写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.02.29
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
いま発売されているデジタルカメラには、露出モードの選択機能に加えて、測光モード選択機能と、露出補正機能が、ほぼ必ず付いています。これは、一眼レフタイプに限らず、スタンダードクラス以上のコンパクトタイプでも同様です。これらの機能を実際に使って撮影する場合、各モードと露出補正量を決めるために、ユーザー各自の主体的な判断が必要になるわけですが、いざ被写体を前にしたときに、その部分をどう考えていくのか? 自動露出機能を状況に応じて使い分ける、実践的なノウハウをご覧ください。
プログラムAE、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアル露出の主として4つのモードが、露出モードです。次の項目にある測光モードとは異なるので、区別してください。シーンモード選択機能は、プログラムAEのオプション機能に属します
デジタルカメラの自動露出機能では、絞り値やシャッター速度、およびISO自動感度を決定するために、内蔵露出計を利用し、レンズを通ってきた像を測光しています。この内蔵露出計には、ファインダー(または液晶モニター)で見られる画面のうち、測光時に基準とする部分を選べる機能があり、測光対象とする範囲の広さによって、分割測光、中央重点平均測光、スポット測光の3つを選ぶことができます。このうち、分割測光については、メーカーにより呼び名が異なりますが(機能は同じ)、いずれの機種でも、通例、この3つの測光モードを選択可能です。
現行機種の一眼レフタイプは全機種、コンパクトタイプも、安価なエントリーモデル以外では、測光モードを選べる機種が増えています。これら3つの測光モードは、用語としてはフィルムカメラの時代から継承されているもので、測光モード選択という概念の誕生は1980年代まで遡ります。
3モードのうち、最も古くからあるのは中央重点平均測光で、これだけはAEが標準仕様となった1970年代には、すでに普及していました。後に、一部の高級機にスポット測光が搭載されるようになり、続いて1980年代には、分割測光が急速に普及することとなります。なお、いずれの測光モードも、その誕生は一眼レフがAF化されるよりも前の時点で、その用語の起源としては、AF機能との関係が考慮されていないという事実は、あらかじめ覚えておきたいところです。フィルムカメラ時代の分割測光では、分割の精度が、現在のデジタル一眼レフに比べると、かなり低めでした。しかし、分割測光では中央部の1エリアだけを使えば、容易にスポット測光が可能となるメリットもあったので、1990年代以降では、普及機にもスポット測光の搭載が進んでいます。
現行機種の一眼レフでは、AF性能の発展と呼応して、分割測光にも、レンズからの距離情報(ピント)や、選択されたAFフレームの位置情報などを反映する方式を採用。このため「分割測光」という用語で呼ばれる測光モードも、登場初期の仕様とは実態が異なっており、単純にファインダー内各部に映る被写体の明るさだけでなく、AF機能との連携を考慮して撮影することが重要になっています
自動露出(AE)が適正露出と判断する基準点を、ユーザーの任意で調整できる機能です。撮影した後から画像の明るさを電子的に修正する機能とはまったく別で、これは露出計の測光系統に対して事前に指示を行う機能ですから、初心者の方は、意味を間違えないようにご注意ください。露出補正機能は、デジカメだけでなく、フィルムカメラにも付いています。露出補正を設定すると、絞り値またはシャッター速度いずれか片方の調整によって、画像をAEの標準測光値(出た目)よりも明るく、または暗く撮影します。プラス側に補正すると明るく撮る(白く写す)ことができ、マイナス側に補正すると暗く撮る(黒く写す)ことができます。
