写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.06.13
新しいカメラを買ったときに、とりあえず最も面倒な作業は、取扱い説明書を読むこと。その面倒くさい感覚はベテランでも同じですから、初心者の方の負担は相当に重いことでしょう。昔の機械式カメラでは、どのメーカーでも操作方法がほとんど同じだったので、説明書は必要なときだけ参照するくらいで十分でしたが、いまのデジカメは電子機器なので、説明書を読まないと基本的なボタン操作でさえ、理解し難いことがあります。そうは言っても、説明書は小学校の教科書1冊くらいの厚さがあって、さすがに全部を読み切るのは大変ですから、今回は、それをできるだけ読まないで済むように、要領の良い作戦を立ててみましょう。
現行機種では、基本的にフルオートで撮影する方法(AE&AF)と、各種設定を自分で行って撮影する方法(マニュアル露出&MF)の2パターンを選ぶことができます。これは極論すれば、フルオート派とマニュアル派にユーザーが二分されるわけで、フルオート派はマニュアル不要、マニュアル派はフルオート不要ということになります。つまり、あらかじめ、主にどちらの方針でカメラを使うのか自分で決めてしまえば、取扱い説明書を読む量も、それだけ少なくできるというわけです。最終的には、どちらのパターンでも撮れるのが理想ではありますが、ひとまず、当面の目的に合うほうを先に覚えれば良し! としましょう。
一眼レフには、いろいろな設定モードがありますが、確実に「自動」を設定する方法だけ知っておけば、とりあえず、撮影ミスは防げます。現行機種の自動制御の性能は相当に高いので、まったく写っていなくて困るということは、もはやあり得ません。ただし、写真の発色や明るさなどにこだわれば、多少は人それぞれに好みの違いは出ます。とはいえ、結果が変でなければ良しという程度で、フルオートの性能に満足できるなら、取扱い説明書の大半は読まないで済むでしょう。基本的な考え方は、全機能を初期設定に合わせておくこと。「なるべく、いじらない」のが決め手です。ただし、バッテリーと、メモリーカードの入れ方だけは、取扱い説明書を読んで、確認しておいてください。
-撮影モード(普及機ではプログラムAEではなくて全自動)
-測光モード(分割測光系モード/名称は各メーカーで異なる)
-フォーカスモード(AF、レンズがモーターで回転すること)
-AFモード(自動選択)
-AFフレーム(自動またはワイド)
-ISO感度(自動)
-ホワイトバランス(自動)
ーフラッシュ発光(自動)
-JPEGのパラメーター(高級機の場合)
カメラを説明書通りに動かすコツとしては、あまり奇をてらった構図にせず、画面に被写体をなるべく大きくとらえること。被写体が写るサイズは、自分が前後に動くか、ズームレンズの画角で調節します。まず先に構図を決めてから、シャッターボタンを半押ししてピントが合ったら、すぐに全押しして撮影します。フルオートでの露出制御は、ピント位置と同じ部分が基準になるので、古いカメラのように、AFがフォーカスロックした後で、上下左右に構図を動かすと、かえって露出ミスの原因になります。
フルオート機能は、初心者専用だという先入観を持たれやすいですが、決してそんなことはありません。値段がリーズナブルな普及機と、プロ用といわれる高級機のどちらが、フルオート性能に優れているのかといえば、高級機のほうが格段に上です。これも先入観で、「プロはオートを使わない」という誤解が一部にあるようですが、高級機は、新聞社などの報道カメラマンが仕事で使用する例も多いもの。人間の操作速度を超える自動制御で、同じ瞬間を2度は撮れないニュースの現場を確実に撮影できるなら、より高精度なフルオート機能を身に付けた、高級機に対する期待は大きいというわけです。しかし、何でもかんでもオートだけで撮らないところは、やはりプロと初心者の違いということになるでしょう。一方、初心者が普及機を選ぶのは、価格と撮影目的、使用頻度などからの判断と思われます。それは理にかなった考え方ですが、もし、ここでおカネに糸目を付けなかったとしたら。。。? たとえ初心者でも、高級機をフルオートだけで使ったほうが、可能性としては撮影ミスを少なくできるかもしれません。
-高級機「ニコンD300」: 1005分割RGBマルチパターン測光、AF測距点51点
-普及機「ニコンD40」 : 420分割RGBマルチパターン測光、AF測距点3点
ピントも露出もマニュアルで設定する場合、その操作部の仕組みは、一眼レフカメラであれば全機種ともほとんど同じですから、マニュアルでの撮り方を知ってさえいれば、たとえ初めて使う機種であっても、取扱い説明書をまったく読まないで、とりあえずは撮影できます。中古カメラでは、購入時に取扱い説明書が付いていないことも普通なのですが、それでも大した問題にならないのは、マニュアル設定だけで使うベテランユーザーが多いからでもあります。ただし、露出設定については、1箇所だけ確認しておきたい部分があります。内蔵露出計の、測光モード切替機能です。
