写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.06.15
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタル一眼レフカメラで、撮影後にJPEG保存される画像データの記録画素数サイズを選べることは、前回お話ししましたが、これと同様にコンパクトデジタルカメラでも、記録される画素数のサイズは、モード選択によって変えることができます。しかも、コンパクト機の場合はデジタルズーム機能があり、これが画素数の設定と密接に関係するので、デジタル一眼レフ以上に、画素数モードの使い方が重要な意味を持ちます。今回の話は、カメラ初心者の方にとっては、はっきり申し上げて少々難しいかもしれません。とはいえ、実際の撮影目的に合うようにデジカメの機種を選んだり、その搭載機能をフルに引き出して使うためには、画素数モードの選択は知っておきたい機能の1つ。ぜひ、要点だけでも覚えて、デジカメをご購入の際の参考としてください。
デジタルカメラのうち、コンパクトデジカメは、もともと1990年代にパソコン周辺機器として一般に普及した経緯があり、もとから銀塩フィルムとは規格の成り立ちが異なっています。この点は、フィルムカメラの規格をほぼ完全に踏襲しているデジタル一眼レフと比べて、大きく差が目立つところでしょう。よって、コンパクトデジカメはパソコンの画面を基準とした当初の規格を出発点に、縦横の画面比率を保ちながら、有効画素数を増やして発展した規格となっており、この流れは基本的に現在まで変わっていません。現行機種では、パソコンがなくてもプリントできる機能が標準装備されていますが、その起源から判断するなら、コンパクトデジカメは原則としてパソコンとの相性が良いことになります。
コンパクトデジカメのアスペクト比(画面の横:縦の比率)は「4:3」。デジタル一眼レフの多くと銀塩フィルム(35ミリ)は「3:2」なので、実際に撮影される写真のピクセル寸法(ドットの数)も、コンパクト機と一眼レフでは、まったく違います。歴史的にはコンパクト機のほうが先に登場し、また初期のコンパクト機では、画質性能的にもパソコンの画面に納まり切るぐらいの画像サイズまでしか撮影できなかったので、以前は、画素数サイズに実質的な選択肢はありませんでした。しかし、やがて画素数の多いデジカメが次々と登場するようになり、さらにパソコンなしで写真をプリントできる機能が普及すると、コンパクトデジカメの役割も次第に変化し、パソコン周辺機器から、フィルム用コンパクトカメラの代替機へと発展。この時点で、旧来のパソコン表示に適した画素数の少ない画像サイズと、紙へのプリントに適した画素数の多い画像サイズを、同じデジカメの中で両立させる必要性が高まったため、その実際のモード選択は、ユーザー側で撮影目的を考えて設定することとなりました。
しかし、パソコンに準拠した規格を維持しつつ、フィルムカメラの機能を代替する画質レベルも新たに取り入れるという技術的な課題がクリアされた一方で、コンパクト機の場合は、ユーザーがカメラの操作に慣れていない、いわゆる初心者から、フィルムでの撮影経験が長いベテランまで幅広い層にわたるという、一眼レフ以上に特殊な事情もあります。さらに、デジカメが発展する過程では、メーカーどうしが開発競争を繰り返しつつ、有効画素数を段階的に増やしていった歴史もあるので、実際に撮影できる画素数モード、つまり画面の横×縦のピクセル数の設定について切り換えが可能なバリエーションの使い勝手が、メーカーや機種ごとに少しずつ違うという状況も発生。撮影に適した画素数モードを選ぶことは、現実の問題として、デジタル一眼レフ以上に複雑になっています。例えば、有効1000万画素のデジカメを2番目に高い画素数モードで使う場合より、有効700万画素のデジカメを最高画質で使ったほうが、実際に撮影されたピクセル寸法が大きくなることもありますから、デジカメを買い替える場合などは、仕様一覧を熟読して、最高画質設定ではない場合の撮影状況も十分に確認したいところです。
