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2008.09.05
前回のコンパクトデジカメに続いて、今回は、デジタル一眼レフカメラについて、各メーカー別の特色をご紹介します。それぞれのメーカーごとに違う「強み」を知って、カメラ選びにお役立てください。
デジタル一眼レフでは、コンパクトデジカメと違って、レンズが取り外せる仕組みになっているので、いわゆる「35ミリ判換算焦点距離」のほかに、十分に確認しておくべき選択条件があります。それは、レンズに備わっている光学上の実質焦点距離と、実際に写る画角(換算焦点距離)の関係。これを決定付けるのが、画像センサーのサイズ(実寸の面積)です。具体的には、35ミリ判フルサイズと、APS-Cサイズの2つに大別され、さらに、それぞれのサイズに準ずる例外があります。まずは、この2つのサイズのどちらかを選んでください。ちなみに、値段が安くてお手軽、なおかつカメラボディのサイズが小さくて持ち運びがラクなのは、APS-Cサイズと、それに準ずる小型サイズです。ここでは、画像センサーのサイズ別に、各メーカーの特色を示します。
35ミリ判フィルムの実効画面サイズと、同じ大きさの画像センサーを使用するタイプです。レンズは、フィルム用カメラと同じものを共用し、いわゆるデジタル専用レンズ(APS-Cサイズ用)では撮影できません。現在は、キヤノンとニコンそれぞれの、高級機と中級機(中の上クラス)にのみ、この規格が採用されており、実売価格は高めです。
キヤノンでは、機種のグレードによって、画像センサーのサイズが変わります。35ミリ判は、プロ仕様のフラッグシップ機「EOS-1Ds」シリーズと、中級機の「EOS 5D」の2機種。現行の最上位モデル「EOS-1Ds Mark III」は有効2110万画素で、これは、35ミリ判きょう体の製品では、全メーカー・全機種のデジタル一眼レフ中の最高値です。価格が比較的お手頃な「EOS 5D」は、有効1280万画素。キヤノンの画像センサーはCMOSを使用。レンズは、フルサイズ仕様のEFレンズ群のみを使用します。高級レンズの性能を余すところなく記録できる、超高画質がキヤノンの高級機が持つ強みです。なお、フラッグシップの姉妹機である「EOS-1D Mark III」は、APS-Hサイズという特殊な仕様で、焦点距離(画角)の換算倍率が約1.3倍となるため、35ミリ判フルサイズと同じレンズを使う必要があります。APS-Hサイズは、1コマの撮像面積を抑えて高速連写性能を高めた仕様で、動体撮影に適しています。いずれの「EOS-1D」シリーズでも、CFカードとSD系カードの2つを同時に使用可。「EOS 5D」は、CFカードを使用します。
ニコンでは、フラッグシップモデルとなる、D1ケタシリーズの現行機種「D3」と、最新型の中級機「D700」の2機種で、35ミリ判フルサイズを採用しています。これを、ニコンでは特に「FXフォーマット」と呼んでいます。有効画素数は、いずれも12.1メガピクセルで、キヤノンと単純に比べると、数字は大きくありません。しかし、35ミリ判フルサイズでも本格的な高速連写に対応できるほか、APS-Cサイズの「DXフォーマット」へも切替ができるなど、1台で柔軟な設定変更ができるようになっています。なお、デジタル専用のレンズを装着すると、DXフォーマットでしか撮影できません。その場合、単純に記録面積が刈り込まれるので、画質設定にご注意ください。画像センサーの種類は、両機種ともに35ミリ判はCMOSを採用。メモリーカードは、CFカードを使用します。
いわゆるデジタル一眼レフ専用サイズの画像センサーを使う機種は、普及型製品に多くみられます。ただし、一部のメーカーでは、APS-Cサイズの高級機も存在します。レンズは、35ミリ判フルサイズ用を流用可能。ただし、「レンズに書いてあるミリ数×1.6」程度の数が、35ミリ判換算焦点距離(見た目の画角)となります。なお、APS-Cサイズとの互換性がなく、それに近い撮像面積の独自規格を採用しているメーカーもあるので、ご購入の際は、個別に確認してください。
