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写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー

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2007.09.28

ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!

【フォトコンテスト応募の手引き】
応募して入選したら、その後はどうなる?

写真愛好家のすべてがフォトコンテストに応募するわけではないですが、カメラ・写真に関心のある方なら、フォトコンテストというイベントが存在することだけは、ご存知だと思います。それでは、実際にフォトコンテストに応募して、審査で入選または落選が決まったら、その後は、いったいどのような経過をたどるのか? 現実的には、ごく一部の入選者しか知らないことになる、フォトコンテスト応募後の手続きの流れを、この機会にご紹介したいと思います。なお、ここでお話しする内容は、あくまでも写真コンテスト一般の「最大公約数」的な傾向です。実際には、個別のコンテストによって多少の違いはあるので、詳しくは各コンテストの応募要綱などで確認してください。

審査結果の発表方法

一般向けの公表方法と各賞の区分

フォトコンテストの審査結果は、カメラ雑誌などの誌面または、主催者が運営するインターネットのホームページなどを通じて、当初から予定されている時期に公開されるのが一般的です。このとき、上位入賞については、作者氏名と作品タイトルに加えて、写真作品そのものも画像として公表される例が多いですが、下位入選については、作者氏名と作品タイトルのみの文字情報だけで公表となる場合もあります。いずれにしても、フォトコンテストに入選した場合には、応募した人の実名が出ます。「フォトコンテスト」と呼ばれている、アート系の作品公募については、匿名で応募が受け付けられる例はありません。

フォトコンテストでは、通例、複数の作品が入選しますが、ほとんどの場合において入選作品に順位別の序列があり、この点では、スポーツ競技の結果発表と同じです。一番上の賞には、グランプリ、金賞、大賞、最高賞、1席などの名前が付いています。こうした1等に相当する賞の本数は1つだけで、該当者も1名のみ。ただし、コンテストによっては、応募数が想定より少なかった場合や、応募作品の全体的なレベルが低い場合などに、「グランプリ該当なし」などとして、1等を選ばない例もあります。

1等のすぐ下の賞は、準グランプリ、銀賞、2席などの名前で呼ばれており、これには、規定によって複数の応募者が入賞するコンテストもあります。そのさらに下は、銅賞、3席などと呼ばれ、これにも複数名が入賞する例があります。これら1~3等に相当する3賞を指して、特に上位入賞と呼ぶことが多いようです。

上位3賞の下には、「佳作」(かさく)などの名前で呼ばれる順位があって、入選の本数ではこのクラスが最多です。一般的には、この佳作を含めた順位以上を「入選」、それ以下は「選外」「落選」となります。(キタムラ主催のコンテストでは、「入選」までが賞金の出る順位で、その下に記念品を贈呈する「佳作」が続きます。)いずれの順位でも、1回のコンテストでの入選作品は、応募者1人につき1作品だけ。コンテスト慣れしている人でも、1つのコンテストに2作品以上が重複入選することはありません。

入選者への個別通知

上位入賞の場合では、結果を公表する雑誌の誌面、またはホームページなどに、「入賞者のことば」などの感想コメントを掲載するコンテストの例もあります。そのため、グランプリ級のレベルで入選した応募者には、一般公表前に直接、主催者から何らかの形で一報が入ることもあります。なお、キタムラ主催のコンテストでは、入選された方には、直接郵送にて結果を通知しています。

そのほかに、大規模なフォトコンテストでは、入選者を会場に集めて表彰式を行う場合があります。その場合、表彰式の場所と開催日を知らせるために、結果発表を兼ねた招待状が入選者だけに届きます。ただし、落選した場合には通知は来ないので、メディアを通じた結果発表を待って、応募者全員が入選・落選を知ることになるのが普通です。

フォトコンテストの応募票には、住所や電話番号などを書くようになっていますが、その個人情報は、こうした通知のために使われています。したがって、意図的に記入を省略してしまうと、作品がいかに素晴らしいものだったとしても、連絡がとれないので入選の機会を逃すことになりますから、必ず正確に記入したいところです。

入選した場合の経過

メディア露出

入選した写真作品は、フォトコンテストの結果を発表する雑誌の誌面や、その次の年度に実施される同じコンテストの告知広告などの機会に、メディアに露出されることがよくあります。また、地方の観光振興などを目的としたコンテストでは、主催企業・団体のパンフレットやホームページなどに入選作品が使われることもあり、いずれにしても、入選作品には何らかのメディア露出があり得ます。

ただし、ここでメディアに出るのは、写真作品と作者の名前だけという例がほとんど。応募した人の顔写真やインタビューまで出るという例は、あまり多くはないようです。人物を撮った写真で入選した場合、被写体になってくれた人はメディアに顔が出ますが、撮影した人は名前の文字だけしか表には出ません。とはいえ、カメラ雑誌の月例など、購読者に固定層があるフォトコンテストでは、入選回数を重ねて誌面で常連になると、全国的に名前が知られるようにもなり、アマチュアであっても、この世界で一目置かれる存在になる人がたくさんいます。

