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写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー

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2007.04.21

ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!

【ピント合わせを使いこなす】
デジタル一眼レフのAFフレーム

現行機種のデジタル一眼レフでは、ファインダーを覗くと、レンズ越しに被写体が見えるスクリーン上に、いくつもの小さな「枠」が表示されています。これらは「AFフレーム」と呼ばれ、オートフォーカス機能で、ピントを合わせるためのターゲットとなるもの。ファインダー像がぼやけている状態のとき、狙った被写体に任意のターゲットを合わせてシャッターボタンを半押しすると、レンズ内の一部がモーターで駆動してピントが合います。

このAFフレーム群のうち、実際にレンズが動くときに使われるのは、そのとき選択された、いずれかの各1点のみですが、いまのカメラではAFフレームを複数箇所から選択できるようになっていて、被写体をファインダー中央にとらえることができない場合でも、柔軟なAF操作が可能です。ただし、選べるAFフレームの数は機種ごとに違いがあり、これもカメラ選びの大切なポイントになります。

ファインダーにAFフレームがたくさんある理由

1980年代に登場した初期のAF一眼レフカメラ(当時はデジタルカメラがまだ存在しなかったのでフィルム用のみ)には、AFフレームは中央部に1点しか搭載されていませんでした。これは、AF化以前の一眼レフカメラに搭載されていた、スプリットイメージやマイクロプリズムなどの距離計が、画面中央に1つのみ配置されていたことを踏まえて、ピント合わせを自動化したからであろうと思われます。また、一眼レフより簡易な仕組みながら、時期としては先にAF化が進んだフィルム用コンパクトカメラでも、ファインダーに中央部1点のみのAFフレームを設けていたことも、おそらくは関係しているでしょう。

こうした初期のAFを使って撮影する場合は、構図を決定して本番の撮影に入る前に、次のような手順をとります。まず、カメラを撮りたい被写体の中心に向けて、ファインダーの中央部に1つしかないAFフレームを合わせた上で、シャッターボタン半押しでピントを合わせ、その状態を保ってフォーカスロック。そのまま、カメラの向きを変えて構図を微調整した上で、シャッターボタンを完全に押し込んで撮影するという流れを、1コマ撮るごとに繰り返していました。したがって、当時はAF一眼レフとは言っても、自分の指でレンズを回す手間が省けるだけで、フォーカスロックに要する手間を考慮すれば、マニュアルフォーカスで撮影した場合と、トータルな時間として大きな差はなかったのが実情でした。この方法でも、静止している被写体を撮るだけなら問題はありませんが、動く被写体の場合では、さすがに中央1点のAFフレームでは対処しきれないので、かつてはAF一眼レフなのに、動く被写体だけはMFで撮るという、なんとも妙な使い方をしていたものです。ちなみに、初期のAF一眼レフはシングルAF専用で、動いているものにピントを合わせ続ける機能そのものが付いていませんでした。

それから年月を経て、より高度で実用的なAF性能を実現するために開発されたのが、複数のAFフレームを搭載した、現在の最新型モデルでも採用されているAF方式。これなら、画面中央以外にある被写体にピントを合わせる場合でも、わざわざフォーカスロックしてからカメラの向きを変える必要がなくなり、ファインダーを覗いて、撮りたい被写体に近いAFフレームを選んでからシャッターボタンを押すだけで、ダイレクトに自動でピントが合うようになりました。また、AFフレームが複数箇所に点在することで、画面を横切って動く被写体にピントを合わせ続ける際の正確さも向上。さらに、シャッタータイムラグでピントがずれる分までも、カメラ自動調整してくれる動体予測機能と合わせて、現行機種では、格段に精緻なピント合わせができるようになっています。

