写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.11.09
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
最も優れたカメラ1機種が毎年選ばれる、「カメラグランプリ」。店頭でも、受賞機となれば展示品に特別なPOP広告が付いていたり、カタログに受賞機と書かれてもいるので、この賞については聞き覚えのある方も多いと思います。では、この「カメラグランプリ」、いったいどこがどうスゴいのか? カメラ選びの参考となるように、その評価のポイントを、ざっと見てみましょう。
カメラグランプリは、4月1日~翌年3月31日の1年間(1年度中)に、国内で新発売されたスチルカメラ(フィルムカメラとデジタルカメラ)の中から、最も優れた製品1機種を選び表彰するもの。授賞式は、毎年、「写真の日」である6月1日に行われています。1984年にスタートして、以後、毎年選定されており、カメラ業界では多大な影響力があります。対象期間の起点が毎年4月なので、1~3月に発売された機種は前年度扱いになるという特徴があり、この時期を狙って新製品が発売される例もあるようです。
実施主体は、カメラ記者クラブの、カメラグランプリ実行委員会。国内カメラ雑誌各誌の編集長・代表者と、学識経験者、メカニズム記事の記者、写真家などのメンバーが選考委員となって、過去1年間の新製品を審査します。
このように、カメラグランプリとは、ジャーナリストの立場から見たカメラの開発・発展に対する賞で、いわば、プロの目利きに基づいたカメラ選びの頂点。これまでの受賞履歴を見ると、各カメラメーカーが誇る、発売開始当時のフラッグシップ機、あるいは革命的な新技術を搭載した機種が選ばれる例が多いようです。その多くは、一眼レフカメラとなっています。
いずれにしても、カメラ製品の売り上げ台数や、メーカー企業の決算における業績貢献度は加味されないので、シンクタンクや日経新聞などが発表する「ヒット商品番付」と、このカメラグランプリは、基本的な趣旨に違いがあります。よって、カメラグランプリ受賞機が、必ずしも、売り上げ的に大ヒットするとは限りません。しかし、メーカーの企業規模に関わらず、公平・中立な観点から、機能が優れた製品には正当な評価を行うので、カメラ業界やカメラファンからは、絶大な信頼を集めています。
では、ユーザー側のカメラ選びに、カメラグランプリはどう役立つか? カメラ雑誌の読者で、趣味あるいは仕事として写真撮影に深い興味を持っていて、さらに一眼レフの基本的な扱い方を、マニュアルモードも含めて理解できているレベルの技能を持つ人(中級者以上)にとっては、カメラグランプリ受賞機は、そのまま「今年度のおすすめのカメラ」とみなすことができます。
しかし、初心者の方や、あまり写真撮影に深い興味がない方にとっては、少々、違う見方も求められるでしょう。なぜなら、カメラグランプリ受賞機の多くは、中級機以上の一眼レフになるので、価格が比較的高めであるほか、ある程度は撮影に慣れていないと、カメラの操作が難しい機能もあるからです。そこで、実際に買いたいカメラを選ぶ場合は、カメラグランプリ受賞機を頂点として、どのくらいのスペックがあれば自分にとって十分かを考慮し、そこで予算に見合う機種を選ぶのが現実的かもしれません。
カメラグランプリを最初に受賞したのは、1984年のニコンFA。MF一眼レフですが、初めてマルチパターン測光(多分割測光方式)を採用したことが主な受賞理由です。この当時は、AEでも中央部重点測光が主流となっていましたが、革新的な自動露出機能で、露出精度を向上した点が評価されました。このニコンFAの受賞を契機に、各社の一眼レフでは分割測光が、標準的なAE測光機能として採用されるようになっていきます。ちなみに、翌年受賞したミノルタα-7000は、まだ中央部重点測光でした。
1980年代後半には、ミノルタα-7000(1985年)、キヤノンEOS650(1987年)など、AF一眼レフの黎明期を築いた名機が受賞しています。MF機は、前述のニコンFAのほか、キヤノンT90(1986年)、コンタックスRTSIII(1991年)が受賞。それ以後は、35ミリ判のMF機でグランプリに選ばれた事例はありません。