雑誌に掲載される作品の面積は、グランプリ級が最も大きく、入選順位が下がるにつれて、だんだん掲載面積が小さくなって、佳作が最小となります。フォトコンテストは、上位入賞者ほど、それなりの良い扱いを受けるという実力の世界。そこで、良い結果を出して上位入賞できれば、雑誌での見た目もよく目立つので、上手くいったときは作者の感慨もひとしおでしょう。

原版フィルム・データの提出

これは、すべてのコンテストに当てはまらないかもしれませんが、審査を終えて入選者が決まった段階で、該当作品のネガ、ポジまたはデジタルデータの提出(郵送)を主催者に求められます。(キタムラ主催のコンテストでも、入選された方にはご提出いただいています。)

これは、雑誌などで結果を発表するために、写真作品を高画質でカラー印刷する必要があるから。フォトコンテストの多くは、紙のプリントで応募されますが、印刷用の写真原稿としては、フィルムもしくはデジタルデータから版下を作って印刷したほうが画質が良いので、そのため、入選者に原版の提出を求めることになるようです。

ちなみに、アナログ時代の印刷技術で、最も印刷に適していたのはポジフィルムでした。フォトコンテストの一部に、ポジフィルムでの応募を受け付ける例があるのは、印刷に都合が良かったからです。

原版フィルム・データの提出は、事実上、入選者としての義務で、指定期日までに提出できなければ、入選が取り消される場合もあります。この規定を採用しているコンテストは数多く、その裏には、応募作品を本当に自分で撮影したかどうか確認する目的も、含まれていると思われます。

賞状と賞金の贈呈

通例、一般的にいう佳作レベル以上の入選には、賞状と賞金が贈られます。(キタムラ主催のコンテストでは、各賞の名称がほかのコンテストとは異なるため、「入選」以上で賞金が贈られます。)ここで「賞」と呼ばれるのは、実は賞状のことで、賞金はあくまで「副賞」。おカネよりも名誉が、より大切ということです。なお、賞金の代わりに、現物商品や、商品券、旅行ツアーなどを副賞とするフォトコンテストもあります。

賞金の金額は、グランプリなど1等に相当する順位が最も高額で、順位が下がるほど、次第に金額も下がります。ただし、下位入選は本数が多いので、入選できるチャンスは、上位よりも多くなります。最高クラスの賞金は、50万円~100万円となるコンテストもありますが、実際のところ、それを射止めるのは、なかなか容易ではありません。最高クラスの作品を撮影できるまでには、オリジナルな撮影技術の開発、材料費や交通費の先行負担、それから段階露光やテストプリントに費やしたコストも大きいはずで、収支を考慮すると、決して濡れ手でアワの一攫千金ではないと思われます。

また、(これは応募するフォトコンテストにもよりますが)1つのフォトコンテストで1度でも最上位の賞を取った人は、なるべくたくさんの人に作品発表の機会を提供するため、その同じコンテストでは、暗黙の了解として次回以降は“勇退”を求められる文化・習慣もあるようです。同じコンテストで、2度、3度と最上位の賞を同じ人が取り続けられることは、実際にも稀なので、もし“賞金稼ぎ”を目的にフォトコンに応募するなら、最高賞1点狙いよりも、下位入選を長く積み重ねたほうが、作戦としてはベターかもしれません。ただし、カメラ雑誌の月例コンテストでは、応募の機会が多いので、最上位クラスでの入賞を幾度も重ねる常連の方もいます。

賞金の支払い方法は、フォトコンテストの主催者によって個別に異なりますが、現金書留、郵便為替(定額小為替を含む)などを利用して入選者宛に送金したり、また高額賞金の支払いでは、銀行振り込みが使われる例もあります。なお、表彰式が開催される場合は、会場で賞状とともに直接、主催企業の社長などが手渡す例もあります。支払い時期は、審査結果が一般に公表された後になることが通例です。

入選作品の著作権の扱い

フォトコンテストでは、入選作品のプリント(物体)は、基本的に返却されません。その入選作品は、主催者側で記録として収蔵し、規定に基づいて同コンテストの告知広告などに利用することが多いようです。落選作品もプリントについては返却されませんから、コンテストの応募作品は、原則的には送りっ放しということになります。(キタムラ主催のコンテストでは、応募された店舗にて、選外作品は返却しています。)

ただし、入選した作品の著作権そのもの(物体ではなくて撮影者としての権利のほう)は、基本的に応募した撮影者本人に帰属し続けるのが普通で、入選と同時に、自動的に著作権を放棄するということは、通常はありません。よって、フォトコンテストに入選した写真が、本来の撮影者の氏名をクレジットしないで、勝手に使われてしまうということも、通常はあり得ないでしょう。

