写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
2006.09.30
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラで、とりあえずシャッターを切って、カメラまかせの全自動で写真を撮るまでの基本操作は、前回ご紹介した通りですが、そのほかにも、覚えておくと、より美しい写真が思い通りに撮れるような機能がいくつかあります。
これらを知っておくと、撮影したあとで、「こんなはずでは。。。」と思うような失敗を防ぐこともできるでしょう。今回は、基本操作を少しアレンジした応用編。ここに挙げた機能は、携帯電話の内蔵カメラを除く、ほとんどすべてのデジタルカメラに搭載されているので、お手元のデジカメでは、その機能がどこに付いているか、確かめながらご覧ください。
露出モードのうち、プログラム露出モードの応用系として用意されている機能。
人物、夜景、風景など、撮りたい被写体に合わせて、絵文字などで示されたモードを選ぶと、最適な露出制御パターンが撮影に適用されます。
この機能は、マニュアル露出に対応していない多くのコンパクトデジタルカメラでも、ほぼすべての機種で採用されています。基本的には、カメラに詳しくない方の利便性を向上するための機能です。
絞り優先・シャッター速度優先など、数値で露出を設定する方法に慣れたベテランの方が、自動露出しかないコンパクト機で撮影する場合は、シーンモードの制御パターンを覚えておけば、撮影意図を反映した写真を撮ることもできます。
自動露出の測光値を、一時的にホールド(固定)する機能。
「AEL」などと書かれた専用のボタンがカメラボディの背面にあり、シャッターボタンに指をかけた状態のときに、親指で操作できます。自動露出は、レンズから入ってくる光に逐一反応して連続的に変化しているので、構図が少しでも変わると測光値もつられて変化します。このため、同じ被写体を撮影する場合でも、画面内に被写体をとらえる位置や大きさが違えば、背景の明るさなどに影響を受けて、微妙に露出を左右します。特に広角側で、背景に空や海などを広く取り入れて撮影する場合は、明るいバックが露出の平均値を引き上げて、全体的に露出不足で画面が暗く写ることが多いものです。
こんな場合に、メインの被写体だけを画面に大きくとらえてAEロックボタンを押し込み、適度な露出値をホールドした後で、撮りたい構図になるようにカメラ位置をずらしてからシャッターボタンを押せば、背景の明るさに影響を受けることなく、適正露出での撮影が簡単に実現できます。AEロックは、シャッターボタン半押しによるAFロック(フォーカスロック)に連動する場合と、単独で操作できる場合があるので、詳しくはお使いのデジカメの説明書をご参照ください。
自動露出に特有の弱点をカバーするための機能。適正露出と、カメラの測光値の間にズレが生じる場合、その露出のズレの分を解消するように、撮影者が自分の判断によってカメラに入力指示を行う機能です。
しかし、この「露出補正」を、カメラそのものについて初心者の方が、すぐに理解して使いこなすのは、はっきり申し上げて非常に難しいと思われます。それゆえ、この点を逆説的にとらえるなら、露出補正の必要がないほど自動露出が正確なカメラこそ、本当に初心者にやさしいカメラということができるでしょう。露出補正を理解するには、適正露出とは何かということと、絞りとシャッタースピードを組み合わせた露出とは何かということを合わせて理解する必要があるので、露出補正を完璧に習得できたら、マニュアル露出でも撮影できます。初心者の方には、露出補正よりも、AEロックを上手に使う撮り方をおすすめします。
露出補正機能を使用したい場合は、カメラボディのいずれかの場所にある「+/-」と書かれたボタンを押している間に、選択操作用のダイヤルまたはボタン(シャッター速度の変更に使う入力キーを兼ねていることが多い)を動かして、希望の補正量に合わせます。この機能はフィルムカメラ時代から存在するもので、露出計の動作に対しての補正ですから、露出補正は必ずシャッターを切る前に的確に行う必要があります。「撮影済みの画像を明るく修正できる機能」だと誤解される例もあるかもしれませんが、この機能の目的をお間違えのないようにご注意ください。露出補正の補正量は、経験則に基づいて、撮影者の「勘」で入力する必要があります。
ただし、デジタルカメラでは、撮影した画像をすぐにモニターで確認できるので、その時点で画像が暗すぎるか、または明るすぎると思ったときに、適度に露出補正して再撮影を試行してみてください。補正入力するだけでなく、露出補正の設定後に、もう一度撮り直す必要があります。なお、露出補正機能を使った後は、必ず設定をノーマル状態(補正量ゼロ)に戻しておかないと、それ以後の、補正不要の写真までズレた露出で撮影されてしまいます。
露出補正の詳しい使い方については、このコーナーのバックナンバーをご参照ください。
画面の全体平均ではなく、ごく狭い範囲だけに限定して露出値を測る機能。
