写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.04.11
ちょっとした撮影のコツや本格的な撮影方法、最新の写真・カメラ用語解説など写真とカメラに関する最新の話題を毎週さまざまな角度から取り上げていく「写真何でも情報 EXPRESS」。これを読んでスキルアップ!
デジカメのカタログやメーカーWEBサイトなどで公開されている、機種別の仕様書を見ると、いろいろな数字が書いてあります。その数字には、やはり個々の意味があるのですが、実際に撮影したときの感覚と照らし合わせてみて、何がどの数字で表されているのか、少々わかりづらい印象もあるものです。そこで、カメラの性能を知る上で、知っておくと便利な数字を幾つか挙げて、その成り立ちの基準を調べてみました。
一眼レフカメラの仕様書を見ると、「測光範囲」または「検出輝度範囲」などの項目名で、露出制御が対応可能な明るさの下限と上限の数字が、どの機種でも必ず書いてあります。単位は、「EV」。この数字を計測するときに使っているレンズは何かというと、実は、カメラ本体とセット販売されている、デジタル専用の標準ズームレンズではありません。いずれの機種でも、普通はF1.4のレンズを使って、内蔵TTL露出計の性能評価が行われており、焦点距離でいえば、単焦点の50mmレンズになります。また、測定時の撮影感度は、通例ISO100です。単焦点レンズの50mm/F1.4は、各社がラインアップしている交換レンズ群の中では、最も開放F値が明るいレンズ(例外的にF1.2以下の超高級レンズを発売しているメーカーもあります)。現在の一眼レフは、絞り開放状態で測光するので、レンズを通った光学像の明るさは、このレンズのとき最大になります。つまり、カメラにとっては、単焦点50mm/F1.4が最も性能評価に都合が良いレンズなのです。
さて、ここで普及型デジタル一眼レフのレンズキットにある標準ズームレンズ(18~55mm程度)に注目すると、開放F値は、広角側でF3.5~4程度、望遠側でF4.5~5.6程度となる例が多く見られます。これらズームレンズの開放F値を、単焦点50mmレンズと比較すると、実際には相当に暗くなっていることがわかります。
以上の点から、普及タイプのズームレンズを装着した場合では、現実的に、カメラ本体の仕様として表記されている限界の測光範囲までは、機能を使っていないことになります。これを反対に考えれば、標準ズームレンズを使って、絞り開放で、シャッター速度が手持ち撮影に耐えられる程度の明るさなら、露出性能は万全ということ。もし、極限までの露出性能をカメラに求めるなら、単焦点50mmレンズを装着したときに測光が可能になるというわけです。
AF(オートフォーカス)機能で測距・演算可能な被写体の明るさも、自動露出と同様に、50mm/F1.4のレンズを使い、ISO100に感度を設定する条件で、その下限と上限が測定されています。AF機能もレンズの開放F値が明るいほうが、ピントの検出と演算にかかるスピード、精度がともに向上するので、やはり単焦点50mmのときに、最大の性能が発揮されるのです。しかし、50mmレンズだけを使うのは現実的ではないので、プロ仕様の機材では、F2.8クラスの明るいズームレンズを使うことが多くなります。
フラッシュの発光量は、「ガイドナンバー(GN)」という単位で表記されます。これは、「絞り値×撮影距離(m)」によって表される数字。実際には、さらに撮影時のISO感度も加味されて、フラッシュ撮影したときに適正露出となる明るさを意味します。このとき、基準になるISO感度は100で、カタログの仕様書にも、そのように書いてあります。ただし、実際にはフルオートで発光量が調節されるので、ガイドナンバーは、フラッシュ光の最長到達距離を知るための目安として使います。
