写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.06.08
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラの画質性能は、カタログスペックとしては、搭載されている最高の画素数モードに設定した状態を想定したものです。この場合、画像センサーの実効面積内にある受光素子の数と、画像に記録されるピクセル数が一致するので、「有効画素数」という用語には、その機種を使って撮影できる画質の限界性能という意味があります。
ただし、デジタルカメラには、画角を維持したままで(トリミングではないという意味)、画素数のみを少なく記録するモードがあり、これを使うと画像が粗くなる分、1点ごとのデータ量を軽くして、1枚のメモリーカードに、より多くの撮影コマ数を詰め込むことができます。
近頃は、有効画素数が1000万画素を超える機種も増えていますが、いつも必ず最高の画素数モードで撮るのがベストとは限らないので、その下に幾つかある低い(画像が粗い)画素数のモードも、用途に応じて使い分けると効率的。今回は、各社のデジタル一眼レフカメラについて、画素数モードの仕様を比べてみます。
EOS-1D Mark III
デジタル一眼レフの有効画素数(=最高設定時の記録画素数)が、機種ごとに異なるのは、皆さんも既にご存知の通り。しかし、最高設定以外のモードを選んだ場合についても、記録画素数は機種ごとに異なっています。
ほとんどのデジタル一眼レフカメラは、アスペクト比がフィルムと同じ3:2であり、お店でプリントをオーダーしたり、写真専用の家庭用プリンターを使って印刷すれば、自動的に印画紙のサイズにピッタリ合わせてプリントが出てくるので、記録画素数の違いをユーザー側で実感することは少ないでしょう。
しかし、画像をパソコンに取り込んで、ワープロ文書や印刷版下、ホームページ制作などに使う場合には、画素数の違いがはっきりと現れることがあるので、こうした用途でデジタル一眼レフを使う場合は、ぜひ記録画素数の設定も撮影前に確認してみてください。以下は、各社製の主なデジタル一眼レフで設定できる、記録画素数モードの一覧です。
メーカー | 機種名 | 記録画素数モード |
---|---|---|
キヤノン | EOS-1Ds Mark II | 4992×3328 3600×2400 3072×2048 2496×1664 |
EOS 5D | 4368×2912 3168×2112 2496×1664 | |
EOS-1D Mark III | 3888×2592 3456×2304 2816×1880 1936×1288 | |
EOS 30D | 3504×2336 2544×1696 1728×1152 | |
EOS KissデジタルX | 3888×2592 2816×1880 1936×1288 | |
ニコン | D2Xs | 4288×2848 3216×2136 2144×1424 (クロップ高速ON時 3216×2136 2400×1600 1600×1064) |
D2Hs | 2464×1632 1840×1224 | |
D200 | 3872×2592 2896×1944 1936×1296 | |
D80 | 3872×2592 2896×1944 1936×1296 | |
D40x | 3872×2592 2896×1944 1936×1296 | |
D40 | 3008×2000 2256×1496 1504×1000 | |
富士フイルム | FinePix S5 Pro | 4256×2848 3024×2016 2304×1536 |
ソニー | α100 | 3872×2592 2896×1936 1920×1280 |
ペンタックス | K10D | 3872×2592 3008×2000 1824×1216 |
K100D | 3008×2008(RAW) 3008×2000 2400×1600 1536×1024 | |
オリンパス | E-1 | 2560×1920 1600×1200 1280×960 1024×768 640×480 |
E-330 | 3136×2352 2560×1920 1600×1200 1280×960 1024×768 640×480 |
|
E-410 | 3648×2736 3200×2400 2560×1920 1600×1200 1280×960 1024×768 640×480 |
|
