写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
※掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、ページ公開日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
2008.02.15
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジタルカメラは、コンパクト機、一眼レフともに、現在はAF(オートフォーカス機能)でのピント合わせが標準仕様となっています。ただし、AF機能も、いつもすべてがカメラ任せではなくて、正確に言えば、細かな設定項目があり、目的に応じたモード選択が必要となります。今回は、特に設定項目が複雑な、一眼レフをより快適に使いこなすために、AFに関わる各設定について解説します。各モード設定の操作部が搭載されている位置は、メーカー・機種、そして発売時期によっても異なるので、具体例は、お使いの機種または店頭の展示品にて実物で確認してください。
一眼レフでは、現行のカメラボディと、同時期に新品で購入したAFレンズを装着し、フォーカスモードが「AF」、AFフレーム選択が「自動」もしくは「ワイド」(メーカーにより呼び名が異なる)になっている場合、人物撮影などのごく一般的な使い方であれば、ピントはフルオートで問題なく撮影できます。このとき、露出モードを「プログラム」(または「オート」)とすれば、露出も自動になります。それ以外の撮影状況では、次のように、機材選択やモード設定などを個別に変更すれば、応用的なAF機能を使うことも可能です。
現在のデジタル一眼レフは、1980年代に登場したフィルム用AF一眼レフのシステムをベースとしているので、AF機能に関しては、既に20年もの歴史があります。当然ながら、AFレンズも進化しているので、装着するレンズによっては、動作が変わる例があります。言い換えれば、カメラボディ側の設定操作と、レンズ側の動作における両者間の関係が、機材の組み合わせによって異なる場合が想定されます。このため、AF機能の操作では、あらかじめ機材の選択も考えに含めるべきなのです。
AF導入当時、まったく新しいレンズシステムに切り替えた、キヤノンEOSと、ミノルタα(後のコニカミノルタ、ソニー)については、対応するレンズはすべてAFなので、いずれもマウントに互換性のあるレンズを選べば、AFが動作します。
一方、旧来のMFレンズ用マウントを改良してAF化された経緯がある、ニコンと、ペンタックスについては、必ずボディの仕様に合うAFレンズを選ばなければ、AF機能が正常に動作しません。現行製品は基本的にAFレンズですが、古いMFレンズをデジタル一眼レフに装着して撮影する場合は、ご注意ください。旧式のMFレンズをデジタル一眼レフに装着して撮影することは可能ですが、ピントは手動、露出も一部AEが機能しません。
なお、ニコンの場合、最新型のデジタル一眼レフでは、レンズ側にモーターを内蔵している最新型のレンズでしか、AF機能が使えない例があります。ニコンでは、過去にAFシステムの本格導入に際して、当初、ボディ内蔵モーター方式のAFを採用しましたが、後にはAFの高速化に対応して、レンズ内蔵型モーターが主流となっています。1980~90年代にフィルム用の普及機で使っていたAFレンズは、現在のデジタル一眼レフの普及機に装着しても、動作しない場合があり得ます。
オリンパスは、以前、フィルム用のAF一眼レフを発売していたことがありますが、現在のデジタル一眼レフとは、アスペクト比もレンズマウントも違うので、AFレンズに互換性がありません。デジタル一眼レフには、最新型の専用レンズをお使いください。
AF機能は、シャッターボタンを「半押し」すると作動します。実際にシャッターを切る操作を「全押し」とすると、その半分程度の深さまで弱くボタンを押して、その状態を保つのが「半押し」になります。AFのフォーカスロック、自動AEロック機能を利用するには、半押し操作が不可欠なので、これはできるだけ習得してください。マニュアルフォーカスに切り替えて撮影する場合は、シャッターボタンの半押しをしなくても構いません。
ボディ内蔵モーター方式のAFを採用している機種では、カメラボディ側に、オートフォーカス(AF)と、マニュアルフォーカス(MF)を切り替える、スライドレバーがあります。取り付け位置は、通例、ボディ前面のマウント横で、カメラを構えたとき、左手の親指が当たる部分です。レバー操作により、レンズ駆動用のカプラーが、物理的に接続/切断されます。次の項目にある、「AFモード選択」とは別の操作なので、区別して覚えてください。MFモードに切り替えていると、シャッターボタンを半押ししても、AFレンズは動作しません。
AFの動作パターンを切り替えるもので、通例、次のようなモードから選べます。
「ワンショットAF」という名前を付けているメーカーもあります。ファインダーでAFフレームに重なった被写体に1回だけピントを合わせて、そこでフォーカスロックがかかります。シャッターボタン半押しを維持すれば、構図を変えてもピントは固定されています。基本的には、動かないものを撮るためのモードです。ピント合わせをやり直したい場合は、シャッターボタンから指を一旦離します。
AFフレームに重なった被写体を捕捉すると、その動きに合わせてピントを合わせ続けるAFモードです。継続して動く被写体を撮る場合に、切り替えて使用してください。ピントを合わせてから構図を変えると、その操作に連られてピント位置も変わるので要注意。
上記2つのAFモードを、カメラが自動的に切り替えるモード。通常は、このモードを選んでおけば良いでしょう。