ただし、コンテストの応募規定を良く読むと、「入選作品の『版権』は主催者が優先する」といった内容が書かれていることがあります。これは、コンテストの結果を発表したり、そのコンテストの次回募集告知を行う場合などに、主催者の判断で入選作品を公表する場合があるというニュアンスです。なお、主催者が、あらかじめ応募要綱で示している目的において、版権を持つ入選作品を使用する場合には、賞金以上に追加して、著作権使用料を支払うことはありません。

この版権規定は、二重応募の禁止規定とも関係していて、応募者が入選作品を再度プリントして、ほかのフォトコンテストに応募することが、実質的に、できない決まりになっています。仮に、二重応募した先のコンテストで同じ作品が審査に残る実力があったとしても、最初に入選したコンテストの主催者のほうが、優先して版権を持つなら、二重応募先での入選はメディアで結果を発表できないでしょう。そんなわけで、著作権が撮影者本人から移転することはなくても、版権をコンテスト主催者が持てれば、十分に主催者側の権利は保てるので、こういう取り決めになっていることが多いものと思われます。

とは言いつつも、著作権の扱いは各種のフォトコンテストによって個別に異なるので、応募する前の時点で、面倒くさがらずに応募規定を熟読しておいたほうが安心。写真関連でコンテストと名の付くイベントは多いですから、賞金の金額と引き換えに、応募作品の全権利を買い取るような規定、つまり著作権が自動的に移転してしまう規定になっている事例が、まったくないとも言い切れません。だから、最低限、応募要綱はよく読んで、事前の確認は徹底したほうが賢明です。

落選した場合の経過

基本的には何も音沙汰なし

落選した場合には、原則として、主催者からは何の連絡もありません。よって、審査結果は、公式発表日以降に発売される雑誌、あるいは主催者が運営するホームページなどを見て、自分で確認します。ただし、結果発表には入選者の名前しか出ませんから、そこに自分の名前がなければ、落選を知るといった流れです。

落選した場合の扱いは、かなり素っ気ない感じですが、あくまでも、これがフォトコンの常識。むしろ、落選した人に対して、主催者側がしつこくコンタクトをとってくる場合があったとしたら、そのほうが不自然に感じられます。多くの主催者にとって、フォトコンテストとは、マスメディアを使った広告宣伝活動の一環として行われるものなので(コンテストの入選作品が広告表現を担う)、もとから、応募者の連絡先情報を流用して顧客を囲い込むようなタイプのマーケティング手法とは、性格の異なるものであると考えるのが一般的でしょう。

現在では、個人情報の取扱いが法律によって厳しく規制されているので、コンテストの入選通知や事務手続き以外の目的で、関係者からの連絡が来るということは、基本的にはないはず。応募票から個人情報を拾って、電話セールスを行うなどということは、法律的にも、あるいはビジネスマナーとしても、普通のフォトコンテストなら絶対にあり得ないし、また、信頼あるコンテスト主催者としては、万が一にもあってはならないことなのです。

作品返却の有無

プリントで応募した作品は、落選しても返却されないのが普通。落選した分のプリント代は、コストとしては応募者の損失ということになります。だから、フォトコンは大量応募すれば入選しやすくなるというほど単純ではなく、自分で作品を吟味して絞り込んでから、小出しに送る作戦も有効となる場合があります。(キタムラ主催のフォトコンテストでは、応募された店舗の店頭にて、作品を返却しています。)

ただし、ポジフィルムで応募した作品については、落選作品を返してくれるコンテストもあります(返送代金は応募者が負担)。落選して返してもらった作品は、ほかのフォトコンテストに応募してもOKです。

このような落選作品の扱いについても、対応は各コンテストによって違うので、事前に応募要綱をよく読んで、規定を確認してください。

落選は未発表と同じ

落選作品は、未発表扱い、つまり応募しなかったのと同じことです。よって、著作権も版権も、応募した人の手元に戻ります。つまり、落選した作品は、コンテストの主催者としては「見なかったこと」になるので、ほかのコンテストに応募してもOKです。落選と聞くと、少々、気分的にはへこみますが、フォトコンの常連入選者という人だって、最初から上手いわけではなく、落選を重ねて試行錯誤することから傾向を分析し、次第に勝てるようになっていくもの。負けて学ぶことも、コンテストには多いのです。頑張って、何度でも応募しましょう。

実際、フォトコンテストは人の目で見て、たまたま同時に応募された作品群の中で、相互比較によって審査するので、担当する審査員が違ったコンテストに再度チャレンジすれば、それで入選するということも、よくあります。

ただし、二重応募は制裁が厳しいので、たとえ入選する自信がなくても、同じ作品を2枚プリントして、同時に複数のコンテストに送るのは、避けておくべきでしょう。もし、幸運に恵まれすぎて2つとも審査を通った場合、両方の入選が発表された途端に、両方とも失格で取り消しになりますから。

 
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