【指先だけで勝負を決める！】
デジタル時代のシャッターボタンの使い方

あまりにも当たり前すぎて、話題に上ることすら少なかったと思いますが、今回は、カメラのシャッターボタンの使い方を解説したいと思います。その昔、機械式カメラのシャッターボタンは、本当にシャッターを切るだけの単純なものでしたが、現在のデジタルカメラでは、ＡＦや連写の動作をコントロールする機能も、シャッターボタンが担っているので、使い方が旧型のフィルムカメラよりは複雑化しているのです。そんなわけで、改めてシャッターボタンの使い方にスポットを当てて、実践で役立つ効果的な活用法を探ります。

シャッターボタンの基本操作

ここでは、デジタル一眼レフカメラを想定して、シャッターボタンの操作を解説します。コンパクトデジカメやフィルムカメラの場合も、ＡＦ機能が付いていれば、ほぼ同様です。

現在のカメラでは、シャッターボタンは指先の動きに反応して電気的に作動するしくみで、ボタンは感圧センサーになっています。そして、押し込む圧力は、主として３段階に区別できます。

1. タッチ：　シャッターボタンに指先が軽く触れるだけの状態（押さないで触る）
2. 半押し：　ゆるめに押したときクリックを感じる深さ（クルマに例えれば半クラッチの状態）
3. 全押し：　シャッターボタンを限界まで押し込んだ状態

なお、デジカメのシャッターボタンは、感圧センサーが検知できる以上に強く押してもムダなだけなので、必要最小限の力でゆるやかに押すのがコツです。力が余ると、カメラが傾いたり、手ブレしやすくなるので、適度な力加減を習得してください。カメラそのものの中途半端な傾斜は、補正ではカバーできないので要注意。パソコンの画面で見ると、あからさまに失敗がバレます。

ボタンの押し方と得られる効果

タッチ

撮影時：

露出計を起動し、液晶モニター・表示パネル・ファインダー内にデータを表示します。この状態になれば、各種の設定操作が可能です。主電源ＯＮで何も操作しないと、節電のため一定時間後に表示を消して待機状態になりますが、そこから復帰する際に、軽くシャッターボタンに触れます。撮影データを表示しながらファインダー像を見続けたい場合は、常時、軽くシャッターボタンに指をかけておきます。

画像再生・オプション設定時：

液晶モニターを使って、再生画像や、オプション設定の画面を表示しているとき、シャッターボタンに触れると、撮影モードに復帰します。パソコンのキーボードにある「ＥＳＣ」と同じ要領です。

半押し

ＡＦ駆動時：

半押しまでシャッターボタンを押し込むと、ＡＦレンズがモーターで駆動します。

ＡＦ合焦中：

半押しを続けている間は、フォーカスロック（ピント位置を固定）します。ただし、これはシングルＡＦモード（またはワンショットＡＦモード）が選択されていることが条件。コンティニュアスＡＦモードの場合は、被写体の動きに応じてピントを合わせ続けます。

ＭＦ時：

ＡＦ用のターゲットにピントが合った状態では、合焦マークを表示します。機種によっては、レンズのピントリングを回転させるべき方向を矢印で示す「フォーカスエイド」が付いている場合もあります。これらの表示は、ＡＦでも測距可能な状況のときだけ作動。ＡＦで測距・演算できないような、暗すぎる場所では合焦マークも出ません。

［応用］ 半押し解除（半押し状態で指を離してボタンを解放する）
ＡＦ駆動中・合焦中：

ＡＦの動作を中断。もう一度、半押しすると、ピント合わせをやり直します。

全押し

ドライブモード１コマ：

１コマだけ撮影して、そこで動作を完了します。１コマモードの場合は、シャッターが切れた後、慌てて指を離す必要はありません。シャッター音を確認してから指を離せば、反動でカメラブレすることも防げます。もう１コマ撮りたい場合は、シャッターボタンを半押し状態、または解放状態まで戻します。スローシャッターの場合、ボタンが全押しされた直後に露光をスタートし、以後は指定した秒数の露光を行って、自動的に停止します。自動露出の場合と、マニュアル露出でもシャッター速度を事前に設定して撮影する場合は、シャッターボタンは露光開始の瞬間だけ押せば良いので、撮影中ずっと押し続ける必要はありません。

ドライブモード連続撮影：

指を離すまで、何コマも撮影を続けます。連写の終了は、適当なタイミングでシャッターボタンから指を離すだけです。

セルフタイマー設定時：

シャッターボタンを全押しした時点で、セルフタイマーの秒読みをスタートします。指定時間の経過後、自動的にシャッターを切って、撮影を完了します。

［応用］バルブ（Ｂ）撮影

シャッターボタンを全押ししている限り、継続的にシャッターを開けておく機能。シャッターボタン全押しをスタートした時点で露光を開始し、指を離すまでシャッターを全開して、１コマの画像に撮影を続けます。夜景や天体の撮影に使用する、特殊な設定です。ただし、デジタルカメラの場合、露光できる時間に上限が設けられている場合もあります。このバルブ機能を利用する場合は、カメラ本体のシャッターボタンを直接操作するとカメラブレするので、三脚とリモートコードも併用します。リモートコードのボタンも、本体のシャッターボタンと同じ要領で扱うことができるほか、全押し状態で固定する機能も付いています。リモートコードは、機械式カメラではケーブルレリーズと呼ばれています。

［応用］全押しから半押しまで戻る

全押しで撮影した後、指を完全に離さず、半押し状態までゆっくり戻ると、そのときのピントをキープしたままで再度撮影できます。シングルＡＦの場合は、フォーカスロックと自動ＡＥロック（分割測光時）を解除せずに、そのまま再撮影を待機。コンティニュアスＡＦの場合は、連写を中断する一方で、ピントだけ追跡を続けます。コンティニュアスＡＦでは、シャッターボタンを完全に解放すると、次のピント合わせが遅くなるので、半押し復帰を利用するのもコツです（ドライブモードが１コマの場合）。自動選択ＡＦの場合は、シングルＡＦ・コンティニュアスＡＦのうち、そのとき自動選択されたモードの動作になります。

［応用］シャッターボタン解放

モード設定を問わず、シャッターボタンから完全に指を離すと、撮影動作をすべて完了し、ＡＦと自動露出も解除します。次の撮影では、ＡＦの駆動から、すべてやり直します。何も操作しないままで一定時間放置すると、節電のため、液晶モニターなどの表示を消します。

シャッターボタン停止

シャッターボタンは、主電源を切ると、入力操作を受け付けなくなります。このように電源を切っておけば、誤操作防止に便利ですが、急なシャッターチャンスに出会ったときは電源起動をお忘れなく！