写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.11.22
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラの種類として大きく分けられる、デジタル一眼レフとコンパクトデジカメ。一昔前、一眼レフの操作が難しくて、主にプロや一部のマニア層しか使っていなかった時代には、機材選びはユーザーの経験値しだい、つまり初心者かベテランかという要素だけでほぼ決まっていて、一眼レフとコンパクト機では、ユーザー層が真っ二つに割れていたことも確かです。でも、現在では、過去の常識も次第に変化。一眼レフにもコンパクト機にも、最新機種では初心者用とプロ仕様がラインアップされていますから、両方のタイプを目的に合わせて使い分けるのが、いまの時点でのベストなカメラ活用法です。ということで、今回は一眼レフとコンパクト機の違いから、撮りたいものに合わせて、より便利なほうの機材を選ぶためのコツを再確認してみましょう。
●デジタル一眼レフの場合→ボディだけで400~600グラムくらい(普及機の場合でレンズは別)
●コンパクトデジカメの場合→100~500グラムくらい(高倍率ズームレンズ一体型は重くなる)
単純に重さだけで考えると、コンパクトデジカメで光学ズーム倍率3倍程度のスリムな機種が、スーツの内ポケットに入れても型崩れしないくらいに軽いので、持ち運びはラクです。ただし、これは徒歩移動で、なおかつカメラ以外は手ぶらという条件ならば。実際には、カメラ以外の荷物も一緒に持って出かけることのほうが多いので、人によって事情は変わるでしょう。
コンパクトデジカメは、ボディサイズが小さいので、ストラップも携帯電話用のような細いものしか装着できませんが、一眼レフでは長いストラップを装着して、首や肩から下げることができるので、カメラ本体をいつも手に持っていなくても大丈夫。また、クルマで移動する場合なら、重さはあまり考えなくても良いので、操作性を優先してデジタル一眼レフを使ったほうが撮影は快調です。
●デジタル一眼レフの場合→背景をぼかしたグラビア雑誌のような撮影も可能
●コンパクトデジカメの場合→顔認識AFや笑顔検出でカメラ任せの撮影ができる
デジタル一眼レフとコンパクトデジカメでは、中に入っている画像センサーの大きさが違うので、使うレンズの35ミリ判換算しない焦点距離(光学上の焦点距離)にも大きな差があります。コンパクト機のレンズが、換算値としては望遠相当でも、実際のところでは広角レンズ(短い焦点距離)の光学特性を持つのに対して、一眼レフ用レンズは、フィルムカメラとほとんど同じ光学特性。ということは、グラビア雑誌に出ているアイドルタレントのポートレート写真のような感じで、背景をぼかして人物を撮影するなら、プロと同じように一眼レフを使って、レンズの絞りを開いたほうが、狙い通りの写真に近付きます。
その逆の発想で、背景はぼかさず、人物とバックの景色や建物などを一緒に写し込みたい場合は、被写界深度の幅がある広角レンズの特性を生かせるコンパクト機を使ったほうが便利。例えば、同じ広角28mm相当の画角でも、光学的な実測の焦点距離はコンパクト機のレンズのほうが短いので、理論上は、より隅々までピントが合う計算になります。さらに、最新型のコンパクト機なら、顔認識AFや笑顔検出機能が使えるので、シャッターボタンを押すだけで、人物部分にピントの芯がある写真を簡単に撮影することも可能です。
●デジタル一眼レフの場合→普及機のボディだけでコンパクト機の上位モデルと同じくらいの値段(レンズ別)
●コンパクトデジカメの場合→有効画素数が低めのエントリーモデルなら安く購入可能
単純に販売価格のみを比較した場合、コンパクト機のほうが数字的には安くなります。Lサイズでプリントできる程度に写ってさえいれば良いという条件なら、値段だけ見てコンパクトデジカメを選んでも、現行機種であれば、性能的にも特に問題はありません。どのカメラを買っても、実際の使用時に「シャッターを押すだけ」以外の操作をするつもりがないなら、安さ第一で選べば十分に満足がいくと思われます。
最も価格が安いコンパクト機と比べると、デジタル一眼レフは、お手軽な普及機でも約3倍以上、値段に開きがあるわけですが、コンパクト機と一眼レフは、同じ「カメラ」という名前が付いていても、構造的にはまったく違う性格の機械です。コンパクト機の場合、カメラ任せで気に入ったように撮れないときには、そこであきらめるしかありませんが、一眼レフにはユーザーの工夫次第で写り方を改善できる機能が、すべて揃っています。