「EOS 40D」など数字2ケタの中級機シリーズと、普及機の「EOS Kiss」シリーズが、APS-Cサイズです。いずれも、画像センサーはCMOS。このサイズでCMOSセンサーを使っているメーカーは少なく、普及機でもCMOSを搭載しているのは、いまのところキヤノンだけです。EOSでは、1980年代の登場時点から、レンズ内にモーターを搭載する完全電子マウントを採用しているので、これまでAFレンズの仕様変更は行われていません。よって、古いレンズのAFが使えるかどうかを、ユーザーが自分で考える必要はありません。なお、これらの機種では、フルサイズ仕様のレンズだけでなく、デジタル専用として小型・軽量に設計されたEF-Sレンズを使用できます。手ブレ補正機能はレンズ側に搭載する仕組みで、手ブレ補正機能のないレンズもあります。メモリーカードは、中級機がCFカード、普及機ではSD系カードを採用しています。ちなみに、レンズメーカーが新しいレンズを発売するとき、対応マウントは、他社用に先駆けて、まずキヤノン用から先に用意されることが多いようです。
最高級の「D300」を筆頭に、普及機の「D40」までのラインアップが、APS-Cサイズ。このセンサーサイズでも、カメラ本体のグレードを自由に選べるのがニコンの強みです。「D300」の画像センサーはCMOSで有効12.3メガピクセル、そのほか現在発売中の機種はCCDで有効10.2メガピクセル、最も画素数が低いもので「D40」の有効6.1メガピクセルです。メモリーカードは、高級機がCFカード、中級・普及機では汎用性の高いSD系カードを採用。なお、レンズについては、マウント形状こそ過去のニコン用レンズすべてに互換性がありますが、普及機では、レンズ側にのみモーターを内蔵する、新方式を採用した機種が登場しています。よって、AFとAEの連動については、機種とレンズの相性に差があります。普及機では、レンズ内にモーターがない古いタイプのAFレンズで、AFが効かない設計になっているので、ニコンのフィルム用一眼レフから乗り換える場合は、デジタル一眼レフの機種選定にご注意ください。絞りリングがあるタイプのレンズで撮影したい場合も、同様に確認をおすすめします。基本的に、古いレンズを流用してAFとAEを使うなら、現行の高級機を選んでください。手ブレ補正機能はレンズ側に搭載されているので、この機能が必要であれば、対応型レンズの装着が必要です。ちなみに、レンズメーカーの新製品レンズでは、ニコン用も、キヤノン用と並んで、製品発表の直後に発売されることが多いようです。レンズメーカー製にも、モーターの付いているAFレンズと、モーターがない旧タイプのAFレンズがあります。
ペンタックスでは、デジタル一眼レフの全機種がAPS-Cサイズです。上位機種の「K20D」は、CMOSセンサーを搭載し、有効1460万画素。普及機の「K200D」は、CCD搭載で、有効約1020万画素という性能です。「K20D」の画質性能は、APS-Cサイズとしては現在のところ最高クラス。メモリーカードは、いずれもSD系です。ちなみに、「K200D」は単3形電池だけで動きます。同社では、既に35ミリ判フィルムを使用する一眼レフの製造は終了しており、システム構成としては、フルサイズの新しいレンズを作らなくても良い状況にあります。このため、軽量・コンパクトで価格も手頃な製品作りができるところが、競合他社に対しての強み。デジタル専用レンズで、ズームだけでなく、単焦点レンズが充実していることも特徴です。ペンタックスもニコン同様に、1980年代の一眼レフAF化に際してレンズマウントの形状を変えなかったので、旧式のレンズを装着して撮影することも可能です。ただし、ペンタックスもレンズ内蔵モーター方式へ仕様変更が進んでいるので、ボディとレンズのAF・AE対応状況については、個別の製品ごとに確認してください。手ブレ補正機能はボディ側で作動する、センサーシフト方式を採用しており、どのレンズでもブレ補正効果を得ることが可能。弱みとしては、レンズメーカーの新製品発売が、キヤノン用、ニコン用の各マウントよりも、やや遅れがちであることでしょう。
「α」のブランドで発売されている、ソニーの一眼レフシリーズ。これは、もともとはミノルタ、コニカミノルタの看板製品だったαシリーズを、近年になって受け継いだものです。レンズに関しては、ソニー製はもちろんのこと、旧ミノルタ製、旧コニカミノルタ製も装着可能。ソニー製レンズのラインアップは、現状を見る限りでは多いとは言えませんが、世界初の本格AF一眼レフを起源とする血脈を受け継ぎ、いまだ中古市場の流通量が多いαレンズを、すべて装着できるという点は確かに強みです。画像センサーは、最上位の「α700」がCMOS、そのほかの機種ではCCDを採用しています。ただし、最も有効画素数が多いのは、いまのところ有効1420万画素CCDの「α350」です。また、通常の3:2モードのほか、アスペクト比を切り替えて、16:9モードのハイビジョン比率で撮影する機能も搭載。このほかライブビュー機能を持つ機種では、他社と違うモニター表示方式を採用しており、撮影用の画像センサーを兼用するのではなく、ファインダー部分に別途、ライブビュー専用のセンサーを搭載しています。このため、ライブビュー使用時にも、通常のAF機能を利用して素早いピント合わせが可能。手ブレ補正機能は、ペンタックスと同様、ボディ側でのセンサーシフト方式です。メモリーカードは、基本的にCFカードですが、ソニー独自のメモリースティック系も使えます。ソニーαも、レンズメーカーの新製品発売が、キヤノン用、ニコン用マウントよりも、やや遅れがちなことが弱みでしょう。