基本的には、ファインダーまたはモニターの中央部にある小さな円で指示された部分に収まる被写体だけを測光し、それ以外の部分の明るさは露出の演算から無視されます。現在のカメラは、多分割測光(メーカーにより名称が異なる)が標準設定なので、常時スポット測光を使いたい場合は測光モードを切替えます。
スポット測光は、広角レンズを使用する場合などで、背景が大きく写り込むような構図となるとき、相対的に画面内で小さく写ることになるメインの被写体だけに露出を合わせたい状況などで使用します。スポット測光で露出を測るには、多くの場合において、構図を決めるよりも先にスポット測光を使う必要があります。
実践では、スポット測光した露出値を、AEロック機能であらかじめホールドしておき、それから狙いの構図に合わせて、シャッターボタン半押しでピントを合わせて撮影する流れになります。
カメラを構えたとき、狙った被写体がファインダーまたはモニター画面の中央にない場合、最近のカメラでは、AFで狙う指標の位置を変更することができます。
つまり、中央以外の場所にも、AFによるピント合わせが可能です。この操作は、カメラ背面にあるAFフレームの選択ボタンを押して行います。選択可能なAFフレームの数は、メーカーや機種によって千差万別ですが、携帯ゲーム機のような、上下左右と斜めの方向選択ボタン群と、中央を選択するボタン1つで構成される操作系となっている例など、操作方法も機種によりさまざまです。選択したAFフレームの位置は、ファインダーまたはモニター画面で、光の点灯によって確認できます。
カメラのピント合わせは、オートフォーカスが基本ですが、これも、常に万能とは言い切れない状況に出会うことがあります。夜景など、被写体が極端に暗い場合や、動物園のオリや金網越しに、中にいる動物に対してピントを合わせたい場合など、AF機能がターゲットを把握しにくい状況では、AFを解除し、ファインダーまたは液晶モニターを見ながら、レンズのピントリングを自分で手動操作して、ピントを合わせる必要があるわけです。
このような場合には、カメラ本体またはレンズに設けられている切替スイッチを操作して、マニュアルフォーカスを使用可能な状態にしてから撮影します。一眼レフの場合は、「AF/MF」と書かれているスイッチを操作してください。なお、コンパクトタイプでは、MFといっても、実際は手動によるキー操作を電子的に処理してモーターを駆動することでピント合わせを行う、パワーフォーカスを採用している場合もあります。
MFを使用したあとは、次の撮影に備えるため、再度スイッチを操作して、AFモードに戻しておきましょう。
セルフタイマー、および連写を設定する機能です。
操作する際は、ドライブモードボタンを押すと同時に、選択操作用のダイヤルまたはボタン(多くはシャッター速度操作キーを兼ねる)を動かすことにより、セルフタイマーまたは連写を設定します。セルフタイマーは、2秒の短いタイマーと、10秒の長いタイマーの2つから選べる機種が多いようです。2秒のタイマーは、スローシャッターで撮影するときに、指でシャッターボタンを押した瞬間のカメラブレを防ぐ目的で、露光動作のスタートを少し遅らせるために使用します。
連写機能は、シャッターボタンを押し込んだ状態にしたとき、指を離すまでは複数コマを次々と撮り続けるもの。動物や鉄道など、動く被写体を撮影するときなどに使用します。連写は、連写モードを選択した場合に有効で、通常は、シングル撮影モードに設定することが多いでしょう。シングル撮影モードでは、シャッターボタンを押し込むと1コマのみを撮影し、連続撮影はされません。したがって、急いで指を離さなくても、ムダなカットを撮影してしまうことがありません。2コマ目を撮りたい場合、シングル撮影モードでは、一旦シャッターボタンから指を離す必要があります。
なお、ここで言う「ドライブ」とは、フィルム時代から使われていた用語で、本来はフィルムを自動的に送り出して次の撮影に備える機能を意味するものです。フィルムを自動で巻き上げる、モータードライブの「ドライブ」で、昔はフィルム巻上げが手動であったことから、自動巻上げを特に「ドライブ」と呼ぶようになりました。今日のように、巻き上げるフィルムそのものがないデジタルカメラでも、撮るタイミングを制御する機能という意味で、この用語が引き継がれています。フィルムカメラを使ったことがない方には、いまいちピンとこない言葉かもしれないですね。
これらの機能は、使用頻度は少ないですが、思い通りに撮影ができないとき、思い出して使ってみると解決策として役立つことがあるはずです。
コンパクトデジタルカメラでは、これらの機能のすべてが搭載されていない場合もありますが、このレベルのテクニックを習得すれば、エントリークラスのデジカメで使える、ほぼすべての機能はマスターしたことになるでしょう。なお、一眼レフタイプなら、ほぼ確実に、ここに列記した全機能が利用可能です。
前回と同様、機能解説の文章そのものは覚えなくても構わないので、カメラを動かす手順のほうを意識して、各機能を使用した撮影にトライしてみてください。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。