AFフレーム表示AFセンサー周辺の構造

ニコンの最高級デジタル一眼レフ「D2Xs」のファインダー内に配置されたAFフレーム表示と、AFセンサー周辺の構造

ちなみに、ファインダーに表示されているAFフレームは、設定・確認のためにマット面に描いてあるだけで、本物のAFセンサー部品は、レンズ交換式一眼レフの場合、通例はミラーに隠れたボディ下側の部分にあります。レンズを外すと見えるミラーは、一部の光を透過する仕組みになっていて、その裏側にある、もう1つの小さなミラーを介することでボディ下側にレンズ像を導き、AFセンサーで距離を測定。この測距データをもとにレンズの駆動量を演算し、電力でモーターを回すことによって、レンズのピントが調整される仕組みです。このAFセンサーは、ファインダーにある測光センサーとは別に装備された部品で、構造的にはフィルム機でも、デジタル機でも同じ。デジタル一眼レフで実際の撮影に使用するCCD、CMOSなどの画像センサーは、原則としてピント合わせには使われません(コンパクトデジタルカメラとは異なる構造です)。なお、シャッターを切ると、メインミラーが跳ね上がって光がAFセンサーに届かなくなるので、同時に測距・演算は終了しますが、シャッター機構の動作中にも被写体の動きがあるとカメラが判断した場合には、センサーが測距しない時間に生じ得るピントの誤差を予測して、露光直前までAFレンズを駆動し続けます。このような、動く被写体に対してシャッター動作中のピント誤差を自動調整する機能は「動体予測機能」と呼ばれ、コンティニュアスAF(ピントの自動追尾)とワンセットになっています。

最適なAFフレームを選ぶコツ

複数あるAFフレームは、大きく分けて2通りの方法で使われます。まずは、カメラボディ背面にあるボタンの操作で、選択候補群の中から1箇所のみのAFフレームを手動で指定し、ピント合わせの目標を確定する使い方。そして他方は、全選択候補群の中から、カメラが自動的に適切と判断するAFフレームを選ぶ使い方です。前者の手動による任意選択は主に止まっている被写体に、後者の自動選択は主に動いている被写体に使用します。なお、メーカーによっては、ピント合わせのターゲットを「AFエリア」と称する場合がありますが、「AFフレーム」と同じ意味です。高級機では、AFフレームの数が多いため、1箇所ずつ任意選択する方法のほか、数箇所のAFフレーム群をグループとして領域別に任意選択できる例もあり、この方式では動体の捕捉に威力があります。

ここで、あらかじめ覚えておきたいこと。現行機種では、任意選択で1点を指定する方法を使って、AF+自動露出で撮影する場合、必ず先に構図を決めてから、狙った被写体に最も近いAFフレームを選ぶことが重要です。撮影の回数を重ねると、AFフレームをいちいち選ぶのが面倒になってきて、たまたま前回の撮影時に選択していたAFフレームで、テキトウにピントを合わせて、フォーカスロックで構図を変えて撮影すれば良いと思ったりしがちですが、この撮り方では落とし穴があるので注意してください。

なぜかというと、最近の一眼レフカメラの中には、指定したAFフレームのポジションと、それを使って測った距離情報を、自動露出にフィードバックする機種があるから。これは多分割測光に類する測光モードを使用して、自動露出モードで撮影する状況で、なおかつ静止被写体用のAFモード(連続AFではない)を選んだ状況に限りますが、カメラによっては、どれか1つのAFフレームにフォーカスロックすると、その位置を主要被写体とみなして、同時にAEロックが自動設定され、稼動中のAFフレーム周辺を優先して露出が確定される仕組みになっていることがあります。(この自動AEロック機能が搭載されているかどうかは、お使いの機種の取扱説明書で確認してください。)すると、単なるフォーカスロックのつもりでカメラの向きを変えた結果、意識していなかったところにAEロックした状態になり、気が付かないで露出ミスを起こすことがあります。初期型のAF一眼レフを使ったことがあるベテランの方の場合、かえって昔を知っているがゆえに、時としてこういう使い方をしたくなりますが、やはり面倒でもAFフレームは、しっかり選んだほうが、現行機種では正確に動作することが多いようです。ちなみに、初期型のAF一眼レフは、AFフレームは中央1点限定、測光方式は測距情報からの影響を受けない中央部重点平均測光のみだったので、フォーカス、露出ともに、演算方法が現在とはまったく異なっています。

AFフレームは、取扱説明書の通りに正しく使用すれば、特に自動露出で、記念写真などの人物を撮影する場合において、ピント・露出とも最良の結果を得ることができます。また、機種によっては、スポット測光の適用範囲が中央部のみではなく、選択したAFフレームに連動できる例もあり、使い方次第で幅広い応用が可能です。ボディ背面のボタンを操作するのが面倒に感じることもあるかと思いますが、これは単なるピント合わせの補助機能ではなく、自動露出で優先する部分を決める入力キーでもあるので、なるべく正確な設定操作を行って積極的に利用してみてください。