コンパクトデジカメの場合、画素数モードの設定を下げれば、その代わりにデジタルズームの倍率が上がるので、画素数の選択はデジタル一眼レフの場合以上に重要。カタログスペックでは、最高画質に設定した状態を表す「有効画素数」が、個々のカメラの性能を代表する基準値になっていますが(この場合はデジタルズームを使用しない状態)、実践の撮影では、デジタルズーム機能を使うために、画素数モードを最高より下げる場合が多くなります。デジタルズームは、光学ズームレンズと合わせて、液晶モニターでの見た目のズーム倍率を決定しますから、画素数モードをどう選ぶかというだけでも、デジカメの使い勝手が相当に変わってしまうわけです。この点は、「本格派向け」といわれるデジタル一眼レフやフィルムカメラ以上に、初心者の方にとっては難解に思われることがあるかもしれません。なお、コンパクト機の場合、光学レンズのみでカバーできる範囲の望遠端までは、画像センサー全体でとらえたレンズ像をそのまま使用するので、有効画素数いっぱいの最高画質設定ではデジタルズームが使えません。そこで画素数設定を下げると、光学レンズの望遠端まではセンサーの全体像からデータを間引きして低画素に変換しますが、その先では画像センサー全体の有効画素数と、それより小さく設定している記録画素数の差を利用して、レンズの光学像を部分的に切り取ることで望遠効果を引き出します。デジタルズームは、こうした原理によって得られる擬似的な望遠機能なので、有効画素数が多い機種でも、デジタルズームを使いたい場合だけは、モード設定によって画素数を下げることが不可欠。つまり、最高画質とデジタルズームは両立しないのです。
コンパクトデジカメの画素数モードで、どの機種にも必ずある設定は、下限側の「640×480画素」。これは、「VGAサイズ」とも呼ばれ、コンパクトデジカメには必ず標準搭載されている動画撮影モードと一致するピクセル寸法です。動画の再生装置となる、パソコンやテレビ(16:9画面ではない従来型)では、このサイズのとき、モニター画面いっぱいに動画を再生できるので、いずれのコンパクトデジカメでも、動画撮影できるタイプでは、静止画もVGAサイズが最小設定モードとなっています。アスペクト比3:2のデジタル一眼レフでは、VGAサイズに設定できる機種は存在しないので、この小さなサイズで写真を撮影したい用途がある場合は、原則としてコンパクト機を選んでください。
一方、画素数モードの上限側は、デジカメの各機種ごとに異なり、搭載されている画像センサー(CCD)の有効画素数に応じて、実際の撮影画像サイズ(ピクセル寸法)も決まります。ただし、コンパクトデジカメのCCDは、その多くが「1/2.5型」もしくは「1/1.8型」のどちらかであることが多いので、設定可能な上限の画素数については、メーカーが違っても同じ数値となる場合が、しばしば見られます。その一方で、まれに有効画素数が違っても、画素数モードの設定では上限の数値が同じとなる機種もあり、例えば、有効710万画素の機種と、有効720万画素の機種が、最も大きな画素数モードでは、いずれも同じピクセル寸法になるという場合も。こうした点を踏まえると、有効画素数のわずかな違いで機種選びに悩むことがあったら、実際の撮影画素数をピクセル寸法として確認すると、正確な判断ができるでしょう。なお、スペック上の有効画素数が多い機種も、決して広告でライバルメーカーに目立つように、大げさな機能表示をしているというわけではなく、CCDからの信号出力と画像処理の関係上、画像の実効寸法としては現れない部分において、画素数の多い分も演算プロセスでは有効に利用されているものとみられます。
これらの下限・上限の画素数設定に加えて、すべてのコンパクトデジカメには、それらの中間にも、幾つかの画素数サイズを選べる設定モードが用意されています。画像1点当たりの記録データ容量を節約したり、デジタルズーム機能を利用するには、この中間の画素数サイズモードを選び、画質も考慮して適切に設定する必要があります。デジタルズームは、画素数モードが下限のときに最大の倍率となりますが、写真プリントを目的とする場合、下限モードでは画質を維持できるだけの画素数がないので、プリント予定の印画紙サイズに合わせて、推奨画素数以上のモードを設定するのが使いこなしのコツです。ただし、中間の画素数モードは、メーカーおよび機種によって、微妙に仕様が異なります。同じメーカーで、CCDも同じ有効画素数の製品では、中間設定の画素数もほぼ統一されていますが、CCDサイズや有効画素数が変わると、同一メーカーでも中間設定が違う場合もあるので、デジカメを購入する際(特に買い替えの場合)には、中間設定時の画素数も忘れずに確認することをおすすめします。