露出補正のさじ加減がわからないときに、少しずつ露出補正の量を変えながら、明るさの違う写真を連続して撮る機能(自動段階露光)。等間隔の補正量で、適正・プラス・マイナス(順番は機種および設定によって異なる)を、露出補正ボタンの手動操作なしで、連続して自動的に撮影できます。シャッターボタンは、1コマずつ押すことも可能です。指定できる撮影枚数は、適正露出1枚と、その前後の分を合わせた数なので、通例、3~7枚の奇数コマ。当然ながら、この機能を使うときには、同じ被写体・シーンで連続して撮影します。露出のずらし量が中途半端なところで撮影をやめると、ほかの場所に移動したときに、とんでもない露出で撮影してしまうことになるので、実際に使用するときは注意してください。この機能は、露出補正機能と併用できます。
現行機種のデジタルカメラでは、測光する領域の選択だけでなく、AF機能とAEの測光を連動させるかどうか? という観点からも、測光モードを撮影目的別に選ぶ必要があります。また、選んだ測光モードによって、露出補正量も変わります。以下が、具体的な選び方の目安です。測光モード選択の設定方法については、各機種の取扱い説明書をご参照ください。
メーカーによって、多分割測光、評価測光、マルチパターン測光などと呼ばれる機能で、概念的にはどれも同じです。現在のデジタルカメラの場合、AFエリアの選択や、レンズのピント情報、焦点距離情報などを反映しており、ピントが合っているところに重点を置いて、主要被写体と背景の位置関係を判別し、画面全体の明るさをカメラが判断します。通例、フォーカスロック(シャッターボタン半押し)したとき、同時にAEロックもかかります。初心者の方が人物やペットを撮る場合などに多い、被写体を画面中央にとらえた「日の丸構図」であれば、この分割測光で、ほぼ露出の失敗はありません。しかし、ピント合わせが雑だったり、AFフレーム選択を適切に行わなかったりすると、分割測光が裏目に出ることもあります。被写体を画面の隅にとらえて撮影したい場合に、中央などのAFフレームを使って、事前にピントを合わせ、そこにフォーカスロックしてから構図を変えて撮ると、フォーカスロックした時点の露出値にAEロックが一緒にかかるのでご注意を。AFフレームを選ぶのが面倒だからと、テキトウなターゲットで先にピントを合わせてから構図を変える撮り方は、分割測光モードでは使えません。
このモードでの露出モード:
分割測光は、基本的には、プログラムAE、もしくはシーンモード選択機能との相性が良くできています。距離情報を露出に反映するので、プログラムAEだけでも高い露出精度が得られます。絞り優先AE、シャッター速度優先AE、マニュアル露出モードでも撮影できます。
このモードでの露出補正:
分割測光は、主要被写体をピント位置から識別するとともに、背景となる画面内の各部分についても、明るさのばらつきを勘案するので、理論上は、すでに露出補正された状態の測光値が自動的に設定されます。よって、基本的には露出補正は行わなくても、ほとんど問題はありません。ただし、ユーザーそれぞれの好みで、発色や明るさを微調整したい場合に、露出補正機能を利用することはできます。この場合、あくまでも微調整なので、補正量は測光値プラス・マイナス1/3段、もしくは1/2段程度で十分。1/3段刻みでしか補正できない機種で、1/2段相当の設定を行いたいときは、2/3段(最小設定の2つ分)の露出補正を行ってください。分割測光が採用されるようになって以降、露出補正を行う必要性は少なくなる方向に進んでいるので、カメラの露出補正機能も、設定上限がプラス・マイナス両方とも2段程度までと、それ以前の機種よりは狭くなっています。分割測光モードの場合、むしろ注意する必要があるのは、露出補正のやりすぎ。露出補正を設定したまま解除を忘れた結果、以後の補正不要な写真も含めて、全部の露出が偏ることのほうが致命傷になりがちです。なお、わずかな露出補正量であれば、自動露出ずらし機能だけを使用することもできます。