デジタルカメラで、最初にカメラグランプリを受賞したのは、キヤノンEOS-1D(2002年)。これ以後は、すべてデジタルカメラ(デジタル一眼レフ)の受賞となっています。1990年代はフィルムAF一眼レフ全盛時代、2000年代はデジタル一眼レフ全盛時代ということになり、新機能の登場から普及には約10年を周期とする大きな波があることがわかります。
ちなみに、歴代のカメラグランプリ受賞機のうち、発売元メーカーの年間業績を決定付けるほどに人気が沸騰して、売り上げ的にもヒット商品となった機種は、ミノルタα-7000、キヤノンEOS650、ニコンD70(2004年)など、数えるほどしかありません。カメラグランプリは、基本的にはカメラ雑誌という専門誌の読者に向けて発表される、高級一眼レフが中心の賞なので、その受賞機が、必ず一般消費者層全体まで幅広く支持されて大ヒットするとは限らないわけです。売り上げ実績では文句なしのナンバー1である、EOS kissデジタルでさえ、実はグランプリでは無冠であるということも事実ですから、初心者の方のカメラ選びでは、単に話題性だけでなく、人それぞれに使いやすさや好みも考える必要があります。
なお、1990年以降は、従来のカメラグランプリのほかに、もう1つ、大衆性や話題性、先進性に基づいた「カメラ記者クラブ特別賞」も選定されており、EOS kissデジタルは、こちらの賞を2004年に受けています。また、特別賞では、最近でもフィルムカメラが受賞する例があるようです。ちなみに、特別賞のほうで、最初にデジタルカメラが受賞したのは1998年のことで、オリンパスCAMEDIA C-1400Lが第1号。グランプリ・特別賞を通して眺めれば、コンパクト機のほうが、受賞は早かったのです。1998~2001年という時期に限定すれば、デジタルならコンパクト、フィルムなら一眼レフという棲み分けがあったことになり、この3年間はカメラ史上でも特に珍しい、まさしく時代が変わる前の準備期間であったと考えることができます。
2007年のカメラグランプリを受賞したのは、ペンタックスのデジタル一眼レフ上級機「K10D」でした。有効10メガ画質で、ボディ内手ブレ補正機構搭載、画像センサーの防塵対応と、多彩な露出モードへの対応など、基本性能の一つ一つが充実しながら、価格はユーザーが買いやすい水準に抑えた点が受賞の理由です。露出モードについては、感度優先AEの実用化といった、従来にない新技術が評価のポイント。このように、単なる被写体別プログラムモードの多さなどではなく、メカ部分の基本性能として、上級者が納得できるスペックを備えているかどうかが、選定では注目されているようです。
ペンタックスには、「K100D」(現行機種は同Super)という普及モデルもあり、「K10D」は初心者向けグレードの機種ではありません。また、「K10D」はTTL露出計の分割測光が16分割で、同クラスの他社製品と比べれば、これは一見すると、かなり少ない印象を受けます。しかし、プロ写真家やベテランのアマチュア愛好家には、ほとんどAEを使わない人も多いので、その結果として、自動露出機能の充実よりも、マニュアルで操作した場合の使いやすさを、より重視する場合も多いもの。露出決定時に分割測光を選ばず、中央部重点測光や、スポット測光を使用したり、カメラの内蔵露出計ではなく、単体露出計を使って細かく露出を測定してから、数値をカメラに設定することもあります。こうした操作を滞りなく遂行できることも、上位機種には必要な機能なのです。
最近では、フルオート機能を優先させるために、マニュアル機能の操作性が犠牲になってしまう機種も増えていますが、「K10D」では、自動露出によるアシスト機能と、操作しやすいマニュアル機能を両立している点が、専門家からの支持を集めたものとみられます。これは、あくまでも写真愛好家の視点から、趣味で使うカメラとして魅力があるという意味です。
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