写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.01.11
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
フィルターメーカーのケンコーから発売された完全マニュアル式フィルム一眼レフシリーズや、キタムラ各店でも中古として販売している往年の名機を使いこなす上で、初心者の方にとっては、最初の関門となるのがマニュアル露出。これをAEに頼ることなく、自分の判断だけで決定するのが、何よりも難しく感じるところでしょう。そこで、この関門を軽く突破できる、最も簡単な方法を幾つかお伝えしたいと思います。
カメラの露出は、絞り値とシャッター速度の2項目の組み合わせです。この2項目を、撮影状況に照らし合わせて、どちらも自分の意思で設定するのがマニュアル露出。被写体の明るさと、フィルムの感度という条件で絶対的に決まる「適正露出」の露光量を得るために、絞り値とシャッター速度を、どう組み合わせるかが、露出決定のカギになります。絞りとシャッター速度は反比例的な関係にあるので、例えば、絞りを1段開けて、シャッター速度を1段速くしたとき、露光量は設定変更前の状態と同じ。ということは、マニュアル露出では、絶対的な露光量を測ることと、その露光量に応じて、絞りによる被写界深度や、シャッター速度による動きの表現を、どう見せていくかという、2段階の意思決定が必要になるわけです。
ネガフィルムを装填した場合のみに使える、最も大ざっぱなマニュアル露出決定法。レンズ付きフィルムに入っているものと同じISO感度のネガフィルムを、フィルム一眼レフに装填。レンズ付きフィルムの仕様にある固定露出と同じ数値に、一眼レフの絞りリング(レンズ側)とシャッター速度ダイヤルを設定して、全部のコマをこの露出に固定したままで撮影します。一眼レフの撮影法としては、少々いい加減な気もしますが、こうすれば、少なくとも「写ルンです」と同じ程度の露出精度だけは確保可能。初心者の方にとっては、とにかくマニュアルでも写せることを知るのが先決なので、このやり方で撮ってみてください。
富士フイルム製「写ルンです シンプルエース」は、ISO400のカラーネガフィルムを内蔵し、絞りf10とシャッター速度1/140秒を組み合わせた固定露出。これと同じ感度のネガフィルムを一眼レフに入れて、レンズの絞りリングを、f8と11の間の中間絞りに、シャッター速度のダイヤルを1/125秒(表示は125)に合わせておけば、ほぼ「写ルンです」と同じ露出値で撮影できます。多少の誤差はありますが、ネガフィルムなので許容度は広いため実用上の問題はないでしょう。一眼レフでは、この露光量を保って、絞りとシャッター速度の組み合わせを変えれば、被写界深度や動きの表現も可能となります。
ピントは、一眼レフならファインダーを見ればわかるので、感覚的に調整してください。こんな、ある意味いい加減なマニュアル露出設定でも、日中の屋外で人物や風景を撮影するような場合なら大丈夫! 撮影と現像後の確認を繰り返して経験を積めば、そのうちに手加減の仕方もわかるので、慣れれば曇りや室内での撮影などでも、露出の微調整が自分の判断だけでできるようになります。
ちなみに、トイカメラも多くは固定露出方式なので、トイカメラからフィルム一眼レフに進む方も、この方法を試してみてください。
フィルムを買ったときに、必ず付いている外箱。この全6面の外装(あるいは内側)を見回すと、天気に応じた露出設定(露光量)の目安が、必ず書いてあります。この情報を参考にして、絞り値とシャッター速度をカメラにセットすれば、前述のような「写ルンです方式」の固定露出よりは、もう少し精度の高い露出調整ができます。この方法も、ネガフィルムであれば、かなり実用的。ただし、ハコ露出はシャッター速度が一定で、絞り値側を操作するパターンとして書かれていることが多いので、被写界深度を生かしたいときは、適切な露光量に応じて、絞り値とシャッター速度の組み合わせだけは、自分で考えて変える必要があります。
なお、ハコに書いてある露出表は、ISO感度が違うフィルムでは、それぞれ別の数値になります。何でも同じではないので、カメラに入れたフィルムと同じ製品のハコで、露出を確認してください。
このとき注意しなくてはならないのは、逆光の場合など。天気が晴れでも、被写体となる人物の顔は日陰になるようなシーンで、背景ではなく人物を適正露出とするなら、ハコ露出では、やや光量が弱い「曇り」などに合わせる必要があります。これは、自動露出がある機種で撮影する場合の、露出補正の考え方と同じです。
