写真何でも情報 EXPRESSコラム・ギャラリー
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2008.06.20
この話題、「何をいまさら?」という声もあるでしょう。しかし、これまでなんとか“フィルム党”を決め込んでいた方にとっても、一眼レフを使うなら、いよいよ本気でデジタル一眼レフへの移行を考えなくてはならない、瀬戸際に近付いています。なぜかというと、メーカーによる旧製品の修理対応には一定の期限があるから。1990年代後半~2000年代前半のフィルム時代末期に登場したフィルム用一眼レフも、そろそろサポート期間切れの時期に差しかかります。ということで、背に腹は変えられずフィルムからデジタルへ移行するときに、直面するであろう問題点を挙げつつ、その解決策を考えていきたいと思います。
現在、新品のフィルム用AF一眼レフを作っている日本のメーカーは、キヤノンとニコンだけです。しかも、それぞれ「EOS-1v」と「F6」の1台ずつで、ともにプロ仕様のフラッグシップモデル。それも、発売当初の仕様で作り続けている状態で、近年、ニューモデルの投入はありません。普及機のフィルム用AF一眼レフでは、メーカーによる新品の販売は、既に完了。これが現状です。
ニコンには、機械式MF一眼レフの「FM10」がありますが、これは本当にマニュアル機能しかない特別な機種。操作に慣れている方は良いとしても、AFと自動露出を駆使した、最新型デジタル一眼レフと同等レベルの撮影はできないので、一般の方には向きません。また、絞りリングが付いていない新型レンズでは、露出制御もできません。写真用品メーカーのケンコーから発売されている、機械式MF一眼レフの場合も、また同様です。
中古カメラ市場では、まだフィルム一眼レフが豊富に出回っているので、機材を入手することだけは可能です。ただし、メーカーでは既に修理部品がない場合のほうが多くなっていますから、今後は、中古で買ったフィルム用一眼レフの場合も、壊れるまで使って、順々に使い捨てにしていくようになると予想されます。
デジタルとフィルムのどちらが良いかは、使用される方の主観的な好みです。それぞれに、良いところがあり、逆に、扱いが面倒なところもあるので、その両方を考えて、より良いと思ったほうを選べば良いとしか言えません。しかし、フィルムには、デジタルに移行しても特に問題がない使い方と、移行が難しい使い方があるのも事実で、そのあたりも考慮しておく必要がありそうです。
この場合では、デジタルに移行しても、プリントした状態の写真が、フィルムと比べて著しく劣るということはありません。最新機種のデジタル一眼レフでは、古いフィルムカメラよりもTTL露出計の精度が向上しているほか、ダイナミックレンジも大幅に改善されて露出誤差に強くなっているので、ネガフィルム並みの気軽さで撮影できます。これまで、主としてネガフィルムを使っていたのであれば、デジタルに移行しても、特に大きな問題はないでしょう。
この場合では、フィルムで撮影する必然性があります。ただ、ユーザー人口的には少数派と思われるため、今後は、フィルムカメラの入手が課題になるかもしれません。
35ミリ判フルサイズの露光面積(画角)にこだわる場合は、機材の買い増しが必要となります。フルサイズ仕様のデジタル一眼レフも発売されているので、これを選べばデジタルへの移行には何ら問題はありませんが、価格はAPS-Cタイプの普及機と比べて割高です。APS-Cタイプのデジタル一眼レフでは、実際に露光する面積がフィルムの実効面積より小さく、中央部だけが一律にトリミング状態で写るので、広角系レンズのワイド感が再現されません。現実的には、一律にトリミングされる分を見越して、さらに焦点距離が短い広角レンズを購入することになりますが、いずれにしても、まとまった出費があります。
ポジフィルム1コマを切り出してスライドマウントに収めた作品で、フォトコンテストに応募するというスタイルを、これからも続けていきたい場合は、フィルムで撮影する必然性があります。ただし、応募作品の制作コストを考慮して、この方法を選んでいた方は、デジタルで撮影した後、必要なコマだけを選んで紙焼きプリントにする場合と、どちらが安くなるか計算してみてください。デジタルなら、フィルム購入費と現像代金はかかりません。
このような特殊な撮影状況については、フィルム用一眼レフのほうが、いまのところは有利です。ただし、AF機能は使わず、マニュアル露出で使用することが大半なので、機械式MF一眼レフや、中古カメラを選ぶ方法で対処可能と考えられます。
