、コードのないリモートコントロールシステム。
露光中にコードを引っ掛けて、カメラを揺らしてしまう心配もありません。
有線タイプのコントローラーも発売されています。
機械式の一眼レフカメラで使用する、汎用ケーブルレリーズ。
いろいろな長さの製品があります。
以上が、手ブレしない撮影のコツです。お使いのデジタルカメラに手ブレ補正機構がある場合も、その機能を効果的に利用するためには、ブレにくい撮影の基本を押さえておけば、より満足のいく撮影結果に結びつきます。なお、このブレ防止テクニックは、フィルムカメラしかなかったころから使われていたものなので、どのタイプのカメラでも使用可能。動画撮影でも基本は同じなので、ぜひ実践で活用して、素晴らしい映像をたくさん残してください。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。