写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.05.06
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
コニカミノルタブランドでは最後のデジタル一眼レフとなった、αスウィートデジタル。この機種に搭載されている、ボディ内蔵CCDシフト方式手ブレ補正が、実際の撮影でどれくらい効果を発揮するか、低速シャッターに設定して撮影してみました。その使用実感を、同機で撮影した写真を例に挙げてレポートします。
35ミリ判で換算した焦点距離で標準ズームに相当するレンズを使用。ここで撮影した1/60秒というシャッター速度は、標準50ミリレンズの場合、手持ち撮影の低速限界で、普通なら手ブレを防ぐために多少の慎重さを要求されるレベルです。そんな条件でも、手ブレ補正機構を「ON」にしておけば、この微妙なスピードでも、手ブレをあまり気にすることなく、被写体の動きや構図に意識を集中することができます。
作例の写真は、喫茶店の店先にいた“看板ねこ”(!?)。気まぐれな動物は、シャッターチャンスだと思ったら、すぐに撮らないと逃げてしまうので、カメラを構えた直後に撮影しました。露出は絞り優先モードで、 f4に対して自動設定されたシャッター速度が1/60秒。絞り優先モードの場合、カメラを向けたところが、たまたま暗い場所であったなら、カメラが示すシャッター速度が手ブレ限界に迫る、もしくは限界を割り込んでしまうこともあり得ます。でも、手ブレ補正機構があれば、絞り値をずらしてシャッター速度を高速側に寄せなくても、そのまま安心して撮影することが可能です。
撮影の結果は、もちろん、まったく手ブレなし。手持ち撮影の限界速度近辺で、手ブレに十分注意しながらも、信頼性を増すために補完的に使うなら、手ブレ補正機構の実力は完璧でしょう。この作例の場合、シャッター速度を1段上げて、絞りを1段開くと、被写体が近距離なのでピントが甘くなる可能性もありましたが、手ブレ補正を利用して低速シャッターを選ぶことで、やや暗い場所でも、被写界深度を犠牲にしないで済みました。
レンズは作例1と同じ。シャッター速度1/8秒は、普通の手持ち撮影なら確実にブレるレベルです。手ブレ補正機構があっても、さすがにこのスピードでは、完全にブレを止めるのは難しそうですが、ブレの軽減くらいなら期待が持てます。
作例2の写真は、有名観光スポットとして知られる横浜中華街に最近できた新しい名所で、「横濱媽祖廟」(まそびょう)という海の神様のお堂です。日没後、ライトアップされたところを撮影しました。撮影データは、絞りf2.8に対して、自動設定されたシャッター速度が1/8秒。できるだけブレを少なくするために、鉄の柵に近寄ってカメラを支えながら撮影しました。
結果としては、このページで表示した程度の画像サイズであれば、ブレはほとんどわからないレベルになりました。カメラを鉄柵で支えた効き目もあって、縦方向のブレは的確に補正。わずかに横方向のブレが残りましたが、個人的な記念写真用であれば、十分に満足がいく画質であると思います。
(作例写真のロケ地は横浜市内)
物理的に光学系を動かすタイプ(この機種ではCCDシフト)の手ブレ補正は、止まっているものを止まって写す場合には、ほぼ期待通りの補正効果を発揮できるようです。
ただし、デジタル一眼レフカメラで手ブレを抑えるには、ISO感度を高めに設定したり、絞りを開いてシャッター速度を稼いだり、カメラを固定してブレを防ぐ方法もあるので、手ブレ補正機構に頼るだけでなく、各種の対応策を組み合わせて撮影したほうが、より安心できるでしょう。
なお、動物や鉄道など、動いているものを止まった状態で写したい場合では、手ブレよりも被写体ブレのほうが、相対的に動きが大きくなるため、高速シャッターを選んでブレる動きを止めるしかありません。ある程度の高速シャッターになれば、それだけで手ブレも解決されるので、手ブレ補正機構は使っても使わなくても同じ撮影結果になりますが、手ブレ補正機構を常時「ON」にしておくと、機構の補正動作分だけカメラの演算処理が増えて画像処理エンジンへの負荷が大きくなる可能性もありそうです。シャッターチャンスに対する俊敏さを重視したいシーンでは、高速シャッターを選んで、手ブレ補正機構は「OFF」にしておいたほうが、速写性能が向上して良い撮影結果を得られるかもしれません。
写真愛好家の方は、旅先などで自然の風景や人物を撮ることが多いようですが、じっくりと構図を決めて景色などを撮影するのであれば、結論としては、手ブレ補正機構は「あったほうがより便利」ということは間違いなさそうです。コンパクトタイプのデジタルカメラでも、風景撮影では手ブレ補正機構の活躍が大いに期待できそうです。
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