パナソニック | Lumix L1 | 3136×2352 2560×1920 2048×1536 [4:3モード] 3136×2080 2560×1712 2048×1360 [3:2モード] 3136×1760 1920×1080 [16:9モード |
※各機種とも、画像ファイルはJPEGの場合。ただし、いずれの機種も、最高画素数ではRAWモード記録を選択できます。キヤノン「EOS-1D Mark III」では、最低画素数でもRAWモード記録可。ニコン「D2Xs」「D2Hs」では、各サイズでTIFFモードでも記録可。オリンパス「E-1」と「E-330」については、いずれも最高画素数でRAWモードのほか、TIFFモードでも記録可。なお、キヤノンは、機種によって画像センサーのサイズ仕様が異なります(アスペクト比はいずれも3:2)。
また、ニコン「D2Xs」でクロップ高速に設定した場合、画像センサーを一部のみ使用する状態になり、画角が変わります(トリミングと同じ効果)。オリンパスとパナソニックは、アスペクト比4:3(パナソニックのみアスペクト比切替可)で、他社製とは画像センサーのサイズも異なります。
デジタル一眼レフの画素数モードは、ほとんどの機種が3パターンからの選択で、一部のプロ用高級機、およびアスペクト比が異なるオリンパスとパナソニックの製品については、それ以上の選択肢を備えています。そこで、デジタル一眼レフの記録画素数設定は、原則3パターンという大前提のもとに各機種を比較すると、次のようなことが明らかになります。
まずは、画素数から判断できる、デジタル一眼レフならではの用途の特徴について。大半の機種では、最も低い画素数モードに設定した場合でも、パソコンやテレビの1画面に収まる限界のドット数よりは、写真1枚の画像サイズが大きいことがわかります。したがって、デジタル一眼レフは、本来、フィルムと同様に紙焼きの写真プリントを作るようにできていると言えるでしょう。ただし、オリンパスの場合は、パソコンの画面比率に準拠したアスペクト比4:3仕様で設計されているため、小さな画面のノート型パソコンでも全画面表示できる極小の画素数モードを備えており、コンパクトデジカメとほぼ同じような使い方ができます。同じ4:3仕様でも、この点だけはパナソニック製と異なるところです。
原則3つある画素数モードを、機種別に見ていくと、最高画素数モード(=性能上の有効画素数)に違いがあることはもちろん、それぞれの機種ごとに、中・低画素数モードでも、微妙に実際のピクセル寸法が異なることがわかります。したがって、有効画素数の多いデジタル一眼レフを購入するときは、最大時のピクセル寸法のほか、2番目、3番目の小さな画素数モードに設定した場合についても十分に確認してから、最終候補となる機種を絞り込んだほうが、後々、実際に使ってみてからの不満が少ないかもしれません。ほとんどの機種では、Lサイズ程度の小さなプリントを得る用途で撮る場合、中画素数以下でも画質的には何ら問題のないことが多いようです。また、有効画素数(最大画素数)が同じ機種どうしでも、2番目以下の画素数モードを比べると、相当に差が付いている例も実際にあります。カメラ選びの際には、AFや自動露出など光学系の撮影性能だけでなく、画像データの記録性能についても、デジタルカメラでは、忘れずに確認しておきたいところです。例えば、ニコン・ソニー・ペンタックスの3社では、最高設定時の画素数が、まったく同じ機種があります。しかし、2番目に多い画素数で比較すると、ペンタックス(K10D)が最も高画質での撮影が可能。さらに、ペンタックスでは、上位機種「K10D」における2番目の画素数モードは、下位機種「K100D」の最高画素数に、ほぼ一致します。デジタル一眼レフのボディを買い換えたとき、その前後でも、撮影した写真の画素数を一定に保ちたい場合は、こんなところも見ておく必要があるのです。
ちなみに、デジタル一眼レフは、新製品が開発されて有効画素数が増えると、最も低いモードでの撮影画素数も切り上がっていく傾向が見られます。よって、ホームページ用や印刷原稿用などで、特に小さな画像を撮影したい場合、むしろ有効画素数が少ない旧機種のほうが便利かもしれません。
なお、画素数モードを選べるのは、基本的にJPEGモードの圧縮画像のみで、RAWモードについては、いずれの機種でも最高画素数でしか記録できません(一部機種を除く)。これは、RAWモードの特性で、画像センサー上の出力信号を変換・圧縮せずにそのまま記録しているからです。JPEGの低画素数モードでは、画像処理エンジンの演算処理によって、画像センサーから得られた画素数を間引きした上で、さらにJPEG圧縮処理を行った後の画像データを保存しています。