フィルムにこだわる必然性のレベルを踏まえた上で、デジタルカメラに移行する最良の方法を考えます。
フィルム用一眼レフのレンズを、デジタルにはまったく流用せず、新たにデジタル用として全機材を買い直す方法。現実的には、これがいちばん簡単です。これなら、思い切って従来とは違うメーカーに乗り変えることも容易にできます。単純に考えて、古くなったカメラを、新しいカメラに買い換えると思ってください。フィルム用の機材は、キタムラで中古として売りに出すこともできます。
基本的には、マウントが同じデジタル一眼レフのボディを購入すればOKです。ただし、APS-Cタイプの場合は、撮像素子面積の違いから、所有しているレンズを装着したとき、ファインダーで見てすぐにわかるくらいに、画角が狭くなります。言い換えると、約1.6倍程度のテレコンバーターを付けたような画角になります(F値に変化はありません)。望遠レンズでは焦点距離をプラスしたのと同じ効果が得られる一方、広角レンズでは本来の性能を発揮できなくなるので、フィルムでの撮影経験が長い方が、初めてデジタル一眼レフを使うときは、くれぐれもご注意ください。知らずに使うと、かなり驚きます。画角の広いレンズが必要であれば、新たに購入する必要あり。ただし、広角ズームレンズ1本と、コンパクトデジカメ1台の値段に大差はないので、広角撮影だけコンパクトデジカメにする方法もあります。
基本的にはフィルム用一眼レフでの撮影を続けながら、目的によっては、デジタルカメラも使うという場合は、とりあえず、デジタルカメラのほうを一眼レフ以外にする方法もあります。高倍率ズームレンズ一体型のデジタルカメラでは、一眼レフの交換レンズ数本分を内蔵レンズだけでカバーできるので、2台同時に持ち歩く場合にも便利です。ただし、コンパクト機のレンズは、光学性能的には超短焦点レンズで、撮像素子サイズが一眼レフよりも小さいために、結果として、ほかのカメラの画角と同じように撮影されます。つまり、35ミリ判換算した焦点距離が同じでも、被写界深度の感覚は変わるので、ボケ味を生かしたい場合には向きません。背景ボケをデジタルで表現するには、デジタル一眼レフを選ぶ必要があります。
フィルム一眼レフで使っていたレンズを流用する場合の、デジタル一眼レフ、およびレンズの購入ガイドです。普及機に多い、APS-Cサイズの場合を想定しています。
フィルム用で単焦点の標準50mmレンズを使っていた場合、この50mmが、ちょうど普及型デジタル一眼レフの標準ズームレンズと、望遠ズームレンズの継ぎ目付近に当たるので、普通にキット製品を購入すれば、焦点距離の重複はありません。単焦点50mmレンズは、換算80mm程度の大口径レンズとしてデジタル一眼レフでも使用できます。F値の明るいレンズが最初からあるので、新調するレンズは高倍率ズームレンズでも良いでしょう。
以前はポピュラーだった、35~70mm、35~105mmなど、ワイド端が35mmのレンズは、デジタル一眼レフに装着すると、換算値ではワイド端50mm相当をやや上回るくらいになります(28mmの場合は換算値50mm相当を下回る程度)。単純に考えると、35mm(または28mm)以下をカバーする超広角系レンズを買い足して(実際の画角では50mm相当より下をカバーするだけになる)、焦点距離の重複を避けるのが良いと考えがちですが、超広角レンズは比較的、価格が割高なので、普通にデジタル専用の標準ズームレンズを選んだほうが、使い勝手が良くて安上がりかもしれません。ただし、新しいレンズのほうが便利なので、古いレンズは結局、使わなくなるでしょう。なお、お手持ちのフィルムカメラで使っていた標準ズームレンズが、開放F4またはF2.8で全域一定になるタイプなら、そのレンズは現在では希少ですから、手放さずに持っていれば役に立つ場合もあります。
フィルム用一眼レフでのワイド端が24mmなら、デジタル一眼レフでの換算焦点距離はワイド端38mm程度。これは、コンパクトデジカメの一部機種にみられる、内蔵レンズのワイド端とほぼ同じです。つまり、広角24mmをカバーするレンズを持っていれば、とりあえずデジタル一眼レフでも、そのままで一通りの撮影はできます。換算28mm相当の画角はカバーできませんが、使用頻度を考慮して、あまり使う機会が少ないのであれば、28mmの画角で撮りたいときは、換算28mm相当をカバーできるコンパクトデジカメで代用するという選択肢もあります。コンパクト機も1台持っていれば、一眼レフを持っていかないような場所でも撮影しやすいので、意外に活躍の機会は多いのです。
あなたの大切なお写真の現像・保存・プリントは写真専門店カメラのキタムラにおまかせください。