オリンパスのデジタル一眼レフは、APS-Cサイズとは異なる、「フォーサーズ」という独自のデジタル専用規格を採用しています。画像センサーは、Live MOSセンサー。センサーサイズが小さいので、カメラ本体を大胆に小型化できるのが特徴です。アスペクト比は、コンパクトデジカメと同じ4:3。これは、APS-Cサイズや、35ミリ判フルサイズのアスペクト比とは、まったく異なります。よって、かつて同社が発売していた、フィルム一眼レフ用のレンズとは、マウントの互換性がありません。ただし、同じフォーサーズを採用しているパナソニックとは、レンズマウントの互換性があります。オリンパスでは、手ブレ補正機構をボディ側に内蔵する方式を採用。普及モデルでは、手ブレ補正機構を搭載した機種と、省略した代わりにボディサイズを極めて小さく設計した機種の2タイプを、ともにラインアップしています。現行製品では、プロ仕様の「E-3」を合わせた、合計3機種が発売中。メモリーカードは、各機種とも、CFカードと、xD-ピクチャーカードに両対応。
パナソニックは、フィルム用の一眼レフを製造したことがなく、他社からシステムやブランドを受け継いでもいない、デジタル一眼レフの新進メーカーです。採用している規格は、オリンパスと同様の「フォーサーズ」で、レンズにも互換性があります。画像センサーは、Live MOSセンサーです。撮影機能も、基本的な部分ではオリンパスとほとんど同じですが、手ブレ補正機構はレンズ側に搭載する方式。ちなみに、レンズはライカ製です。また、メモリーカードは、コンパクトデジカメと同じく、SD系を使用します。シグマ製のフォーサーズレンズも、装着可能。パナソニック製だけの独自機能として、ライブビュー使用時のデジタルズーム、アスペクト比の切替、向きを変えられるフリーアングル液晶モニターなどがあります。
レンズメーカーのシグマも、デジタル一眼レフを発売しています。センサーサイズ、レンズマウントはシグマ専用の規格。これは、フォーサーズでもありません。画像センサーは、他社製品とは異なる特別タイプ。一般的に、デジタルカメラの画像センサーでは、R・G・Bという光の3原色があるうち、その1色ずつの記録を専門で担当する1画素の受光部品を、モザイクあるいは点描のように、大量かつ規則的に、1つの平面上に配置しており、その構造上、隣り合った各1画素は担当する色が違うので、レンズを通して同じ色の光が広く当たっても、それを一括して記録できません。このため、受光して得られた後の画素データを、画像処理エンジンが演算によって補間することで、色違いのために隙間ができた画素部分を修復して、完成品となる1画像を作っています。しかし、シグマのデジタルカメラに採用されている、独自の「FOVEON X3(R)ダイレクトイメージセンサー」では、フィルムの露光と同じように、R・G・Bの3原色を立体的に区分し、その各層に、びっしりと隙間なく受光部品を配置。撮像画面の同じ位置に、3色の受光部品が垂直に重なっている状態になるので、後から電子的な補間処理をしなくても、1画素単位での微細な色分解ができることになります。このためシグマの画像センサーでは、他社とは一味違う、立体感の豊かな独特の描写が可能。カメラ性能としては、レンズの画角(換算焦点距離)が一般的なデジタル一眼レフと異なるなど、多少クセのある仕様なのですが、風景などを撮影する写真愛好家には固定ファンもいるようです。メモリーカードは、CFカードを使用します。
フジフイルムは、デジタル一眼レフのボディのみを発売しています。これは、同社のコンパクトデジタルカメラで定評の画像センサー「スーパーCCDハニカム」を搭載した、ニコン製レンズに互換性がある特別仕様の高級機。APS-Cサイズで、現行機種では有効1234万画素という高画質の撮影ができます。フィルムメーカーらしく、銀塩フィルムの色調をデジタルで再現できるモードを備えて、パラメーターを直感的に設定できるのが特徴。メモリーカードは、CFカードです。すべてのニコン用AFレンズで、AF機能に対応します。
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