写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2007.12.21
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジカメの取扱説明書には、「こうすれば上手に撮れる」という模範的な操作方法は載っていますが、「こうすると必ず失敗する」という、反面教師的な要注意ポイントは載っていません。しかし、実践での使用を考えると、特に初心者の方の場合では、上手に撮る方法を一気に全部覚えるよりも、注意すべきいくつかの要点だけを覚えて、それ以外の設定はカメラ任せとしたほうが、撮影ミスも少なくできる可能性があります。ということで、見落としがちな操作ミスの例を挙げてみたいと思います。
自動露出モード(P/A/SまたはTv)から、マニュアル露出モード(M)への切り替えはダイヤルを回すだけですが、マニュアルモード使用時には、絞りとシャッター速度の計2項目について、両方を自分で合わせる必要があります。はじめてマニュアル露出を使う方は、しっかりこの点を暗記してください。任意の露出設定で使うボタン(もしくは電子ダイヤル)には、「この部分を操作してください」という表示が出ないので、それがある位置と操作手順だけは説明書を見て覚えておかないと、マニュアル露出での撮影はできません。優先AEの2モード(A/SまたはTv)の場合、絞りかシャッタースピードのうち、片方だけ合わせれば、対応するシャッタースピードもしくは絞り値Fが、連動で自動設定されますが、マニュアル露出モードの場合は連動がないので、2項目とも自分で調整しないと、露出ミスにつながります。
普及型一眼レフに特有の設定ミス。このタイプでは、絞りを変えたいときには、シフトボタン(露出補正ボタン兼用)を押しながら、シャッター速度の設定に使うものと同じ電子ダイヤルを回す例が多いので、シフトボタンの操作を忘れるか、または押し込む力が弱いと、不用意にシャッター速度側の数値が動きます。優先AEモードの場合は、測光値に応じて絞りとシャッター速度の組み合わせが変わるだけなので、どちらが優先でもシフトボタンは使いませんが、マニュアル露出モードの場合では、絞りとシャッター速度を、別々に設定するので、慎重なシフトボタン操作が必要です。高級一眼レフでは、絞り専用ダイヤルがあるので、この問題は回避できます。
露出補正の設定は、自動露出モード(M以外)でなければ機能しません。普及型一眼レフの場合、マニュアル露出モードを選んだ状態で露出補正ボタンを押すと、特例的に絞り操作用のシフトボタンとして機能し(前項の説明を参照)、露出補正量ではなく絞り値が変わります。露出補正機能は、選択した露出モードに関係なく、いつでも設定できると思われることが多いのですが、意外にそうではありません。カメラ本体には、露出補正ボタンは「+/-」などとだけ書かれていて、モードダイヤルをマニュアル(M)にしても、本体に直接記入されている文字が変わるはずもないので、そのままで露出補正が設定できそうな気分にもなりますが、これは“引っ掛け問題”だと思って気を付けてください。露出補正機能を使いたいときは、必ず露出モードダイヤルを最適な自動露出に合わせた後で、続いて露出補正ボタンを押して設定操作を行う手順となります。ちなみに、マニュアル露出モードで露出補正と同じ結果を得るには、絞り・シャッター速度のどちらか一方だけを調整します。
標準4モード(P/A/SまたはTv/M)のほかに、シーン選択プログラムモードがある場合に生じやすい事例。デジカメのシーン選択モードは、絞り値とシャッター速度のほか、シーン(被写体)別にISO感度も自動設定される例があります。標準4モードのいずれかで、ISO感度を自分で任意設定していた状態から、シーン選択モードに切り替えて撮影する場合には、自分で設定した感度が、切り替え後も維持されていると思い込んでいると、勝手が違うので要注意。
とりあえずは、デジカメも、基本的にはフィルムカメラの操作方法を踏襲したものであると、意識しておくと良いでしょう。フィルムカメラの場合、少なくともフィルム1本を使い終わるまでは変更しない操作項目と、写真1コマごとに変わる操作項目の2つがあります。デジタルカメラの場合、この2つの操作項目を1コマ単位で変更できるので、一見すると設定が複雑になったように思えるのです。デジカメで「モード選択」といわれる操作の多くは、フィルムカメラではフィルム交換に相当します。よって、実際にデジカメで撮影する場合、「モード選択」だけでもISO感度などが変わってしまうことはありますし、また1コマごとの露出設定にも気を配る必要があるわけです。初心者の方は、機材に慣れるまでは、何かのモード設定を変えたら、背面の液晶に出る設定データ表示を逐一、確認してみてください。