分割測光と自動露出機能が付いていて、なおかつ露出の数値表示が出るデジタル一眼レフまたはフィルム用のAF一眼レフを、露出計として使用。先にデジカメで同じ被写体を測光して、そこでわかった露出を、フィルムカメラに手動で設定します。写り具合が気になるなら、先にデジカメで試し撮りしてみて、その結果を液晶モニターで確認すれば露出は完璧! マニュアル式フィルムカメラのほかに、年式が新しいデジタル一眼レフやAF一眼レフを併用している方の場合、こんな方法も使えます。
「デジカメを持っているなら、デジカメでそのまま撮ればいいじゃないか!」と思われそうですが、撮影目的によってデジタルとフィルムを使い分けるなら、ときにデジカメを露出計としてのみ使うのも良いでしょう。フィルムカメラ側に超広角レンズを付けている場合などは、デジカメ側には望遠系のレンズを付けておけば、特定の被写体のみの露出を、より正確に測ることもできます。
この方法であれば、極めて精密な露出決定ができるので、誤差に弱いリバーサルフィルムでも、難なくマニュアル露出のみでの撮影が可能。ネガに飽きたら、この方法でマニュアル露出のテクニックをステップアップしてみましょう。
現行機種であれば、マニュアル露出モードしかないカメラでも、露出計そのものは付いています。この内蔵露出計は、露出の自動設定こそしませんが、手動で設定した絞り値とシャッター速度の組み合わせが、実際の測光値と比べて、どれくらいズレているかをファインダー内に表示して見せてくれます。よって、そのズレ具合を確認しながら、絞りリングかシャッター速度ダイヤルを調整すれば、当てずっぽではなく、論理的に適正露出を探し出せるのです。この仕組みは、メーターを見ながら露出調整するということで、メータードマニュアルといいます。
メーターが設定値・測光値の差を表示する方法は、カメラの機種によって異なりますが、旧式のカメラでも搭載されているものは、たくさんあります。表示スタイルは、グラフ式の精巧なものや、+/-のどちらかしか出ない大ざっぱなもの、誤差の数値としてデジタル表示されるものなどいろいろ。このメータードマニュアルの使い方さえ覚えれば、マニュアル露出などは何も恐れるに足りません。
なお、メータードマニュアルの機能は、最新型のデジタル一眼レフでも利用できます。
セコニックの単体露出計では最も小型・軽量な、「フラッシュメイトL-308S」。
自然光のほか、フラッシュ光の測定もできます。
コンパクトデジカメ相当のサイズで、小さな白い半球と、数値表示用の液晶パネルの付いたツールが単体露出計。これは、被写体の近くまで行って、被写体に当たっている光の明るさを、白い半球部分で直接測るものです。カメラの内蔵露出計は、被写体に反射してからレンズに入ってきた光の明るさを、離れた位置から平均的に測っているわけですが、単体露出計では、被写体を照らしている光源の明るさを直に測ります。したがって、被写体が何色であっても、まったく影響を受けずに、正確な露出を測定できます。
リバーサルフィルムを使った撮影に凝り始めたら、マニュアル露出で撮影するときには、単体露出計があると極めて正確な露出決定が可能です。また、マニュアル露出のみでフラッシュ撮影する場合にも、これがあると、たいへん重宝します。
デジタル一眼レフを使って、いろいろなシーンを撮影していると、シャッターを切る前にファインダー内で露出値が表示されるので、次第に被写体の明るさと露出の関係が頭に入ってきます。すると、露出をいちいち機械で測定しなくても、肉眼で被写体を見れば、だいたいの露出値が判読できるようになってくるものです。
こうして目が肥えてきたら、その特技を活用して、フィルムカメラのマニュアル露出でも、設定にヤマを張ることができるでしょう。つまり、見た感じの目分量だけでテキトウに撮るわけです。ネガフィルムなら、露出誤差には強いので露出精度は十分。これができるようになると、マニュアル露出だけのカメラでも、難しく考えずに自由な発想で撮影が楽しめます。
また、メータードマニュアルなどで精密に露出値を合わせる場合でも、ある程度はヤマを張って、あらかじめ適正露出に近そうな数値にダイヤルをセットしたほうが、露出調整にかかる時間も短縮することができます。ほかにも、上記の方法をいろいろと組み合わせて、実際の撮影に応用してみてください。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。