写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.02.22
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
現行機種の一眼レフカメラは、デジタルであれば、すべてオートフォーカス(AF)の使用を前提にできています。しかし、AFが万能というわけではなく、被写体の種類や、撮影時の明るさによっては、自動でピントを検出できない場合があります。そんなときに切り替えて利用するのが、マニュアルフォーカス(MF)モード。AFがダメならそこで終わりではなくて、MFに切り替えて、ファインダーのレンズ像を直接確認しながら思い通りに撮影できるのも、一眼レフならではの利点なのです。というわけで今回は、AF用の一眼レフを、MFで使うためのポイントについて解説します。
まず、フォーカスモードをAFからMFに切り替えます。ボディ内蔵モーター方式の一眼レフでは、カメラ側の前面レンズマウント横にある「AF/MF切替レバー」をMFにしてください。加えて、装着中のレンズに、MF用クラッチが付いている場合は、その部分もAFからMFに切り替えて、ピントリングの手動回転をレンズに伝えてください。レンズ内蔵モーター方式の一眼レフでは、レンズ側のAF/MF切替レバーを操作してください。いずれも、MF撮影が終わったあとで、AFに設定を戻すことをお忘れなく。
レンズのピントリングを指先で左右に回すと、ピント位置が変わります。ファインダーを覗いたとき、ピントがズレていると像はボケるので、狙った被写体が最もシャープに見える位置まで、ピントリングを回してください。そのほか、高級レンズであれば、レンズ鏡筒に距離目盛りが書いてあるので、これもピント合わせの参考になります。あらかじめ距離目盛りを見て大ざっぱにピントを合わせておけば、ファインダーでは微調整だけで済み、MFでのピント合わせを素早くできます。ただし、普及型レンズの場合は、ズーム目盛りはあっても、距離目盛り(メートル表示)が付いていない例があるので、その場合は、最短撮影距離側と無限大(∞)側を間違えないように、ファインダーを見ながら、近いものと遠いものそれぞれにピントを合わせてみて、ピントリングの回転方向を覚えておいてください。
MFでの撮影時に、AFの場合のような、シャッターボタンの半押し操作(半押し維持)は不要です。
壁などの1色で輪郭線がない被写体、角のない曲面、シマシマ模様、水玉模様、金網越しに奥を狙う場合(動物園のオリの中)、水面などのぼやけた鏡像、まぶしく発光しているもの、暗い場所(夜間・屋内)、ホコリや湯気が多い場所などでは、一眼レフでもAFが効かないことがあります。このようなときには、一時的にMFモードに切り替えて、ファインダー像のボケ具合を確認しながら、被写体に狙いを定めてピントを合わせてください。
レンズのピント位置を、最も被写体に接近可能な性能上の限界点(最大倍率)としたい場合に、AFではなくMFを使う方法も選べます。ピントリングを近接限界点まで回してからカメラを構え、ファインダー像を見ながら、ピントリングではなくカメラ位置を前後に動かすことで、被写体との距離を微調整するというテクニックです。これなら、レンズ性能上の最短距離にピントが合った写真を、確実に撮影できます。実際の操作は、カメラを構えた撮影者自身が、頭を前後して最適な位置を探すような感じです。
被写体が明らかに遠い場所にある場合、ピントを無限大(∞)に設定することがあります。自然風景や、空の雲、星などの天体が主な例です。このような被写体で、ピント位置を無限大から不用意に動かしたくない場合は、AFではなく、あらかじめMFモードで撮影します。
普及型ズームレンズでは、もともと開放絞りの暗いタイプがあるので、テレコンバーターを取り付けると、焦点距離が伸びる代わりに、レンズ像が暗くなって、AFでのピント検出ができないことがあります。この場合には、MFモードに切り替えれば、問題なく撮影できます。また、特殊効果用フィルターの装着時に、ピント位置を検出しにくくなる場合もあるので、必要に応じてMFモードを使用し、手動でピントを合わせてください。
レンズのピント合わせを行う場合、通常、ファインダー内で確認できるのは、あくまで絞り開放時の最も背景ボケが大きな像です。しかし、実際の露光時には絞りが作動するので、設定した絞り値によっては、ファインダー像の見た目よりも撮影後の写真のほうが、ピントが合っている距離の範囲(被写界深度)は広くなります。言い換えれば、ファインダーのピントは「点」ですが、写真では奥行きのある「範囲」になることがあります。そうであるならば、距離的な位置関係が前後する、複数の被写体のすべてにピントを合わせたい場合は、いずれか1点だけにAFでピントを合わせるよりも、絞りを優先して露出を調整するとともに、狙った被写体のすべてが被写界深度に収まる中間点に、MFでピントを合わせたほうが、レンズの性能を生かすには効果的。この撮り方では、ファインダーの見た目が、どこにもピントが合っていないように思えることもありますが、カメラのプレビュー機能を使用して、絞り羽根を絞り込んだ状態でピントを調整すれば、ファインダー像を確認しながら最適な焦点位置を探すことができます。なお、ズームのない単焦点レンズを使えば、設定した絞り値に合う被写界深度を、距離目盛りを見て、数字から判断することも可能です。
デジタル一眼レフの一部機種では、ライブビュー機能に切り替えて撮影する場合にAFが機能せず、ピント合わせがMFのみに限定される例があります。構造上、ミラーを跳ね上げて画像センサーがレンズ像をとらえたときには、通常使用するAFシステム側に、レンズ像を導くことができないからです。この場合、液晶モニターの表示(部分拡大可)を見ながら、MFモードのみで撮影することになります。ライブビュー用に別系統のAF機能を搭載した機種もあるので、カメラ選びの際は、この点も判断材料としてください。(ライブビュー機能を持たないデジタル一眼レフもあります。)
現在でも、フィルム用にMF専用一眼レフカメラが数機種のみ発売されていますが、これら旧来のMF専用機と、デジタル一眼レフなどのAF機では、ファインダー内の表示や、マット面以外でのピント合わせの可否、レンズに付いているピントリングの幅などが異なります(フォーカス機能のみの比較)。AF機のMFモードは、あくまでも特別な目的に対応するための補助機能。デジタル一眼レフの場合、AFが最も使いやすくなるように最初から全体が設計されているので、MFモードだけを常用することは、あまりおすすめできません。
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