コンパクト機でも価格帯によって機能に差があり、低価格の機種では原則としてマニュアル操作による微調整が効きません。これに対して高機能モデルのコンパクト機では、レンズが内蔵式という以外は、一眼レフと同等の機能を持つ製品もあり、価格差も縮まっています。
●デジタル一眼レフの場合→人間工学的に持ちやすく設計されている、電力負荷も低い
●コンパクトデジカメの場合→寸法が小さいので構えにくいこともある、通電しないと使えない
カメラは手に持って使うものですが、実際に構えた感触として、大きすぎず、小さすぎず、いつでも快適に撮影できるのは一眼レフです。一眼レフなら、カメラとレンズの全体を両手でしっかり包み込むように持てるので、手ブレ対策としても有効。カメラを収納して持ち歩くとき、つまり使っていないときに便利なのがコンパクト機だとしたら、本当に撮っているときに便利なほうは、一眼レフなのです。よって、カメラを実際に稼動させている時間が長い方には、一眼レフのほうが適しています。
コンパクト機の場合、極めて小さなボディ内にレンズのAF駆動系や、画像センサー、液晶モニター、それとバッテリー(多くはリチウムイオン式充電池)が詰まっているので、あまり長時間にわたって電源を入れておくと熱がこもって、だんだんカメラが温まってしまうこともあります。一眼レフでは、基本的に液晶モニターではなく光学ファインダーを使って撮影するほか、ボディの容積に余裕があって放熱も良いので、長時間にわたって使用しても何ら違和感はありません。
●デジタル一眼レフの場合→多くは画面比率がフィルムと同じなので各種プリントサイズを選べる
●コンパクトデジカメの場合→画面比率がデジタル専用なので実質的に2種類しかサイズを選べない
デジタル一眼レフとコンパクトデジカメでは、原則として、画面の横:縦の比率が異なります。ただし、オリンパスとパナソニックの一眼レフは、コンパクト機と同じ画面比率です。
主なデジタル一眼レフの画面はフィルムと同じ3:2なので、フィルム時代にできた印画紙の規格に合わせて、お店でいろいろな大きさの引き伸ばしプリントを注文できます。コンパクト機の画面は4:3が標準設定なので、デジタル専用のサービスサイズである「DSCサイズ」と、その2倍の面積の「DSCWサイズ」の2種類のみで、比率がピッタリのプリントを作ることができます。
コンパクト機で撮った写真でも引き伸ばしは可能ですが、元画像データの一部が印画紙からはみ出してしまい、プリントされない場合があります。対策として、多くのコンパクト機には3:2モードが付いているので、切り替えて撮影すれば、ケラレのない引き伸ばしプリントが可能です。
引き伸ばしプリントを考えるなら、デジタル一眼レフ、もしくは3:2モードが付いているコンパクト機で、なおかつ有効10メガを超えるタイプがベストでしょう。この目的で選ぶと、カメラの持ち運びにラクはできません。
●デジタル一眼レフの場合→レンズ交換で幅広い焦点距離に対応可能
●コンパクトデジカメの場合→内蔵レンズが限界だが、画質を下げればデジタルズームは併用可
単にズーム倍率の数字だけで判断するなら、コンパクトデジカメのほうが望遠撮影には強そうに見えます。ただし、ここで注意したいことは、まずコンパクト機のレンズ性能は、焦点距離を35ミリ判換算して表示した例が多く、被写体をアップにできても、光学性能的には必ずしも望遠レンズではないという点。そして、光学ズームレンズの倍率に、デジタルズームの拡大率を掛け合わせた合成倍率が、理論上では最大の望遠性能になるという点も意識しておく必要があります。
デジタルズームは、画像センサーの有効画素数に対して、実際に記録する画素数を下げ、電子的に部分拡大した状態にするものなので、見た目が望遠になっても、代わりに画質が犠牲にされる仕組みです。よってコンパクト機では、デジタルズームを併用して望遠らしく撮影できた気がしても、後のプリント段階では、高画質の引き伸ばしプリントに対応できません。デジタルズームは、あくまでも小さなサイズのプリントや、パソコンでのスライドショーを目的とした場合だけに、利用できるものなのです。写真愛好家の方が作品として写真を撮るのであれば、デジタルズームを使うことはおすすめできません。デジタル一眼レフには、もともとデジタルズームがないので、その点では愛好家の方の使用に向いています。
