写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.05.30
カメラ内蔵の小型フラッシュを使って人物を撮影すると、黒目の中心が赤く光ってしまうことがあります。こうして撮られた写真は、不時着した宇宙人か、はたまた往年のスポ根アニメの主人公かといった感じで、瞳の奥に炎が燃えているかのよう。赤目現象といわれる、この種の撮影ミスは、現在のデジカメでは、いろいろな搭載機能を駆使して防ぐことができるので、使い方を知っておくと便利です。ということで、今回は赤目現象の対策法についてご説明します。
写真の赤目現象は、フラッシュ撮影した場合にだけ発生します。これは、写される人の目の奥にある網膜までフラッシュの明るい光が届いた場合に、そこが赤く反射して写ることに原因があります。ほかの場合に置き換えるなら、夜間に自動車のヘッドライトを受けて、野生動物の目が暗闇に光って見える状態と、まったく同じ理屈です。
赤目現象の発生には、2つの条件があります。まず1つは、カメラ内蔵フラッシュであること。外付けフラッシュでは、赤目現象は起きないのです。コンパクトデジカメ、デジタル一眼レフのどちらでも、フラッシュの搭載位置がレンズに近いので、フラッシュの光が進む方向に、レンズの光軸が一致して、人の目からの赤い反射光を拾いやすくなってしまいます。
さて、もう1つの条件は、写る人の目の状態。フラッシュを発光する直前まで周囲が暗いと、目の瞳孔が開いているので(カメラ用レンズで言えば絞りを開いた状態)、そこへ、いきなりフラッシュを発光すると、瞳の奥まで光が通りやすく、また反射しやすくもなるわけです。人間の目も、ネコの目と同じように、明るさによって瞳(瞳孔)が大きくなったり小さくなったりするので、その反応によって赤目現象の発生しやすさも変化します。
赤目現象を解消する、または軽減できる方法を、以下に挙げています。デジタルカメラのほうが、フィルムカメラよりも、赤目対策の選択肢は多くなります。
赤目現象の発生要因を、根源から解消する方法です。現行機種のデジカメは、ISO感度の設定が自由に変更できるので、フラッシュを使わなくても高感度撮影で対応することが容易になりました。手ブレ補正機能が、多くの機種で採用されたことも、その場にある光だけでの撮影を、より実用的にしています。
内蔵フラッシュがある機種では、オプション設定で、赤目軽減機能を利用できます。通常発光との違いは、実際にシャッターを切って撮影する前の時点から、フラッシュの点滅をスタートすること。写される人の目を、あらかじめ光で刺激して瞳孔を閉じさせることで、結果としては、赤い光の反射を抑えられるという仕組みです。しかし、この方法では瞳孔を絞って写ることになるので、人物の表情が硬くなってしまう場合もあります。同じ笑顔でも、瞳孔が開いている笑顔と、瞳孔が閉じ気味の笑顔では、印象に違いがあります。作り笑いではない自然な笑顔を撮るには、この機能以外の方法を選んだほうが良いかもしれません。また、赤目軽減機能は、本撮影の前に光で予告を出すことになるので、カメラを意識させないでスナップ撮影したい場合などでは、その目的に適さないこともあります。
顔認識機能の付いているデジカメの場合、顔認識を利用できるモードであれば、フラッシュ発光時に赤目現象を検出すると、撮影後の電子的な画像処理で、赤目部分を自動修正する機能を備えた機種もあります。この点で、フィルムカメラよりもデジタルカメラのほうが、赤目対策は大きく進化しています。
デジタル一眼レフでは、外付けフラッシュを利用して赤目現象を防ぐ方法も選ぶことができます。内蔵フラッシュに比べて、外付けフラッシュでは、発光部がレンズの光軸から遠いので、それだけ条件的に赤目にはなりにくいというわけです。一眼レフで使う大型の外付けフラッシュは、発光部の向きを変えることができるので、室内でバウンス撮影すれば、赤目現象の発生を抑えるだけにとどまらず、被写体後方に出ることが多い、不自然な影の写り込みも防ぐことができます。室内撮影が多い一眼レフユーザーの方は、外付けフラッシュも持っておくと重宝します。
外付けフラッシュの代わりに、写真撮影用の照明機材を使う方法もあります。写真専用の電球を使用することで(家庭用電源に対応)、屋外と同じ色の明るい光を得ることができます。これはスタジオ撮影用機材なので、室内での撮影に向いています。なお、普通の白熱電球を使って撮影する場合は、ホワイトバランスの手動調整が必要です。白熱灯を使って普通のフィルムで撮影すると、全体の発色が極端に赤く偏ります。
デジカメの画像であれば、赤目に写ってしまっても、プリント時点で修正できることがあります。家庭用の写真プリンターには、赤目補正機能が付いた機種もあるので、後処理での対応も可能なのです。
遊び心のある洒落で、わざと赤目になるように撮りたい場合は、以上の逆をやれば良いわけです。つまり、フラッシュの赤目軽減発光と、顔認識機能をOFFにして、人物を真正面から撮影すれば、赤目に写る可能性が高くなります。そして、家庭用プリンターを使うときは、赤目補正をOFFにします。デジタル処理で赤目補正する機能がない、フィルムカメラを使うという手段もありでしょう。まあ、この写真の用途は、あくまでもジョーク限定ですけれど。
当たり前ですが、人物を撮らない場合に、デジカメの赤目軽減機能を使う必要はありません。風景やモノを撮影する場合には、フラッシュの赤目軽減オプションを使う必要はまったくないので、設定をOFFにしましょう。無用な点滅発光の累積回数が増えてしまうと、バッテリーの消耗スピードが上がるので、フラッシュ設定は状況に応じて使い分けてください。
キタムラの店頭サービスの一つにある、フォトレタッチサービスをご利用いただければ、保存してある写真の赤目補正も可能です。フィルムまたはプリントからの場合は、まずデジタル画像を作成した上で、赤目部分を修正加工します。赤目補正の加工料金(技術料)は、画像内の被写体1人ごとに500円です。加工後は、写真プリントの状態でお渡しいたしますので、別途、枚数分のプリント代金がかかります。元の写真が損なわれることはありませんので、ご安心ください。このサービスは、店頭のみでお受けしています。
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