普及型デジタル一眼レフの本体に付いている小型フラッシュでは、ガイドナンバー12前後である例がほとんど。そして、この数字には、ISO100の場合という条件が付きます。標準ズームレンズの絞り値は、開放でF4~5.6くらいになりますから、本当にISO100でフラッシュ撮影した場合、フラッシュ光は2~3メートルくらいまでしか届かない計算になります。しかし、デジカメの場合、実際にはISO400以上で撮影することも多くなるので、もう少し遠くまで光は届きます。内蔵フラッシュをしっかり効かせるためには、なるべくF値が明るいレンズを使うか、もしくはISO感度を高めに設定するのがコツ。しかし、レンズには被写界深度があるほか、近接撮影では逆にフラッシュ光が強すぎることもあるので、被写体までの距離を考慮して、ほどよい加減に絞り値を設定することも、実際の撮影では重要となるでしょう。
カメラ本体の内蔵フラッシュは、一昔前の機種に比べると、発光部のサイズが小さくなっていますが、ガイドナンバーそのものは、ほとんど変化していません。しかし、発光部が小型化される一方で、高感度撮影の性能は向上しているので、相対的にはフラッシュの光量が増加して、撮りやすくなっています。以前、ISO100のフィルムしかなかった時代の外付けフラッシュと、ISO1600以上でも撮影できる、いまのデジカメの内蔵フラッシュは、ほぼ互角の性能になっていると考えても良いでしょう。なお、外付けフラッシュのガイドナンバーは40~60といった、より強い発光量になります。
手ブレ対策といっても、自動感度式の手ブレ“軽減”機能と、光学式の手ブレ“補正”機能とでは、効果の表し方がまったく異なります。いずれの場合も、ブレに対する効果は、シャッター速度のステップ数で表現されますが、このときの1段分とは、「1/○○秒」の分母を2倍にすることです。ちなみに現行機種では、シャッター速度の調整ダイヤルが、1クリック=1/3段なので、3クリック動かしたとき、本来のシャッター速度1段分。初心者の方は、この点もお間違いのないよう、意識しておいてください。
一眼レフカメラのシャッター機構は、別々に動く2つのシャッター幕で構成されています。両方とも同じ方向に向かって走行し、1つはシャッターを開けるのが専門、もう1つは閉めるのが専門です。現在のカメラでは、いずれの機種も、金属製シャッターが使われています。
低速シャッターの場合は、まずシャッターを開けて、次に露光部を全開した状態を所定の時間まで維持し、その後でシャッターを閉めます。高速シャッターの場合は、1つ目のシャッター幕が動くと、それを2つ目のシャッター幕が、すぐに追いかけて動き、結果として、露光部を全開することなく、光の当たる隙間が、露光部を走査していく要領になります。シャッターの動作にも、2つのパターンがあるということです。
ここで、露光部を全開にできる動き方で、シャッター速度の上限となる数値が、フラッシュの同調速度X。一眼レフのフラッシュは、シャッターを切って露光部が全開されているタイミングで発光しなくてはならないので、原則として、同調速度に上限があるのです。(外付けフラッシュに特別な機能を追加して、全速同調に対応している機種もあります。ただし、発光量は通常のX同調撮影より弱くなります。)同調速度以上の高速シャッターで、通常のフラッシュ撮影を行うと、2つのシャッター幕が走査してできた隙間の部分にのみ光が当たるため、中途半端な露光しかされません。ただし、現在のデジタル一眼レフでは、フラッシュを起動すれば、自動的に同調速度より遅いシャッター速度に制御されるので、画面がケラれるという失敗は防止できます。
フラッシュ同調速度Xは、高級機では1/250~1/300秒くらい、普及機では1/125~1/180秒くらいです。速度の違いは、搭載されたシャッターユニットの性能で決まります。高級機のほうが、シャッター機構の走行速度そのものが速いため、高速シャッターでも、露光部を全開してフラッシュを同調させることができるのです。なお、X同調のシャッター速度が遅い普及機でも、2つのシャッター幕の隙間が狭くなるように制御すれば、相対的に、露光部の走査速度(通過速度)だけは速くなるので、自然光ならば数値の上では高速シャッターに対応できています。
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