自動露出モードに合わせて初期設定されている、分割系の測光モード(メーカーにより呼び名が異なる)では、同じメーカーでもグレードによって、画面を分割した測光エリアの数が変わることがあります。また、メーカーによって、測光エリアを分割する仕切り方も変わってきます。したがって、同じ被写体を同じように狙っても、カメラのメーカー・機種が違えば、フルオートでの露出制御には、しばしば微妙なばらつきが生じるのです。なお、一般論としては、分割の精度は年式が新しいほど、また高級機になるほど、細かくなります。また、各メーカーとも、画像センサーや画像処理エンジンと、露出計の相性を踏まえて、フルオート撮影時に最適なバランスとするべく、分割精度を決めているようです。
しかし、ベテランユーザーの場合、カメラを2台以上持っていることも多いので、違うカメラを使うごとに自動露出の傾向が変わってしまっては、何かと問題が多くなります。そこで、メーカーやグレードの違いに起因する、測光のばらつき対策としては、あえて自動露出を使わずに、マニュアル露出で撮影するという方法があります。このとき露出精度を、各機種の間で一定に保つには、測光モードを中央部重点平均測光か、スポット測光に切り替えるというテクニックが有効です。分割系の測光モードでは、各機種とも性能が違いますが、中央部重点平均測光とスポット測光に関しては、どのカメラでも測光結果はほとんど同じ。だとすれば、測光モードを切り替えて共通化しておくことで、取扱い説明書を覚える手間は省けますから、2台以上のカメラを一定の露出傾向に揃えて使うことも簡単なのです。また、このやり方であれば、違うメーカーのカメラに買い換えても、露出の傾向が大きく変わって困るようなことは、まったくありません。
中央部重点平均測光やスポット測光は、そのまま測った露出の通りに撮るわけではなく、「どの被写体の明るさに合わせるか?」といったような、撮影者自身の主観も加味して、絞りやシャッター速度に適切な微調整を行った上で、最終的な露出値を設定します。こうした相対的な設定操作を行う場合、基準となる測光値が機種ごとでばらつくと、どの被写体に露出がピッタリ合っているかわからないので、かえって判断に迷ってしまうでしょう。これが、マニュアル露出で、分割系測光を使わない理由です。中央部重点平均測光やスポット測光なら、いずれか1台のカメラで測光、判断した露出を、別のカメラにマニュアルで設定して撮影するといった使い方も簡単にできます。「ベテランは、フルオート食わず嫌いなのでは?」と思われることもありそうですが、カメラの使用条件(2台以上の並行使用)と、自分の主観を反映するという撮り方にピッタリなテクニックを考えるなら、結局は、従来からあるシンプルな測光モードと、マニュアル露出を選ぶしかないということになるのです。
ちなみに、ペンタックスのデジタル一眼レフは、最新機種の上位モデルでも分割測光は16分割で、これは他社に比べると、かなり少ない印象を受けます。しかし、ベテランユーザーの場合では、必ずしも自動露出だけで撮らない状況があるので、分割精度については、この機種はこれで特に不都合がありません。ベテラン写真愛好家の間では、意外と(?)ペンタックス製品への評価は高いようですが、その理由はベテランなりの独特な撮り方にあるらしいです。
前述の、取扱い説明書を読まない作戦2つは、新しいカメラを買ったとき、なるべく早く、実際にカメラを構えて撮影できるようにするための指針です。ただし、カメラの搭載機能は、なるべく使い切ったほうが、購入コストの回収(払ったおカネのモトを取ること)にはプラス! そして、便利な自動化機能も、使えるものは使ったほうが撮影は効率的です。しかし、その機能を理解するための、取扱い説明書を熟読するには時間がかかります。初心者の方にとってみれば、そこに出てくる用語だけでも、外国語みたいに感じるかもしれませんね。
説明書を読み切るまで撮影できないのではシャッターチャンスが逃げるので、実際にカメラを使うときは、要領の良い操作の習得法が必要です。機能満載のデジタルカメラを攻略するには、とりあえず自分の撮影方針にマッチした形で最低限の基本操作を覚えて、後は、必要な機能を必要なときに、追々で覚えていけばOK! また、撮りたい被写体なり、撮影テーマなりが見つかると、よく使う機能も決まってくるので、説明書を読む量も少なくできます。一度買ったカメラ、特に一眼レフとは長い付き合いになりますから、焦らず気長に頑張ってください。
ちなみに、取扱い説明書は、いつでも読めるところに保存しておいて、疑問があるたびに何度でも参照するのがおすすめです。そして、撮影をミスしたときは、その都度、ミスの原因を突き止めていけば、日が経つごとに、だんだんと上手に撮れるようになります。
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