本来は、常に画面の中央部を重視しつつ、その周囲の明るさも補助的に勘案するという測光モードです。しかし、現在のデジタルカメラでは、AF測距情報との連動をカットする測光モードと考えるのが現実的。風景写真などの場合、ピント位置と測光位置が違うことがあるので、ピントを合わせた時点で、勝手にAEロックがかかる分割測光よりも、こちらのほうが撮りやすい場合も想定できます。中央重点平均測光の場合、AEロックボタンを押さない限り、AEロックはかからないのが通例です。例えば、手前の被写体をシルエットで表現して海や空の風景を撮りたい場合、ピントは手前の被写体、露出はその後ろの海か空に合わせることがあるわけですが、分割測光では問答無用に手前の被写体にAEロックされるので、背景が露出オーバーになってしまい、思い通りには写りません。そこで中央重点平均測光を選んでおけば、AFのピント位置に影響を受けることなく、単純に明るさのみから写真の写り具合を想像して、露出を判断することができるでしょう。ただし、通常の撮影では、逆光などの影響を受けやすい特性があるので、露出補正を機動的に利用することも不可欠です。このモードの露出補正は、好みに応じた微調整だけではなく、露出計に特有の欠点を補う目的で使用することになるので、少し難しく感じるかもしれません。
このモードでの露出モード:
中央重点平均測光が登場した時代には、まだプログラムAEは、ありませんでした。もちろん、AF機能も当時にはありません。よって、成り立ちとしては、絞り優先AE、またはシャッター速度優先AEでの撮影に向いていると考えられます。距離情報が反映されないので、その分、絞り値またはシャッター速度のどちらかに、撮影者の意図した数値を設定するのが、使いこなすためのコツです。分割測光とプログラムAEの露出設定が、「おせっかいだな」と思ったときに、この測光モードと露出モードの組み合わせで撮ってみてください。
このモードでの露出補正:
分割測光の場合は、カメラが自動的に演算している露出補正量まで含めて、ユーザーが自分で露出補正量を決定する必要があるので、中央重点平均測光での測光値(出た目)に対する補正量は、比較的大きくなります。具体例としては、逆光の場合でプラス1.5~2.0段、背景が黒い場合でマイナス1.0~1.5段程度。実際には、主要被写体の大きさなど、各状況によっても異なります。補正量の決定は、実際のところカンだけが頼り。もともとは、ネガフィルムが最も多く使われていた時代にできた測光モードなので、露出補正量が大ざっぱでも露出誤差について問題視されることは少なかったのです。しかし、デジタルカメラでは露出誤差を十分に考慮する必要があるので、同時に自動露出ずらし機能も併用して、微妙に露出が異なる複数のカットを撮影し、カンが外れた場合に備えると良いでしょう。
ファインダーの中央部にある、小さな円形の指標で示された範囲内のみをターゲットとして測光し、それ以外は無視するという測光モードです。実際には、レンズの向きを上下左右に動かして、被写体や背景の各部分を別々に測光し、露出のばらつきを撮影より前に把握するために使うことが多くなります。そのため、AEではなく、マニュアル露出モードを選んだときに、スポット測光を利用することが大半でしょう。自動露出で使う場合には、原則的にAEロックボタンを押すまで、AEロックはかかりません。中央重点平均測光と同様、AF測距情報とは連動させずに、露出を測ることができます。なお、最新型の高級デジタル一眼レフでは、AFフレームの選択に応じて、中央以外の部分でもスポット測光ができる機種があります。スポット測光での撮影が終わった後、解除を忘れると、次に自動露出で撮影するときに露出誤差が激しくなるので、測光モードを切り替えたときはご注意ください。
このモードでの露出モード:
スポット測光は、マニュアル露出モードで、先に露出だけ判断したい場合や、いずれかのAEを使用し、分割測光もしくは中央重点平均測光を選んでいるときに、主要被写体が背景の明るさから受ける影響を比較して、露出値の違いを判断したい場合などに使います。スポット測光のみで自動露出を使う機会は、一眼レフでは、あまり多くはありません。
このモードでの露出補正:
スポット測光は、マニュアル露出モードで使うことが多いので、必然的に、AE用の露出補正機能を使うことが少なくなります。ただし、マニュアル露出モードでも、設定値の前後で自動露出ずらし機能を使うことは可能です。マニュアル露出モードがないデジカメで、スポット測光が選べる場合もありますが、その場合に設定する露出補正量は、被写体の色や大きさ、模様などによって異なる可能性が高いので、実際に試し撮りを行ってください。露出補正量を決めるときの考え方は、中央重点平均測光の場合と同様。このとき、自動露出ずらし機能を併せて使うこともできます。
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