写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.04.14
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタル一眼レフカメラでは、ボディのほかにレンズを合わせて購入する必要があります。そこで、最初に買うレンズとなるのが、標準50mm(換算値)を含めて、広角から望遠までをカバーするズームレンズ。
メーカー各社が、カメラ本体とあらかじめ組み合わせたレンズキット仕様で発売しているモデルでは、標準ズームレンズと、望遠ズームレンズの2本に分けて、この焦点距離域に対応する例が多いようです。とはいえ、現在では、この焦点距離域すべてに、レンズ交換なしで対応可能な高倍率ズームもあるので、いざ買うとなると、どちらを選んだほうが便利でお得なのかと、迷うこともあるでしょう。
そこで今回は、交換レンズ2本セットのダブルズームと、1本きりの高倍率ズームレンズの両方を取り上げて、機能的な特徴を比較してみました。
製品例1:デジタル専用・標準ズームレンズ
「ニコンAF-S DX ズームニッコール
ED 18-55mm F3.5-5.6G II」
(メーカー希望小売価格/税込¥21,000)
ニコンのデジタル一眼レフカメラ「D40x」をキットレンズと一緒に買うと付いている、モーター内蔵型の標準ズームレンズ。
「D40」シリーズ以外の、ニコン製デジタル一眼レフにも装着可能です。数字のミリ数は、レンズに固有の光学性能としての焦点距離で、カメラに装着すると、実際の撮影画角では約1.5倍程度の焦点距離に相当します(35ミリ判換算)。
この使用時の状態で、フィルム一眼レフの標準ズームレンズと同じように、広角~中望遠の撮影に利用できます。「D40」シリーズのボディカラーにマッチした、ブラックとシルバーの2色を選べます。
製品例2:デジタル専用・望遠ズームレンズ
「ニコンAF-S DX VR ズームニッコール
ED 55-200mm F4-5.6G(IF)」
(メーカー希望小売価格/税込¥47,250)
ニコン「D40x」をダブルズームキットで買うと付いている、モーター内蔵型の望遠ズームレンズ。
「D40」シリーズ以外の、ニコン製デジタル一眼レフにも装着可能です。前述の標準ズームレンズと合わせて、合計2本を適宜交換しながら撮影します。
このレンズは、光学式手ブレ補正機構をレンズ内に内蔵しており、シャッタースピード約3段分相当のブレ軽減効果を得ることができます。
製品例3:デジタル専用高倍率ズームレンズ
「タムロンAF18-250mm F/3.5-6.3
Di II LD Aspherical [IF] Macro」
(メーカー希望小売価格/税込¥75,000)
ニコン純正レンズでは、2本に分けてカバーする焦点距離域を1本のレンズにまとめた、レンズ専業メーカー、タムロン製の高倍率ズームレンズ。レンズ内にモーターを内蔵していないので(カメラボディ側から駆動)、AFで撮影する場合、ニコン製デジタル一眼レフでは「D80」以上の中級・高級機での使用に向きます。(「D40」シリーズで使用する場合、MF専用レンズになります。)
ニコンマウント専用タイプのほか、キヤノンマウント専用タイプも発売中で、ソニーマウント専用タイプ(旧ミノルタ・コニカミノルタ系αマウント互換仕様)も発売が決定しました。(ほかのメーカーの専用マウントタイプも順次発売予定。マウント部は各社別の専用仕様で、マウント部のみの交換・改造は不可。)ズームレンズの倍率は、現時点で世界最大級の13.9倍です。
構造上、デジタルズーム機能がない一眼レフタイプでは、ズーム倍率は、レンズの光学性能のみに依存。さらに、APS-Cサイズとはいえ、コンパクト機に比べれば、画像センサーのサイズがはるかに大きいデジタル一眼レフで、ズームレンズを高倍率化することは、技術的なハードルが極めて高いところでした。しかし、このズームレンズでは、レンズ一体型デジタルカメラ(レンズ交換できない擬似一眼タイプ)をしのぐほどの高倍率性能を、光学レンズのみで達成しています。高倍率ズームレンズでは、撮影の際に、ほとんどレンズ交換をしなくても良いので、画像センサーの前にゴミが付くことへの予防効果も期待できます。
ニコン18-55mm | ニコン55-200mm | タムロン18-250mm | |
---|---|---|---|
開放絞り(広角端~望遠端) | F3.5 - 5.6 | F4 - 5.6 | F3.5 - 6.3 |
最小絞り(広角端~望遠端) | F22 - 38 | F22 - 32 | F22 |
フィルター径 | 52mm | 52mm | 62mm |
最短撮影距離 | 0.28m(ズーム全域) | 1.1m (ズーム全域) | 0.45m (ズーム全域) |
最大撮影倍率 | 1/3.2倍 | 1/4.4倍 | 1:3.5 |
ピント目盛り(~∞) | なし | なし | あり |
最大径×長さ | 70.5 x 74mm | 73 x 99.5mm | 74.4 x 84.3mm |
重さ | 205g | 335g | 430g |
フード | なし(別売) | あり | あり(花型フード) |
35ミリ判換算焦点距離(相当画角) | 約27-82.5mm | 約82.5-300mm | 約28-388mm |