露出補正機能は、必要がなくなった時点で、元に戻さなくてはなりません(手動で0補正状態に直す)。露出補正を戻し忘れると、補正の必要がないコマまで、すべて補正された測光値が自動設定されます。露出ミスを防ぐには、露出補正を使用したら、すぐ解除する習慣を付けることが第一です。なお、露出補正は、画像1コマに対する明るさ補正ではなくて、内蔵露出計に対する測光基準の指示。撮影した後の写真を加工する機能ではなく、撮影を準備する時点で設定するものなので、露出補正は、必ずシャッターボタンを押す前に操作してください。露出データがモニター表示される機種であれば、そのデータにも露出補正の効果が事前に反映されます。
一眼レフの場合、露出モードの選択をカメラボディ上面のダイヤルで設定する機種が多いのですが、ファインダー内では、選択中の露出モードを判別できないものが大半です。よって、露出モードの選択についても、普段あまり使わない露出モードを選んで撮影した後は、すぐに使用頻度が高い露出モードに戻しておいたほうがミスを防げます。例えば、普段は自動露出のみを使っている人が、たまにマニュアル露出で撮影した後、そのままモード選択を放置して電源を切ると、次に撮影する時点では、マニュアル露出を自動露出だと思い込んで、露出値を確認せずにそのまま撮ってしまう例が、意外によくあります。オートに設定しているのだと信じていたら、露出値の表示が出ても念入りには確認しないので、なかなか、こういう設定ミスには気が付きにくいものです。
現在のカメラの初期設定はオートフォーカス(AF)なので、少なくとも、静止しているものを撮る場合であれば、「シャッターボタン操作→レンズ駆動→AF合焦→フォーカスロック→シャッターレリーズ」という流れで、AF機能が動作します。つまり、原則として、ピントが合わないとシャッターが切れません。しかし、マニュアルフォーカス(MF)に切り替えると、ピントが合っていない場合にもシャッターは切れます。MFモード使用後にAFモードに戻すことを忘れて、MFをAFだと思い込んで撮ると、写真はピンボケになってしまうので要注意。AFに違いないという思い込みがあると、「シャッターが切れるのだからAFでピントは合っている」というように判断を間違えやすいほか、多くの一眼レフではAF/MFの切り替えレバーがボディ前面にあって後ろからは見えないので、MFモードの解除忘れという極めて単純な誤操作も、実はわりと発生しやすいのです。被写界深度のある広角レンズを装着しているときや、ライブビュー機能を使用しているときには、多少のピンボケはピントが合っているようにも見えるので、MFで撮る必要がないときには、原則として、AFモードに設定を戻しておいたほうが安心でしょう。
ISO感度は高ければ高いほど良いと思われている傾向があるかもしれませんが、高感度では、高速シャッターを使って手ブレを防げる一方、撮影した画像にノイズが出やすくなるという問題もあるので、感度は状況に応じて選んで使うほうが効果的です。例えば、ISO感度を高くして夜景を撮った後、次の機会に、昼間の屋外で普通に撮影するような場合、ISO感度を元の低さに戻し忘れていると、画質にも影響することがあります。背景ボケの効果を狙って撮りたい場合にも、感度設定が高すぎると、開いた絞りに対してシャッター速度が対応しきれずに露出が連動範囲外となる場合があるので、高感度で撮影した後は、次の撮影に備えて、使う機会が多いレベルの感度、または自動感度モードに戻しておきましょう。
現行機種のセルフタイマーは、ドライブモードの1項目。連続撮影の設定と同じ方法で選択する仕組みなので、使用後に自分で解除するまで、セルフタイマーはセットされた状態になる例が多いようです。通常の撮影時、それ以前に使ったセルフタイマーの設定解除を忘れていると、シャッターボタンを押してから、実際にシャッターが切れるまでのタイムラグが、2秒または10秒程度になります。動くものを撮る場合、シャッターチャンスを逃す原因になるので、セルフタイマーを使用した後は、すぐに解除しておきたいところです。
ホワイトバランスは、原則的にはオートのままで、大半の撮影に対応できます。しかし、光源別の選択設定や、マニュアル設定を使う場合も、たまにはあるでしょう。その場合、撮影場所を移動する前に、ホワイトバランス設定をオートに戻しておく習慣を付けたいもの。ホワイトバランスと光源の色が合っていないと、写真の発色に大きな影響が出ますから、これも重要な操作なのです。フィルムカメラにはホワイトバランス機能がなく、ベテランの方でも、意外とこれだけは見落としがちですから、要注意ポイントのリストに加えておいてください。
用が済んだら必ず設定を解除することは、撮影後のフィルムをカメラから出すのと同じです。設定した機能が不要になった時点で、次の撮影に備えて即解除! これを常に徹底すれば、多機能ゆえの操作ミスは防げます。ちなみに、プロやベテランにマニュアルモードしか使わない人がいるのは、自動機能での補正項目が増えるがゆえに、かえって注意力が及ばなくなるリスクを避けるためでもあるのです。
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