写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2006.08.05
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
画期的な機能を搭載して新登場するカメラ機材があれば、その一方では時代の流れとともに役目を終えて、消え行くカメラ機材もある。マニュアルフォーカス専用の一眼レフ用交換レンズもその一つですが、このたびレンズ専業メーカーのタムロンも、MF専用レンズの生産を終了し、現時点で流通、および在庫が残っている製品を最後に、中古品以外のMFレンズが市場から消えることが決まりました。MFフィルムカメラにこだわりのあるユーザーの皆さん、新品レンズを買っておくなら、いまが最後のチャンスですよ!(AFレンズの販売は、これまで同様に継続されます。)
タムロンはレンズ専業のメーカーで、一眼レフメーカー各社の交換レンズマウントと互換性のあるレンズ製品を発売していますが、その製品ラインアップには、これまでAF用とMF用の2タイプがありました。これらのAFレンズとMFレンズでは基本的な設計に違いがあり、MF用では極めて高い汎用性が実現されていました。
現在の一眼レフカメラは、オートフォーカスが標準仕様。そして、AFの駆動方法としては、レンズ内にモーターを内蔵して回転力を直接的に生じさせるタイプと、カメラボディ内にモーターを内蔵して、回転力を機械的に歯車で伝達するタイプの2種類があります。このため、レンズメーカー製の交換レンズといえども、現行の全AFレンズでは、内部機構とマウント形状が、互換性を持たせる各メーカーの規格に適合するよう、個別にカスタマイズされた固定マウント式で製品化されています。つまり、光学性能的にはまったく同一のレンズでも、店頭に出てくるときには、使うメーカー別に違うマウントが出荷段階から内蔵されているので、一旦レンズを購入したら、後でカメラボディを替えたとしても、AFレンズは他メーカーのカメラに流用できないということです。
ところが、一眼レフのAF化が進む前の時代から発売されていた、タムロンのMFレンズでは、マウントが固定式ではなかったので、レンズの光学系は残したままで最後部のマウント部品だけ交換して、異なるカメラメーカー製の一眼レフボディで、1本のレンズを共用することが可能。AF用の駆動メカがいらないMFレンズならではの強みで、所有しているレンズを手放さずにボディの乗り換えができるという“離れワザ”を実現していたのです。カメラメーカーの純正レンズは、MFでも昔からマウント固定式だったので、いろいろなカメラボディを持っているヘビーユーザーの写真愛好家には、レンズメーカー製レンズを選ぶ方も多かったようです。ちなみに、現在のAFレンズではマウント交換は構造上の問題として不可能で、メーカーに依頼して改造することもできません。
写真・カメラは、数ある趣味の中では比較的お金がかかる部類に入りますが、特に購入時の出費が大きいのがレンズ。一例として、超望遠レンズのF2.8クラスでは、1本で30万円くらいです。レンズメーカー製でもこれくらいの値段ですから、純正レンズとなると、さらに上の価格となり、なかなか買うのに思い切りのつきにくい場合もあるでしょう。こうした比較的高価なレンズを、固定マウント式製品で揃える場合、カメラボディを異なるメーカーに買い替えるということは、レンズもすべて買い直すことを意味します。したがって、一眼レフの場合は、最初に買ったカメラメーカー以外には浮気をしないという、ある種の“忠誠心”が、しっかりとユーザーに浸透しやすいわけです。
しかし、タムロンのMFレンズの場合では、レンズの鏡筒部分から、カメラに装着するマウント部品だけを取り外すことが可能。そして、マウント部品だけを異なるメーカー用タイプに付け替えて、そのまま使用できるという独特の設計仕様になっていました。しかも、交換用マウント部品の値段は、定価で7000円。これを付け替えるだけで、超望遠なら30万円分の予算が浮くことになるわけです。交換マウント部品は、専用のアクセサリーとして部品だけで発売されていたので、メーカーに持ち込んで改造する必要もなく、ユーザーが自分で使いたいメーカー用のマウント部品を取り付けて使うことができました。
このように、1本のレンズを異なるメーカー製のボディで共用できるとなると、一眼レフでもカメラの乗り換えができる自由度が高まります。この点を生かして、かつては新型機種が発売されるたびに、いろいろなカメラを試すのが楽しみという、熱心なカメラ愛好家の方もいらしたようです。
[製品例]300mm/F2.8の超望遠MFレンズ
レンズマウント部品を、取り外した状態です。使用するときは、マウント部品をレンズに固定し、全体をカメラボディに装着します。ほかにも、さまざまな焦点距離のレンズがラインアップ。
現在、カメラメーカー各社が採用している一眼レフの標準的なレンズマウントは、AF仕様に完全移行しています。また、一眼レフの生産から既に撤退したメーカーもいくつかあります。ニコンについては、マウントの形状は昔から変わっていないですが、AFや自動露出の信号をレンズとやりとりする制御系統に関しては、年式が違うものでは非対応の場合もあります。よって、旧式のカメラに、現行製品のAF対応レンズを装着して使うのは、シャッターを切ることは可能であっても、実際には少々無理があると考えられます。(最新型レンズを装着してもボディが旧型であれば、それなりの限られた機能しか動作しないので、露出についてもマニュアルモードで設定することが原則になります。)
そこで、旧式のMF一眼レフボディをお持ちの方が、そのボディを活用できるレンズを、いま新品でお探しの場合には、レンズメーカー製レンズを使うという選択になるでしょう。しかし、タムロンからアナウンスされたように、MFレンズは生産終了がすでに決定しているので、これから先、MFレンズは入手が困難になります。
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