写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.11.30
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
メールマガジン「キタムラフォトライフ」の1コーナー「イワサキのツウ学」で、今年はじめに取り上げられた、2007年度のカメラ動向予測。実際に1年近くが経過して、イワサキ氏の読みは当たったのかどうか? 具体的な製品例を追ってみましょう。
オリンパスの普及型デジタル一眼レフカメラで、最軽量タイプの「E-410」と、ボディ内に手ブレ補正機能を搭載した「E-510」。
キヤノン「PowerShot G9」と、ニコン「COOLPIX P5100」。デジタル一眼レフだけでなく、コンパクトデジカメでも、フラッグシップどうしのライバル対決を展開しています。
イワサキ氏の予想で意味したことは、デジタル一眼レフは、ますます軽量化して初心者にやさしくなるということ。これについては、ひとまず形としては実現されたと言えるでしょう。
代表的な製品例となるのは、オリンパスのデジタル一眼レフ「E-410」と「E-510」。どちらも小型・軽量がセールスポイントで、普通の光学ファインダーのほかに、液晶ライブビューも常時使用できるようになりました。これらの製品では、ライブビューでもAFが使用できます。オリンパスでは、一眼レフでも画面比率は4:3で、これは、各社のコンパクトデジカメと同じです。この2製品は、一眼レフとしての機能性はキープしたままで、いわゆる初心者層の利用が多いコンパクトデジカメの機能も、ほどよく取り入れることに成功しています。
一眼レフをライブビューで使用するときには、ファインダー用のミラーを跳ね上げて、画像センサーがダイレクトに被写体をとらえるわけですが、この場合、一眼レフの「レフ」は機能していないので、シンプルに「一眼デジカメ」として稼動していることになります。ということは、つまりライブビューで使っているなら、デジタル一眼レフは、“レンズ交換ができるコンパクトカメラ”に化していると、みなすこともできます。
ライブビュー機能は、オリンパス以外のメーカーも新機種では搭載を進めており、デジタル一眼レフの定番機能として定着しそうな気配です。そんなわけで、カメラ本体の軽量化と合わせて、デジタル一眼レフの“コンパクト化”という方向性は、ひとまず今年から具体的に動き出したと考えて良いでしょう。
こちらのイワサキ予想は、コンパクトデジカメは、上級者も満足できる高機能を取り入れるということ。これについても、キヤノン、ニコンなどから、予想に合った製品の登場が相次ぎました。
キヤノンは、「パワーショット」ブランドの最上位機種として、「G7」を2006年10月に発売。この製品は、有効1000万画素で、マニュアル操作の使い勝手に優れる点が、一眼レフを使いこなすベテラン層を中心に多くの支持を集め、年初には既に品薄状態となるほど、想定外の人気を集めました。その後継機として、今年の9月下旬には有効1210万画素の「G9」が登場し、高機能コンパクトデジカメとしての地位を確立しました。
ニコンも、「キヤノンG7」の対抗馬となるコンパクトデジタルカメラの最上位機種「COOLPIX P5000」を今年3月に発売。そして、早くも9月には、直系の後継機種となる「COOLPIX P5100」、および、やや機能を簡略化した中堅クラスの「COOLPIX P50」(発売は10月)を送り出しました。また、リコーも同様に、ベテラン好みの多機能モデルを投入しています。
従来、コンパクトデジカメは初心者用とみなされており、カメラ任せのプログラムAEしか搭載しないことが多かったので、露出やピントに誤差が生じた場合でも、撮影者が自分で微調整することができませんでした。よって、本格的な写真撮影は、一眼レフでなければダメというのが通説でした。しかし、これら上級機種が相次ぎ登場したことにより、コンパクト機でも機能さえ充実すれば、十分にプロやベテランの期待にも応えられることが立証され、一眼レフと並んで使えるサブカメラとしてのニーズが拡大しました。
一眼レフに外観が似ている、液晶ファインダー式の高倍率ズームレンズ内蔵型デジカメも、一応はコンパクト機の仲間として分類されるのですが、今年登場した上級機は、あくまで普通のコンパクトデジカメの外観で、機能性を一眼レフ並みに引き上げた点に特徴があります。
もう一つ、イワサキ氏の予想には、一眼レフでもコンパクトでもない第3の方式として、液晶ファインダー方式でレンズ交換もできる、ボディの中にミラーがない新しいデジカメというのが、そろそろ出てきてもいいのかな? というものがありました。この予測に関しては、結局のところ、液晶の電子ファインダーを使う必要性そのものが低下してきている傾向があり、現在のデジカメは別の方向に進んでいるようです。
昨年末の時点では、デジタル一眼レフのライブビュー機能は、それほど急速には普及しないと思われていたので、レンズ交換式のカメラも、ミラーなしで液晶ファインダー(と背面液晶モニター)を搭載する仕様に進化するのではないか? とイワサキ氏は予想していました。当時、オリンパスのデジタル一眼レフ「E-330」に搭載されていたライブビュー機能は、撮影用とは別に、液晶モニター専用の画像センサーをもう1個搭載する方式になっていて、ファインダーの光学像を分岐して撮像することで、AF対応したリアルタイム画像を表示していました。しかし、意外に改善が早く進んで、「E-410」では撮影兼用の画像センサーでのAFライブビューを実現。これができるなら、ファインダーを電子式にしなくても、従来の光学式ファインダーと液晶ライブビュー表示の両方に対応した一眼レフを、よりシンプルな内部構造で作れます。だから、擬似一眼タイプのボディを進化させて、レンズ交換もできるようにするという発想は、なくても特に困らない状況になりました。
さらに、小型液晶を使った電子ファインダーを搭載する必要も、最近では薄れている感があります。従来、擬似一眼タイプのデジカメに見られた電子ファインダー搭載機は、もちろん背面液晶モニターも装備していたので、1台のカメラに液晶が合計2つも付いていました。これは、背面液晶モニターの表示性能が低かった初期型製品を、晴れた日の屋外など明るいところで使用して画面表示を見る場合には好都合で、電子ファインダー側を利用すれば、周囲の光に影響を受けることなく画像を確認できるという点で、それなりに便利ではありました。しかし、現在までには背面液晶モニターも飛躍的に性能が向上して、多少は明るい場所でも、十分に見やすい画像を表示できるようになったので、わざわざ電子ファインダーに切り替える必要性もなくなっています。高倍率ズームレンズ一体型タイプでは、背面液晶モニターのみで電子式ファインダーがない最新機種も登場。電子式ファインダーで、外観だけ一眼レフに似せた製品を作るという発想は、既に過去のものとなりつつあるようです。
コンパクトデジカメでは、ファインダーを持たない機種が大半を占めるので、あえてファインダーを搭載する場合、電子式ではなく光学式としたほうが、付けるだけの意味があります。AFライブビュー対応のデジタル一眼レフは、この点では理にかなっていると言えそうです。とすれば、液晶2つ搭載でレンズ交換可という、第3の方式の存在価値は薄まることになるでしょう。つまり、一眼レフの“コンパクト化”が実現したので、第3の方式は不要というわけです。
以上、今年のイワサキ氏の予想は、2つ当たって、1つハズレ、という結果になりました。総合すれば、今年1年間で、デジタルカメラ全体が予測を上回るほどの進化を達成したと言って良いと思います。
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