現行機種のデジカメでは、中間設定の画素数サイズでも高画質化が進んでおり、基本的には、紙へのプリントに適した画質の範囲で、プリント用紙のサイズに合わせて画素数を選ぶ仕様になったようです。以前のデジカメでは、高精細表示ができるパソコンに適した画素数モードが、低画素側に幾つか用意されていましたが、現在の最新機種では、動画と同じVGAサイズ以外には、静止画の低画素数モードがない機種も増えてきました(静止画はプリント用の高画質画像に限定)。したがって、写真をプリントせずにパソコンのモニターで見るためにデジカメを使いたいという用途では、少し古いデジカメも廃棄しないでとっておけば、何かと役に立つことがあるかもしれません。なぜ、画素数モード設定が高画質側にシフトしたかといえば、おそらくは現行の各機種が、既に古いデジカメを持っているユーザーの買い替え、買い増し需要を見込んだものであるからと思われます。
ところで、コンパクトデジカメの多くは、アスペクト比を切り替える機能が付いています。デジタル一眼レフと同じ3:2、およびワイドテレビと同じ16:9のモードがあり、機種によって、このどちらか一方、もしくは両方へ、ユーザーの操作によって切り替えることができます。したがって、標準4:3モードと合わせて、コンパクトデジカメでは、合計3通りのアスペクト比を使い分けられる機種があります。多くの製品において、3:2モードは、上限側の画素数モードの画面で短辺のみトリミングしたものですが、16:9モードの場合は、上限モードでトリミングする機種(プリント用)と、ハイビジョンテレビのピクセル寸法に合わせた機種(テレビ画面での再生用)の2タイプがあります。これらの特別なアスペクト比で撮影する場合、ピクセル寸法は各1種類のみとなり、画素数モードを選べない機種がほとんどですが(標準4:3についてのみ画素数モードの変更可)、例外的にパナソニックの製品は、各アスペクト比において画素数モードを自在に選ぶことができます。
メーカー | 機種名 | 有効画素数 | 記録画素数モード(アスペクト比標準4:3) |
---|---|---|---|
キヤノン | PowerShot G7 | 約1000万画素 | 3648×2736 2816×2112 2272×1704 1600×1200 640×480 3648×2048[16:9] |
ニコン | COOLPIX P5000 | 10.0メガピクセル | 3648×2736 2592×1944 2048×1536 1600×1200 1280×960 1024×768 640×480 3648×2432[3:2] 3584×2016[16:9] |
ペンタックス | Optio A30 | 1000万画素 | 3648×2736 3072×2304 2592×1944 2048×1536 1600×1200 1024×768 640×480 |
カシオ | EXILIM ZOOM EX-Z1050 | 1010万画素 | 3648×2736 2560×1920 2048×1536 1600×1200 640×480 3648×2432[3:2] 3648×2048[16:9] |
リコー | Caplio GX100 | 1001万画素 | 3648×2736 3264×2448 2592×1944 2048×1536 1280×960 640×480 3648×2432[3:2] 2736×2736[1:1] |
