写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.02.01
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
新聞記事やWEBのニュースなどを見ると、カメラ関連では、近年、フィルムの需要が激減して、デジタルカメラの普及が加速しているという情報が、必ずと言っていいほど出てきます。でも、このコーナーでは、デジカメだけでなくフィルムの魅力もご紹介することが、たまにあります。だから、「いまさらフィルムカメラを出してくるなんて、キタムラはいったい何を考えているんだ?」と疑問に感じる方も、もしかすると、いるのかもしれません。どうして、デジタルとフィルムを両方とも紹介するのかといえば、それぞれに違う特徴があって、お客さまのニーズも決して、いずれかの1種類だけではないから。いろいろな用途に合うように、違った種類の製品を少しずつ取り上げていくと、結果的にデジタル・フィルムの両論併記になるのです。だから、キタムラがアンチデジタル派の“抵抗勢力”というわけではありません。とはいっても、カメラは結局どれがいいのか? という、購入の判断基準が必要な場合もあるでしょうから、今回は、使う目的に合わせてカメラを選ぶための考え方について触れたいと思います。
いま新品で買えるカメラの種類を大別すると、デジタルか、フィルムか? コンパクトか、一眼レフか? の2要因×2要因で、合計4通りの選択肢が存在することになります。この4通りのタイプについて、それぞれ特徴を考えてみましょう。
現在、最も一般に普及しているタイプで、販売台数も4通りの中で最多、価格もお手ごろです。単にデジカメという場合、このコンパクトタイプのデジタルカメラという意味になります。「とりあえず、設定はカメラ任せで、撮影ができればよい」という方は、このタイプが、汎用性の面からはベストの選択です。
全メーカー・全機種にわたる、このタイプの特徴として、アスペクト比(画面の横:縦)が4:3であるという点があります(一眼レフタイプの多くは3:2)。これは、お店プリントのデジタル専用サイズや、家庭用プリンターで紙にプリントするほか、テレビモニターやパソコンで画像を見る場合にも適しています。コンパクトタイプの多くでは、アスペクト比の切替ができるほか、動画の撮影もできます。
コンパクトタイプでは、露出モードが自動露出のみのモデルが大半を占めます。それゆえに、シャッターボタンを押す以外の操作を、なるべくやりたくないという方には、シンプルなコンパクトタイプがおすすめです。ただし、一部にはマニュアル露出機能などを備えた高級機もあるので、ベテランの方が、軽い小型の撮影機材を使いたい場合にも、コンパクトタイプのデジタルカメラを選ぶことは可能です。一眼レフに外観が似ている、高倍率ズームレンズ一体型タイプの製品も、コンパクトタイプの一種です。
デジタルズームは、原則としてコンパクトタイプだけで使える機能。いずれの機種も、ボディが小さくて軽いのが特徴です。電源は、専用充電池を使うタイプと、単3形電池を使うタイプがあります。当たり前ですが、デジカメは電池がないと、まったく作動せず、液晶モニター式(光学ファインダーなし)の機種では被写体を見ることもできません。
最近、人気を集めているタイプ。「デジタル一眼レフ」「一眼デジカメ」などと呼び、コンパクトデジカメと区別されます。ファインダーが光学式であること、レンズを外して交換できること、そのレンズの一部は、フィルム用一眼レフとも共用できることなどが主な特徴です。機種によってグレードに差があり、普及モデルから、プロ用の超高級モデルまで、使いたい機能のレベルで選ぶことができます。価格としては、普及機であっても、コンパクトタイプよりは割高。高級機では、その倍以上の値段になります。どちらかというと、趣味として写真撮影に関心が高い方や、仕事で使う写真を撮影する方など、カメラに高度な設定機能を求める方に向いています。これは、「カメラが高性能だから何もしなくても簡単に撮れる」といった意味ではなく、「自動制御とは違うユーザーなりのアイデアに応えるだけの高い性能がある」というニュアンスです。
デジタル一眼レフでは、アスペクト比3:2を採用しているメーカーが多数派。これは、フィルム1コマと同じ画面比率なので、撮った写真をお店でプリントする場合に好都合です。印画紙のサイズは、もとはフィルムに合わせてできた規格ですが、デジタル一眼レフでは、フィルム同様の使い勝手を保ったまま、いろいろな大きさの印画紙で、撮った写真の引き伸ばしプリントが作れます。
デジタル一眼レフでは、どの機種でも、露出モードの切替が可能。AFのピント合わせとプログラムAEの自動露出だけでなく、手動でレンズを直接操作するマニュアルフォーカスや、マニュアル露出も利用できます。また、絞り優先AE、シャッター速度優先AEも選択可能です。これらの各設定モードを必要に応じて使えば、自動制御が効きにくい被写体や光線状態のときに、自分の意思を反映してカメラを操作できます。これは、一眼レフタイプならではの利点。コンパクトタイプでは、あきらめるしかないような場合でも、なんとか撮影できる方法が見つかるのが一眼レフタイプなのです。