実践での撮影に使用する画素数モードは、どれが良いか? デジタル一眼レフの場合、画質のみを優先して考えるなら、原則的には、やはり各機種が持っている性能上の最高設定とするのがベストでしょう。なぜなら、一般ユーザーの方の場合、シャッターチャンスが1回だけで撮り直しの効かないシーンを撮影する機会が多いと思われ、そこで画質が足らないと、大伸ばしプリントに対応できなくなるから。
デジタル画像では、画素数の多いものを間引いてリサイズする分には、それほど画質劣化が目立ちませんが、その逆に、少ない画素数設定で撮影した画像に対して、無理に画素数を増やすリサイズを行うと、もともと写っていない画素と画素の隙間を電子的に計算して埋めることになるので、画質劣化が目立ちます。また、デジタル一眼レフには、コンパクト機には必ず搭載されているデジタルズーム機能が原則として付いていないので、画素数を低く設定しても、あまり大きなメリットが得られません。
デジタルズームと同じ効果は、撮影後にパソコンを使って画像を部分的に切り取った上で拡大プリントする、トリミングという手法によっても得られますが、画素数そのものは切り取った範囲の分だけになるので、これを行うには撮影した時点で画素数に余裕があることが大前提。そのため、使い勝手を考えるなら、デジタル一眼レフでは、画素数は多いほうが好都合です。
なお、それほど画素数が多くなくても良い場合は、カメラの性能として有効画素数が最初から少ない機種を選んだほうが、購入予算も少なくて済みます。
それでは、どうして画素数モードを選ぶ必要があるのか? この点については、デジタルカメラの画像が圧縮ファイルであるJPEG形式によって記録されていることに、深い関係があります。
JPEGの画像は、1度記録したものをリサイズ加工して、もう1度JPEGで保存すると、圧縮処理は合計2回分。それだけ、写真の画質が劣化してしまうのです。これでは、画像センサーの性能がいかに高くても、どんなに良いレンズを使っても、その効力が最終段階では薄れます。そこで、低画素数のモードを選べば、リサイズ加工なしで、小さな画像をダイレクトに記録でき、後処理による画質劣化を避けることも可能となるわけです。
小さな画像サイズでしか写真を使わないことが最初からわかっている場合は、撮影後のリサイズを省略できる低画素数モードを使うと、メモリーカードのデータ消費も少なくなり、より軽快に撮影できます。この点では、オリンパスの各機種が、最も汎用性が高いでしょう。
RAWモードについては、ほとんどの機種において、最高設定の画素数のみで使用可能となりますが、これはJPEGモードならカメラが自動処理している作業を、マニュアル設定できるようにしたもの。ユーザー自身がパソコンを操作して、画像の各種設定を事後処理で微調整し、自分で納得できる色合いを引き出すことも可能です。
RAW画像はデータが非圧縮であるため画質劣化がないほか、ホワイトバランスなども後から変更可能。それゆえ、デジタル一眼レフを画像素材の撮影用として利用し、複数の写真をパソコン上で合成して1枚の作品に仕上げたい場合などには重宝します。
また、普通に撮影した写真でも、デジタル一眼レフでデジタルズーム同等の効果を得たい場合や、画素数モードでは選べない任意のピクセル寸法で縮小画像を得たい場合は、トリミングあるいはリサイズした画像を、パソコンで再度保存することになるので、あらかじめRAWモードで撮っておいたほうが画質は維持しやすくなるでしょう。ただし、RAWモードを使いこなすには、アドビ「フォトショップ」での画像処理作業と同じ程度のテクニックが必要になるほか、さらに、パソコン作業を自分で行うのが面倒になった場合でも、原則として、写真店にオーダーして作業を代行してもらうことができません。
これは、RAWという規格のファイルが存在するわけではなく、実際には、各機種ごとに別々となる独自のファイル形式を採用しているからです。つまり、RAWとは、それらをまとめて表した用語にすぎないということ。もし、撮影時にRAWとJPEGのどちらで記録すれば良いか迷った場合には、両方を合わせて自動的に記録する(1回の撮影につき2種類の画像ファイルを保存する)というモードも利用可能です。
RAWで撮れば、圧縮処理による画質劣化がないのは確かですが、後処理の手間や、色調の再現性まで考慮すると、何でも高画質になるというわけではないので、写真の用途を事前によく検討した上で、このモードを活用してみてください。
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