コンパクト機にも倍率10倍以上の光学ズームレンズを内蔵し、デジタルズームを使わなくても高い望遠効果が得られる機種がありますが、それらの多くは有効800万画素程度と、有効画素数が低めに設計されている例が多くなっています。いずれにしても、コンパクト機では、プリント時に制約あり。デジタル一眼レフの場合、交換レンズの購入に別途予算が必要となりますが、画質性能を最大に維持したままで自由自在にレンズを選ぶことができます。また、望遠レンズ特有の、遠近感を抑えた描写や、背景ボケなどの演出でも、一眼レフが有利です。
●デジタル一眼レフの場合→画像センサーが大きいので広角撮影にも有利
●コンパクトデジカメの場合→ワイド端が換算焦点距離35mm程度の機種も多い
デジタルカメラの画像センサーは、概して35ミリ判フィルムの実効画面範囲よりも面積が小さいので、フィルムと同じ焦点距離のレンズでは、写る画角が狭まって、やや望遠気味にズームして撮ったようになります。要するに、広角撮影が苦手なのです。その中でも、APS-Cタイプの普及型一眼レフよりコンパクト機のほうが、画像センサーはさらに小さくなるので、レンズを広角に対応させることも設計上の問題として難しくなります。
このため、コンパクト機の内蔵ズームレンズでは、広角側いっぱいに引いても換算焦点距離で35mm程度、一部の上位機種でも28mm程度までしか、現状では対応できていません。一方で、デジタル一眼レフでは、レンズキットに付いている標準ズームレンズだけでも、広角端28mm相当までは全機種で対応済み。さらに、レンズ交換によって、換算値20mm以下の本格的な超広角レンズも装着できます。
また、デジタル一眼レフには、フィルムと同じ35ミリ判フルサイズの画像センサーを持つ上位機種もあるので、これを使えば、広角レンズを無換算のミリ数で使った迫力あふれる撮影が楽しめます。なお、コンパクトデジカメだけの長所として、ズームレンズをワイド端で使ったときに、一眼レフ用レンズよりもはるかに近い、最短10センチ以下まで近寄ってピントが合うマクロ撮影機能もあるので、目的を選んで使えば意外に重宝することもあるでしょう。
●デジタル一眼レフの場合→内蔵フラッシュのほか強力な外付けフラッシュも使用可能
●コンパクトデジカメの場合→内蔵フラッシュのみで近距離限定の撮影が可能
現行機種では、一部のプロ用一眼レフを除くすべてのデジタルカメラに、小型フラッシュが内蔵されています。ただし、この内蔵フラッシュの光は、専用の外付けフラッシュほどには発光する力が強くないので、光学3倍標準ズームレンズで、人物の記念写真を撮る程度の距離でしか使えません。コンパクトデジカメで、高倍率ズームレンズやデジタルズームを使う場合、フラッシュまではズームしないので、カメラからの距離が遠くなれば、フラッシュを使っても、光が届かないことがあります。
これに対して、一眼レフでは大型の専用フラッシュを装着できるので、強い光を使って撮りたいシーンでも、確実に対応することができます。講堂などで客席からステージ上を撮るような場合では、一眼レフに外付けフラッシュを取り付けて、望遠レンズで撮影すると、狙い通りの写真になります。このような場合、コンパクト機だけで無理に撮ろうとすると、前の席に座っている人の頭にフラッシュの調光が合ってしまい、露出もアンダーになりやすいですから、暗がりに“海ぼうず”が浮かび上がったように写ることも。こんな失敗を防ぐには、一眼レフが安心です。
●デジタル一眼レフの場合→撮影したいものが決まっていて、画質も重視したいときに最適
●コンパクトデジカメの場合→外出時、一応はカメラを持っていきたいときなどに最適
結論としては、購入時点でどちらか1台のみに限定するより、デジタル一眼レフと、コンパクトデジカメをいずれも所有しておいて、日々、出かけるときに、行き先や目的、あるいは服装、持ち物の多さ、それから天気や交通手段などによって、どちらを使ったほうが良いかを判断。それで、より適していると思うほうで撮影するのが、究極的な、おすすめの使い方ということになるでしょう。コンパクト機には水中撮影ができる防水タイプもあるので、普段は一眼レフを使っているベテランの方も、雨天用に1つ持っておくと、役に立つかもしれません。
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