短所として、コンパクトタイプでは付いているのが当たり前の、アスペクト比の切替や、デジタルズーム、動画撮影などの機能が搭載されていません。ボディの重量はコンパクトタイプより重いので、荷物を少なくしたいときには、これも短所になってしまうかもしれません。
デジタルカメラが登場する以前は、いわゆる初心者層(写真撮影に趣味というほど関心がない人)に向けた、全自動カメラの定番スタイルでしたが、現在では、その座をデジカメに譲ったので、新品として発売されているこのタイプの機種は激減しました。残っているモデルの多くは、レンズ付きフィルム(いわゆる使い捨てカメラ)と、ベテラン好みの高級コンパクト機の両極端となっています。現実的に考えれば、これらは、幅広い層の一般ユーザーの方を対象として、第一におすすめできるカメラではなくなりました。
レンズ付きフィルムは、値段が安く、気軽に購入してすぐに使えるので、写真を撮りたいときにデジカメを忘れた場合などには、代替品として役に立ちます。デジカメは専用充電池を使う機種が多いので、充電を忘れると撮影ができません。こんなときにレンズ付きフィルムを使うと、充電を待たずに撮影することが可能となります。内蔵フィルムは一眼レフで撮影するものと同じで、画素数に換算すると2000万画素程度。プリントしたときの画質も、平均的な携帯電話の内蔵カメラより優れています。
高級コンパクト機は、フィルムならではの味わいのある表現を楽しみたいというユーザー層から、いまでも支持が続いている製品。後述するフィルム用一眼レフのユーザーが、ポケットに入れて気軽に持ち歩ける、小さなカメラを使いたい場合などに選ぶことが多いようです。このタイプは、構造的にピント・露出の精度に限界があるので、写りに正確さを求める方がフィルムで撮影する場合は、後述の一眼レフタイプが好まれます。
予測不能の写り具合が面白いという「トイカメラ」も、フィルム用コンパクトカメラの一種。いずれにしても、デジカメの代替品になるレンズ付きフィルム以外は、目的を限定した趣味の道具としての性格が強くなっているようです。
このタイプのカメラも、現在では、趣味の道具になったと言えそうです。実用目的で記念写真や資料用の記録写真を撮るには、フィルムの購入や現像などの手間が多くて面倒ですが、一部の写真愛好家の方には、現在でも根強い支持があります。多くの場合、フィルム用一眼レフは、芸術性を表現した作品を撮るために利用されます。選ぶ目的が実用性や合理性ではないので、デジタルに淘汰されず、フィルム用一眼レフは、細々とですが、なんとか生き残っています。
現在、新品で発売されているフィルム用一眼レフは、プロ仕様の超高級機と、電池がなくても作動する完全マニュアル機の両極端。このうちプロ仕様の高級機は、ベテランのアマチュア写真愛好家にも選ばれています。カメラ雑誌のフォトコンテストには、リバーサルフィルムの1コマを切り出して、そのままマウントに詰めて応募できるものがあるので、写真愛好家の中でも、コンテスト応募を目的としている方の場合は、現在でも、フィルム用一眼レフを選ぶ場合があるようです。また、人口的には少ないですが、自分で暗室作業を行う方の場合、白黒フィルムで撮影すれば、比較的簡単に自家現像・手焼きプリントを楽しめるので、撮影用機材としてはフィルム用一眼レフが必然的に使われます。
完全マニュアル式のフィルム用一眼レフは、ピント合わせ、露出設定、フィルム巻き上げのいずれも自動ではできませんが、その代わりに撮影操作に電池をまったく必要としないという特徴があります(露出計の表示のみボタン型の電池を使用)。撮影する人が自分なりの発想を写真に込めて表現するなら、カメラ任せの全自動に頼ることは少ないので、カメラの操作系はフルマニュアルで問題なしということのようです。
デジタルカメラに対する「違い」を知るには、フィルム用一眼レフが最適。自分なりの写真表現にチャレンジしたい方は、値段がお手ごろな完全マニュアル機がおすすめです。ただ、これは「撮りにくさを楽しむ」ための道具だと思っておいてください。
☆以上を踏まえると、とりあえず最初に買う1台はデジタルカメラで、使う目的に応じて、コンパクトか一眼レフを選ぶということになるでしょう。この2つは、どちらが先になるかの問題だけで、ほとんどの方の場合は、いずれにしても、デジタルカメラのみを実際に購入することになると思います。でも、カメラだけでなく、写った結果としての「写真」にまで深い関心を持つなら、ぜひフィルムカメラも試してみてください。趣味で楽しむ写真なら、フィルムもまだまだ現役で活躍中です。具体的な機種選びは、キタムラの店頭にてご相談ください。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。