現行のデジタル一眼レフ各機種のAFフレーム数

一眼レフカメラのAFフレームは、機種ごとに搭載された数が違います。数量的に突出しているのはキヤノンで、現在発売されている中での最上位機種に当たる「EOS 1D MarkII」シリーズでは、45点もの候補から任意の1点を選ぶことが可能です。各社とも、上位機種ほどAFフレームの数は多く、価格の安い普及機ではAFフレームの数も省略されていることがわかります。最も使いやすいAFフレームの数がいくつなのかという問題は、人それぞれの好みや、撮りたい被写体によっても変わりますが、AFと組み合わせて使う測光モード、および、その中でも多分割測光系モードでの分割ポイントの数なども考慮し、カタログスペックだけでなく実際の用途と照らし合わせて、最もバランスの良いAFフレーム数を備えた機種を選ぶのが良いのではないかと思います。

現在発売中のデジタル一眼レフカメラ各機種におけるAFフレームの数(2007年4月20日現在)
キヤノン ニコン ペンタックス オリンパス ソニー
EOS-1Ds/1D Mark II 45点 D2Xs 11点 K10D 11点 E-1 3点 α100 9点
EOS 5D 9点+補助6点 D2Hs 11点 K100D 11点 E-330 3点  
EOS 30D 9点 D200 11点(ワイド7点) *ist DL2 5点    
EOS KissデジタルX 9点 D80 11カ所 *ist DS2 11点    
フィルム用EOS-1V 45点 D70s 5点 フィルム用*ist 11点    
フィルム用EOS 7s 7点 D40/40X 3点      
フィルム用EOS Kiss 7 7点 フィルム用F6 11点      
フィルム用EOS Kiss Lite 7点        

以下に、撮影目的のパターンに合わせて、おすすめ機種を、いくつか選んでみました。上記の一覧表にあるAFフレームの数と、前々回に取り上げた自動露出の分割ポイント数の双方を考慮して選んだものです。なお、これはあくまでカタログ上の数値のみから導き出した参考例ですので、人によって意見は異なるものと思われます。実際の撮りやすさは、ユーザーの方それぞれの実感で判断してください。

主に人物を自動露出で撮影する → キヤノンがおすすめ

AFフレーム数、自動露出の分割ポイント数ともに、数量としては多くもなく、少なくもない平均的なレベル。しかし、この2つは相互に連携し、選んだAFフレームに応じて自動AEロックがかかる機能もあるので、主要被写体の位置と大きさ、そしてカメラからの距離が明確になる人物撮影では有利でしょう。フラッグシップ機の45点AF選択は全機種を通じて最高の数で、動くものまで含めて守備範囲を広げたい場面にも、圧倒的な対応力を持ちます。デジタル一眼レフのほうが、フィルム一眼レフより年式が新しいため、AFフレームの数ではデジタルが勝っているようです。

広角系レンズを使って風景も撮りたい → ニコンがおすすめ

AFフレームの数だけを見れば、上位機種でもキヤノンより少ない印象。しかし、自動露出の分割ポイントに圧倒的な数があり、さらに色の影響まで判断して自動露出を設定できる機能を持つ点は、画角が大きな広角系レンズでの撮影に有利です。広角系レンズは被写界深度が深いので、AFフレーム数はこのくらいでも十分に実用的。記念写真だけでなく風景写真も自動露出で撮りたいと思うなら、分割精度の高い自動露出が強い味方になりそうです。

露出は自動よりマニュアルモードをよく使う → ペンタックスがおすすめ

価格の割には、意外にAFフレーム数が多いことに注目。自動露出の分割ポイントは、あまり多くはありませんが、AFでも露出モードだけはマニュアルという本格的な写真愛好家の方には、このコストパフォーマンスは魅力的です。自動露出と分割測光を多用しないのであれば、メカ部分では基本性能の完成度が高いペンタックスがおすすめ。

見やすいファインダーが一番 → ニコンD40/40Xとオリンパスがおすすめ

AFフレーム数が多いと、ファインダー内の指標表示が増えるので、見た目がゴチャゴチャしてきます。それを避けるなら、あえてAFフレーム数が少ない機種を選ぶ方法もあり。AFフレーム数が足らない分は、昔ながらのフォーカスロックで対処します。

ボタン操作が簡単なものを選びたい → キヤノンの普及機とソニーαがおすすめ

AFフレームは、中央1点と、上下左右の4方向、そして斜めに4方向で、合計すると9点。ゲーム機のように直感的なボタン操作で、AFフレームを選択できます。キヤノンの普及機もソニーαも9点ですが、それぞれ配置に違いがあるので、実際に見た感じで使いやすいほうを選んでください。

 
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