デジタル一眼レフに合わせて、広角から望遠までをカバーするレンズを選ぶなら、標準ズーム+望遠ズームの2本組みにするべきか、高倍率ズーム1本だけのほうが便利か? といったところで迷うことも、あるかと思います。そこで、幾つかの点について、選びどころを比較してみました。
いずれのレンズでも、広角18mmでは、開放絞りに違いはありません。しかし、ズームレンズの開放絞りは、安価な製品では焦点距離によって変わることが多いので、望遠側で撮ろうとすると、露出1段分くらい暗くなります。(高級レンズでは、ズーム全域で開放絞りが一定に保たれる製品もあります。)ニコン純正の望遠レンズを200mmで使う場合の開放絞りはF5.6ですが、タムロンの高倍率ズームレンズでは、望遠側のミリ数は大きいものの、開放絞りはニコン純正より半絞りほど暗くなることに注目。また、標準ズームレンズで望遠端の55mmと、望遠ズームレンズのワイド端となる55mmでは、同じ焦点距離でも、それぞれ開放絞りは、F5.6とF4といったように1段分の違いが現れます。
レンズの絞りには、被写界深度という、ピントが合って見える距離範囲を決める効果があるので、背景をぼかして撮りたい場合は、なるべく開放絞りの数字が小さいほうが有利。もし、このような撮影を行う目的があるなら、ズーム倍率だけでなく、開放絞りの数字にも注目する必要があるでしょう。なお、高倍率ズームでは、広角端から望遠端へ向かって、一直線に開放絞りは暗くなっていきます。望遠レンズに明るさを求めるなら、2本組みのほうが何かと有利かもしれません。
レンズのフィルター径は、各製品ごとに異なっています。その違いは、いろいろなフィルターを買うときのコストに関係してきます。通例、直径が大きいほうが、フィルターの価格は高くなるようです。
被写体まで接近して撮影したときに、しっかりピントが合う限界点となる距離も、レンズ選びでは大切な項目。特に、広角側で小さな被写体を撮影するときには、十分に接近できないと、ただ背景が広いだけの間の抜けた写真になってしまいます。よって、広角での写りを重視する方の場合は、最短撮影距離の短い純正標準ズームのほうが、満足できる結果にも近付きやすいでしょう。
一方で、純正望遠ズームでは、最短1.1mとなっているので、被写体から距離を置いて撮影することがわかります。これと比較して、タムロン製レンズでは、広角側にも配慮した設計のため、望遠250mmでも0.45mまで近寄れる設計なので、望遠マクロのような撮り方では高倍率ズーム1本のほうが有利です。ここでの判断の決め手は、広角重視か望遠重視か? どちらがいいかは、使う方それぞれの撮りたい被写体によって変化するので、まず「自分は何を撮りたいのか?」を考えてみてください。
最近の普及型レンズでは、ピント目盛りが省略された機種も増えています。
コンパクトデジカメでは、レンズにピント目盛りはないので、一眼レフでもAF主体の一般的な撮影であれば、ピント目盛りがなくてもほとんど不都合はありません。しかし、一眼レフなりの機能でもあるMFに切り替えた場合の使いやすさまで考えるなら、ピント目盛りの有無にもこだわりたいもの。ピント目盛りがあったほうが、無限大(∞)の位置も、はっきりわかるので花火や天体を撮る場合に便利です。
初心者の方がズームレンズの性能を考えるときは、望遠側のスペックに関心が行くことが多いと思いますが、ここで注目したいのは、広角端で使用する場合の重さ。望遠域で比較した場合、ニコン純正でもタムロン製でも、同じミリ数で使う状況なら、それほど体感的な重さに差はないでしょう。しかし、広角域では、まったく同じミリ数でも、レンズの自重には2倍超の差があることになります。
高倍率ズームの場合、レンズ交換の手間が少ない点は確かに便利ですが、広角側しか使わない状況でも、常に望遠レンズの重さを手で持って支えながら撮影することになるのも事実。せっかく本体が軽いデジタル一眼レフを使っていても、レンズがいつも重くては意味が薄れるので、ここでも広角重視なら、交換レンズの焦点距離域を分けて選ぶほうが効果的です。
ズームレンズの専用フードは、画角が最も広くなる広角端に合わせて、サイズが決まっています。これは、望遠端でちょうど良いフードでは、広角側で撮影したときに、画面の四隅にフードが一緒に写ってしまうからです。そのような事態を防ぐため、広角レンズや高倍率ズームレンズでは、円筒形の四隅に切り込みを入れて花びらのような形状に加工した、花形フードが採用されています。しかし、これはあくまで広角用のフードなので、望遠域の焦点距離では、本来は切り込みのないフードのほうが、現実的には、より大きな効果が期待できます。
この点で言えば、広角と望遠では、それぞれ2つ以上の交換レンズを使い分けたほうが、撮影現場での使い勝手も良くなるでしょう。
ズーム倍率が上がれば、一定の回転角に対する、焦点距離の変化は急になります。つまり、ちょっと動かしただけで、画角が大きくズームします。これは、素早くズーム倍率を変えたい場合には便利ですが、一方で、微調整が必要なときには小回りが効かないということでもあるので、構図に凝った撮影は少々難しくなるかもしれません。
なお、ズームリングに書かれた各焦点距離の数字も、低倍率ズームより高倍率ズームのほうが、目盛りが大ざっぱな刻みになります。
以上のほか、カメラ本体とレンズを実際に装着した場合のバランスや、デザインの調和なども、人それぞれに好みが違うところ。お買い求めの際は、撮影目的と、カメラ本体との相性なども考えて、自分にとって本当に最適なレンズを選んでください。
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