AFでピント合わせを行った後、特別な切替操作なしで、レンズのピントリングを解放して、手動で動かせるというAFモード。露出調整で分割測光モードを選択している場合、AFフレームの選択位置を露出決定にも反映するので、おおまかにAFでピントを合わせて、カメラに主要被写体の位置を認識させた後で、構図に合うようにピントだけ微調整したほうが、自動露出の精度が高くなる場合があります。この点が、はじめから手動操作となるMFと、AF連動のダイレクトマニュアルフォーカスの違いです。ボディ内蔵型モーターのカメラでは、カプラーの接続を切るため、この機能もカメラ側のAFモード選択に入っていますが、レンズ内蔵型モーターのカメラでは、AF設定中でも、直にレンズのピントリングを手動操作できる例があります。この機能の名称は、メーカーによって異なります。
AFでピント合わせを行う場合に、シャッターボタン「全押し」の動作をカスタマイズする機能。ピントが合っていることを絶対的な条件としてシャッターを切る「フォーカス優先モード」(ピンボケならシャッターを切らない)、そして、ピント合わせが完了していなくてもシャッターチャンスを優先し、随時シャッターを切る「レリーズ優先モード」(ピンボケで写ることもある)から、いずれか1つを選べます。広角レンズを絞り込んで使う場合など、ピントをあまり考える必要がない撮影状況であれば、レリーズ優先でタイミングを重視するといった使い方ができます。
現行機種では、ピントを合わせるターゲットの位置が複数あり、その選択は、ユーザーの意思で随時、変更可。その使い方は、大きく分けると3通りです。
メーカーによって名称が異なりますが、複数のAFフレームを同時に稼動させて測距・演算処理を行い、その中からカメラが被写体に対して最適と判断したターゲットを選んで、自動的にピントを合わせます。フルオートで撮影したい場合は、このモードに設定しておきましょう。
ファインダー中央の1点のみに、AFでピントを合わせます。カメラの設計やレンズの光学特性としても、一番、精度の高いピント合わせができます。この設定では、初期のフィルム用AF一眼レフで採用されていた方式と、ほぼ同じ操作感覚になります。
ファインダーを覗いて、AFフレームを中央以外の位置に合わせるモードです(中央も選択可)。このモードに設定すると、カメラボディ背面にある、ゲーム機のコントローラーのようなボタンを押して、右手親指の操作で、ピント合わせのターゲットとなる個々のAFフレームを1つ選べます。選択したAFフレームは、ファインダー内で光るので、目で見て確認も可能。AFフレーム選択ボタンを操作するとレンズも駆動し、シャッターボタン半押しと同じ結果になります。選択候補となる測距点の数は、メーカー・機種によってさまざま。ピントを合わせたい被写体が画面の端に寄っている場合、レンズを左右に振って中央のAFフレームにフォーカスロックしてから構図を戻すと、厳密にはピントがズレますが、構図を先に決めて、AFフレームの選択位置を調整すれば、高精度でピントを合わせることが可能となります。その都度、AFフレームを選ぶのは、少々面倒くさい作業ですが、この設定を適切に行うことで、AF情報を自動露出にも反映させて、分割測光の露出精度も高めることができます。
AFレンズには、鏡筒にAF/MF切替レバーの付いた製品があります。その表示はどれも同じように思えますが、実際の機能は、メーカー・機種によって異なります。
カメラボディ側にモーターを内蔵しないタイプの製品では、AFモーターがレンズ内にあるので、この動きを休止させるためのAF/MF切替レバーは、レンズ側に付いています。マニュアルフォーカスで使用したい場合に、MFモードを選択してください。
ボディ側のAF/MF切替レバーでモーターを止めるタイプの製品でも、レンズ側にもう一つ、AF/MF切替レバーが付いている例が、一部にあります。これは、レンズのピントリングの動きを、AF駆動系の歯車から解放するためのクラッチで、AFのピント精度には関係がありません。レンズ側をMF(手動操作可)に、カメラボディ側をAF(モーター接続)に設定すると、重々しくレンズのピントリングが回転します。レンズ側をAF(手動操作カット)に切り替えると、AF動作に連られたピントリングの回転がなくなり、より軽快にAFによるピント合わせができます。MFでピント合わせしたい場合は、カメラボディ側だけでなく、レンズ側のレバーも、MFモードに切り替える必要があります。
マクロレンズなど、最短撮影距離と無限大(∞)の間の回転角が大きいレンズの場合、ピントリングの可動範囲をユーザーの設定によって、一部分に限定することが可能。ピント合わせの対象距離を狭くしておけば、AFが迷ったときに、ムダなモーターの空転を最小限にできます。マクロレンズを、接写ではなく通常の標準・望遠レンズとして使いたい場合などに設定すると便利です。フォーカスリミッターを設定していることを忘れてマクロ撮影すると、レンズ本来の近接性能が得られなくなるので、便利な半面、注意が必要な場合もあります。リミッターの使用について、特に警告音などは出ないので、設定状態を目で見て確認してください。
レンズに付いている補助ボタンで、押している間だけ、AFでもピントを固定できます。フォーカスロックと同様、ピント位置を維持したい場合に使用します。コンティニュアスAFで、フォーカスロックを使いたいときに便利です。この機能は、一部のレンズにのみ搭載されています。
ほとんどのデジタル一眼レフには小型フラッシュが内蔵されているので、フラッシュ撮影時、その場に十分な明るさがない場合でも、フラッシュをAF補助光として照射し、AFでピントを合わせる機能があります。ただし、被写体が遠すぎると、AFでピントを検出できない場合もあります。
αシリーズ(ミノルタ、コニカミノルタ、ソニー)のAFシステムでは、カメラを構えてファインダーを覗くと、シャッターボタンに触れるより前に、自動的にAFを作動させる機能があります。アイスタートと呼ばれるこの仕組みをONにしておくと、AFが動作開始するタイミングを前倒しにできるので、撮影準備のロスタイムがない分だけ、ピントが合うまでの総合的な時間を短縮できます。操作の時間ではなく、認知・判断の時間を削るというアイデアから生まれた特例的なAF機能です。ユーザーの好みで、OFFにも設定できます。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。