写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.07.08
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
中古カメラをはじめとする、旧式のフルマニュアル型フィルム一眼レフでの、ピント合わせの方法について解説する、ちょっとだけマニアックな(?)シリーズ。今回は、AFに負けないスピーディーな手動操作ができる、ベテランカメラマンの小ワザをご紹介します。このピント合わせのやり方と、マニュアル露出の設定方法さえ覚えておけば、どんな旧式のカメラでも使えるようになるでしょう。興味のある方は、往年の中古カメラにもチャレンジしてみてくださいね。
最近の普及型デジタル一眼レフの場合、低コストのレンズでは距離目盛がない製品も多いようですが、昔のMF専用レンズには、必ずレンズに距離目盛が書いてあります。これを十分に利用して、カメラを構える前にレンズのピントリングを先に操作して、被写体までのおよその距離を目測でセットしてしまえば、ファインダーを覗きながらレンズをグルグル回して無駄な動きをしないで済むでしょう。AF一眼レフは、基本的には、カメラを被写体に向けるたびに無限大からスタートしてレンズを駆動しようとするので、レンズの移動量が多くなります(電源OFF・ピント位置∞の待機状態から起動してシャッターボタン半押しでAFを作動させた場合)。
ピント合わせで、機械であるAFのスピードに人力が勝つには、測距のスタート位置をずらせば良いわけで、被写体までの距離が明らかに近いことがわかっているなら、最初にレンズの距離目盛を動かしてしまえば、ファインダーを覗いた後は微調整だけで済みます。
なお、MF機では電源をONにしなくてもレンズを操作することは可能で、機種によっては、電源スイッチすらない、つまり起動するという操作のないものもあります。
AF一眼レフでは、どんなレンズを装着していても、また絞り値がどのように設定されていても、基本的にはピント合わせの精度は変わりません。しかし、ピント合わせには被写界深度という発想があり、レンズの焦点距離や絞り値が変われば、被写界深度はそれぞれに変化します。広角レンズの場合、距離目盛を見ると、絞り値に対する被写界深度が広いことは明らかなので、絞り気味の露出値を選んでおけば、ファインダーでのピント合わせが大ざっぱでも、実際のフィルム上ではシャープに写っている可能性が高いことになります。
したがって、広角レンズを絞り込んで使うなら、ファインダーではマット面を主に利用して、だいたいピントが合ったところで“妥協して”シャッターを切っても、撮影した写真では十分なピント精度が得られます。一方で、望遠レンズなどの場合では、ピントが合う範囲は限られるので、スプリットイメージやマイクロプリズムを使って、精密にピントを合わせる必要があります。
このようなピントの精度について、どこまで正確に合えば良しとするかは、MF機の場合では、すべて撮る人の主観的判断。ピントの質とシャッターチャンスのバランスをとりながら撮影することも、MF機なら自由自在というわけです。なお、被写界深度をどうするかは絞り値の選択でコントロールするので、実際の撮影では、それに対応して適正露出となるシャッタースピードとのバランスも重要です。望遠レンズの場合、被写界深度とブレ限界速度のどちらを優先するか? といった判断も必要になります。
MF機のファインダーは、ボケた像をじっくり観察しているだけでは、まったくピント位置がわかりません。ピントが最も適した状態になる“山”を判断するには、まずレンズのピントリングを、往復するように適当に回してみましょう。ピント位置が動くと、ファインダー内では像のボケ具合が感覚的に変化して見えます。そこで、何度か往復を繰り返すうちに、狙った被写体のボケ具合が軽くなる位置がわかってくるので、ピントリングを往復させる量(回転角)をだんだん減らしていきます。
これを繰り返すうちに、ボケ具合が、もうそれ以上は変化することがない究極の一点が見つかるので、必要があれば、スプリットイメージやマイクロプリズムを使って精密な調整を行います。このように、レンズのピントリング1つを動かすだけで、直感的にピント合わせができるのがMF機ならではの利点。アナログ派の方は、AF機でボディ背面のボタンを使って測距ポイントの選択操作を行うより、ピント合わせにかかる合計時間は、むしろ短縮できるかもしれません。
通例、一眼レフカメラは、ファインダーを覗くときには、絞り開放状態の像を映し出しているので、最も被写界深度が浅い状態で見えていることになります。シャッターを切ると、レンズの絞りが設定値まで動くので、絞り込んだ露出を選んでおけば、フィルム上にはファインダーで見るよりもピントの合う範囲の広い写真が写されるわけです。
実際に写る被写界深度を撮影の前に確認するには、一眼レフカメラに付いているプレビューという機能を利用します。この機能を操作するボタンあるいはレバーを絞り込み状態にセットすると、光量が少なくなる分だけファインダー像が暗くなりますが、実際に写る画面と、ほぼ同じ状態の被写界深度をファインダー内で見ることができます。なお、旧式のカメラでも新発売当時、普及機として登場した機種ではプレビュー機能が省略された機種もあります。プレビューがない場合は、レンズの距離目盛から、絞り値に応じた被写界深度を判断してください。
プレビュー機能は、風景写真や花のマクロ撮影など、ピントの正確さが求められる被写体を撮影する場合のみ必要となることが多く、一般的な撮影ではあまり使用しません。もし、お手持ちの機材にプレビュー機能がなくても、実際には、ほとんど不都合を感じることはないと思います。
AF一眼レフの専用レンズでも、MF切替時に使うピントリングが一応は付いています。ただし、AFモードでのレンズ回転時に、指先が触れてレンズ駆動を妨げないようにするため、ピントリングのサイズはレンズ全長に対して小さく設計されています(細い)。これは、MF切替時には、手動では少々動かしにくい印象を受けるでしょう。
これに対して、MF専用レンズでは、ピントリングも手動で操作するように最初から作られているので、回転操作の動きも軽く、しっくりと手になじむ感覚があります。そのため、AF一眼レフをMFモードで使うときのような面倒くささなどは、特に意識しないで済むはずです。
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