パナソニック | Lumix DMC-FZ50 | 1010万画素 | 3648×2736 3264×2448 2560×1920 2048×1536 1600×1200 3600×2400 3248×2160 2560×1712 2048×1360[3:2] 3584×2016 3072×1728 1920×1080[16:9] |
現在までに普及している機種では最も有効画素数が多いクラスとなる、有効1000万画素(10メガ)級のコンパクトデジタルカメラ各機種を挙げて、画素数モードをすべて比較しました。このクラスの製品は、いずれもシリーズの上位モデルで、これに続くクラスの各機種でも、同じメーカーの製品では、ほぼ同様な画素数モード設定が使用できます(完全に一致しない場合もあります)。ただし、パナソニックの有効1000万画素機については、外観が一眼レフに似ている擬似一眼タイプの製品を挙げているので、これ以外のコンパクト機(有効画素数が比較的低い製品)では、低画素数側のモードに違いが見られます。パナソニック製でも、主力のFXシリーズなどでは、もちろんVGAサイズまでの撮影も可能です。なお、有効1000万画素級の製品をラインアップしていないメーカーについては、この表では除外しました。ただし、オリンパスについては、一眼レフタイプの「E-410」が有効1000万画素(アスペクト比もコンパクト機と同じ)で、なおかつ最小でVGAサイズまでの画素数設定が可能です。前回、このコーナーで取り上げた一覧表にある同機の画素数モードも、参考としてご覧ください。
各機種を比較すると、有効画素数が微妙に違っても、最大記録画素数は、すべて同じであることがわかります。したがって、撮影した写真の実寸でデジカメを選ぶなら、有効画素数だけではなく、最大記録画素数も見て判断する必要があると言えそうです。しかし、2番目以降の画素数モードでは、メーカーによって微妙な差があります。この部分は、撮影した写真の画質のほか、画像1コマ当たりのデータ量や、デジタルズーム倍率などと直接関係しますから、購入する機種を選ぶ際には、カメラの主な使用目的に応じて慎重に比較検討したいところでしょう。この中で、コンパクトデジタルカメラの誕生当初から続く、伝統的な画素数モード設定を、ほぼ完全に受け継いでいるのが、ニコンとペンタックス。微妙な違いはありますが、いずれも高画質モデルのデジカメでありながら、低画素数モード側の選択肢も充実しています。以前、デジカメの画素数が少なかった時代には、(現在で言う)低画素数側にも選択肢は多かったのですが、デジカメの高画質化が進んだ現在では、より画素数の多いほうに設定の選択肢がシフトした機種も目立つようです。また、多くの機種には、アスペクト比を切り替える機能も付いていますが、パナソニックの場合は、標準4:3モードの最大記録画素数を単純にカットするのではなく、それぞれのアスペクト比ごとに使いやすい画素数が設定されています。リコーのアスペクト比1:1のモードは、正方形の写真が撮れる、この機種オリジナルの画素数モードです。
全般的な傾向として、デジタル一眼レフよりもコンパクトデジカメのほうが、画素数サイズの選択には融通がききます。デジタル一眼レフで特に画素数の多い機種をお使いの方は、ホームページでの表示用などに限定して写真を使う場合、撮影後のリサイズ作業が手間になることもあるので、コンパクト機も併用しつつ、目的によって両方を使い分けるとより快適に撮影できるかもしれません。デジタル一眼レフのサブ機として使用する場合、高画質での撮影は一眼レフ側が担当できるので、コンパクト機のほうは有効700万画素クラスでも性能としては十分。これでも一般的な引き伸ばしプリントに耐える画質は確保できますし、またパソコン用の低画素数画像にも、モード切替だけで自在に対応可能です。コンパクト機でも有効1000万画素クラスになると、CCDのサイズそのものが大きくなるため、価格としては割高になります。それだけでなく、メモリーカード(通常は有料で別売り)のデータ消費量も多くなるので、単純に「大は小を兼ねる」と考えるより、目的に応じて機種を使い分けたほうが、コンパクトデジタルカメラの活用法としては、より効率的でしょう。
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